ヨーロッパ近代絵画を中心に、すぐれた企画展を開催してきた三菱一号館美術館が今回とりあげるのは、なんと「浮世絵」。
「浮世絵 Floating World 珠玉の斎藤コレクション 」展

展覧会の開催概要については「展覧会が待ち遠しい 2」としてとりあげましたが、今回の展覧会は、3期にわかれて展示がえがあるので、うかうかしていると見逃してしまいそう、ということで早速、行ってきました。

第1期「浮世絵の黄金期 江戸のグラビア」(6月22日~7月15日)では、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった大御所の名作が見られますので、浮世絵はもちろん、展覧会にはあまり足を運んだことがないという方にもおすすめの展示内容です。
菱川師宣から渓斎英泉や歌川国芳にいたるまでずらりと並んだラインナップのなかで、個人的に一番気になったのは歌麿でした。
とくに「青楼十二時」が12枚揃ってずらりと並べられているのが圧巻。
「青楼十二時」は、吉原の遊女の24時間を2時間ごと12刻にわけて描いた作品で、そのときどきの刻限の遊女たちの風俗や表情が見事に描き分けられています(東京国立博物館のHPで、画像をてっとり早く確認できます)。
丑の刻(夜中の2時くらい)、灯火をもってうつむき加減に歩く遊女のはかないようなしどけない姿。
卯の刻(朝の6時くらい)、帰途に着く客の羽織(裏に達磨が描かれていて、かなりの上客と見た)を差し出す遊女は健気に微笑んでいますが、どことなくいたいたしいようでもあります。
そして辰の刻(朝の8時くらい)、お客さんも帰ってようやく羽をのばして「さあ、寝るぞ!」とはしゃいだ雰囲気の二人の遊女の開放感あふれる笑顔が印象的。あ~、この子たち、まだ本当に若いんだ、女の子なんだ、と実感します。
「青楼十二時」が並ぶ部屋は、壁が真紅の布でおおわれていて、とてもゴージャスかつ艶っぽい。吉原の雰囲気を連想させます。
ちなみに、「青楼十二時」は以前三菱一号館美術館で開催された「ロートレック」展でも、何回かにわけて展示されていたのでした。
といいますのも、ロートレックがリトグラフ集《彼女たち》(1896年)を制作する上で、歌麿の「青楼十二時」に影響を受けたと考えられるからだそうです。
今回の展覧会でも、展示されている浮世絵のテーマに沿って19世紀末の「ジャポニスム」版画が同じ空間に展示されています。
たとえば、役者絵が展示されている部屋には、ロートレックが描いたシャンソン歌手ブリュアンのポスター2点がどーんと展示されているといった具合です。
これらの作品に浮世絵が与えた影響はよく指摘されはするものの、いざ同じ空間に並べられることはあまりないので、興味深い、三菱一号館ならではの趣向です。
そのほか、春信が描いた、一見さわやかなのに実はかなりいけない「菊見の男女」や清長が見てきたように生き生きと湯を使う女性たちを描く「女湯」など、浮世絵としても、当時の風俗を知るうえでも見ごたえのある作品が目白押しです。
第1期のあとに続くのは、「第2期 7月17日(水)~8月11日(日):北斎・広重の登場~ツーリズムの発展」
「第3期 8月13日(火)~9月8日(月):うつりゆく江戸から東京~ジャーナリスティック、ノスタルジックな視点」
北斎、広重を「旅」という視点からとりあげる第2期はもちろん、独特の抒情性豊かな小林清親や井上安治らの作品が展示される第3部も楽しみです。
各会期は1か月足らずであっという間に終わってしまいますので、スケジュールを組んでお見逃しなきよう。
「浮世絵 Floating World 珠玉の斎藤コレクション 」展

展覧会の開催概要については「展覧会が待ち遠しい 2」としてとりあげましたが、今回の展覧会は、3期にわかれて展示がえがあるので、うかうかしていると見逃してしまいそう、ということで早速、行ってきました。

第1期「浮世絵の黄金期 江戸のグラビア」(6月22日~7月15日)では、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった大御所の名作が見られますので、浮世絵はもちろん、展覧会にはあまり足を運んだことがないという方にもおすすめの展示内容です。
菱川師宣から渓斎英泉や歌川国芳にいたるまでずらりと並んだラインナップのなかで、個人的に一番気になったのは歌麿でした。
とくに「青楼十二時」が12枚揃ってずらりと並べられているのが圧巻。
「青楼十二時」は、吉原の遊女の24時間を2時間ごと12刻にわけて描いた作品で、そのときどきの刻限の遊女たちの風俗や表情が見事に描き分けられています(東京国立博物館のHPで、画像をてっとり早く確認できます)。
丑の刻(夜中の2時くらい)、灯火をもってうつむき加減に歩く遊女のはかないようなしどけない姿。
卯の刻(朝の6時くらい)、帰途に着く客の羽織(裏に達磨が描かれていて、かなりの上客と見た)を差し出す遊女は健気に微笑んでいますが、どことなくいたいたしいようでもあります。
そして辰の刻(朝の8時くらい)、お客さんも帰ってようやく羽をのばして「さあ、寝るぞ!」とはしゃいだ雰囲気の二人の遊女の開放感あふれる笑顔が印象的。あ~、この子たち、まだ本当に若いんだ、女の子なんだ、と実感します。
「青楼十二時」が並ぶ部屋は、壁が真紅の布でおおわれていて、とてもゴージャスかつ艶っぽい。吉原の雰囲気を連想させます。
ちなみに、「青楼十二時」は以前三菱一号館美術館で開催された「ロートレック」展でも、何回かにわけて展示されていたのでした。
といいますのも、ロートレックがリトグラフ集《彼女たち》(1896年)を制作する上で、歌麿の「青楼十二時」に影響を受けたと考えられるからだそうです。
今回の展覧会でも、展示されている浮世絵のテーマに沿って19世紀末の「ジャポニスム」版画が同じ空間に展示されています。
たとえば、役者絵が展示されている部屋には、ロートレックが描いたシャンソン歌手ブリュアンのポスター2点がどーんと展示されているといった具合です。
これらの作品に浮世絵が与えた影響はよく指摘されはするものの、いざ同じ空間に並べられることはあまりないので、興味深い、三菱一号館ならではの趣向です。
そのほか、春信が描いた、一見さわやかなのに実はかなりいけない「菊見の男女」や清長が見てきたように生き生きと湯を使う女性たちを描く「女湯」など、浮世絵としても、当時の風俗を知るうえでも見ごたえのある作品が目白押しです。
第1期のあとに続くのは、「第2期 7月17日(水)~8月11日(日):北斎・広重の登場~ツーリズムの発展」
「第3期 8月13日(火)~9月8日(月):うつりゆく江戸から東京~ジャーナリスティック、ノスタルジックな視点」
北斎、広重を「旅」という視点からとりあげる第2期はもちろん、独特の抒情性豊かな小林清親や井上安治らの作品が展示される第3部も楽しみです。
各会期は1か月足らずであっという間に終わってしまいますので、スケジュールを組んでお見逃しなきよう。
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