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ネアンデルタール人の謎が解明されるかな

2008年10月19日 | サイエンス
ネアンデルタール人は、私たちに最も近かった人類の仲間で、ほぼ20万年間にわたって、ユーラシア大陸に散らばって暮らしていました。その分布域はヨーロッパ全域から中東やアジアのモンゴル近くまで達していました。しかし数はせいぜい1万5000人程度だったと推定されています。

ネアンデルタール人の骨が最初に発見されたのは、1856年8月、ドイツの都市デュッセルドルフ市郊外のネアンデル渓谷( タール )でした。まゆの部分が極端に張り出した頭骨、数本の太い手足の骨。ここから洞窟に住む、知能の低い粗暴な原始人――そんなイメージが広がり、長年信じられてきました。化石から復元された体型は身長約160センチ、体重約84キロ、筋肉質でずんぐりした体つき。寒い地域でその体を維持するには、1日5000キロカロリーのエネルギーが必要だったという試算もあるくらいです。食べ物の確保が大変だったでしょうねぇ‥‥。

1994年3月、スペイン北部ビスケー湾のすぐ南にある洞窟で、ネアンデルタール人の化石骨9人分(か、それ以上)が発見されました。それらは地下20メートルの鍾乳洞の中で、安定した温度と砂・粘土に包まれたように保存されたため、貴重な遺伝子が良好な状態で保存されていたのです。現在、この骨化石を用いて遺伝子解析が進行中です。

ライプチヒ大学の研究者たちは、2007年10月に化石骨からメラニン色素の生産にかかわる遺伝子を解析しました。一部のネアンデルタール人は赤毛・色白でそばかすがあったとも考えられ、復元図を発表しました。(日照量の少ない高緯度地方では、体内でビタミンDを生産するために、紫外線をよく吸収する色白の肌のほうが環境に適応しやすいからだそう)。

現在、野心的な研究が進んでいます。クロアチアのビンディヤ洞窟で発見された骨を用いて、ネアンデルタール人のゲノム、つまり30億に及ぶ塩基対の配列をすべて解読しようという試みで、今年11月に完了する予定です。

昨年までに全体の2%にあたる、約7000万の塩基対を解読しました。人間とチンパンジーではDNAの塩基配列が98.7%同じ。ネアンデルタール人はそれよりも私たちにずっと近いはず。

以前から大きな謎がありました。それは約4万5000~3万年前にネアンデルタール人と現生人類の生息分布域が重なっていた、つまり隣人として生きていたのに、ネアンデルタール人だけが滅びてしまったということ。そして現生人類は繁栄し続け現在に至っています。

いったいネアンデルタール人に何が起きたのでしょうか。
謎が解ける日が近づいています。ワクワク!

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