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川辺川ダムが止まる!

2008年09月18日 | 環境問題
川辺川ダムは、熊本県南部を流れる球磨川の右支流の川辺川(熊本県相良村)に国土交通省が建設を計画するダムです。


地図:国土交通省 川辺川ダム砂防事務所のHPより

熊本県の蒲島郁夫知事は9月11日、「現行のダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」と述べ、反対を表明しました。
国が進める巨大ダム計画に知事が反対を明言するのは、極めて異例なことです。
国交省が知事の反対を押し切って事業を進めるのは難しく、42年間にわたって進んできた川辺川ダムの建設は、困難な状況になりました。

参考:川辺川ダム工事実施基本計画の策定は1966(昭和41)年

地元では様々な形で反対運動が粘り強く展開されてきました。
例えば子守唄の里・五木をはぐくむ清流川辺川を守る県民の会のHPでは運動の長い歴史と多方面での展開を知ることができます。 

川辺川で取れる大きな鮎をみんなで買って、地元の漁師さんを支援し、反対運動を支援しようという
尺鮎トラスト運動もあります。


数年前、富山県宇奈月温泉で開かれた全国のダム問題の集会で、この運動を担う漁師さんにお会いしました。本当に立派な尺鮎をごちそうになりましたが、とっても美味しかったですよ

しかし工事はこれまでかなり進んでおり、道路の付け替えや水没予定地の民家の移転はほぼ終了し、あとは本体工事を待つだけという状況です。


この後始末もまた、大問題ですね~
(ホント、大変な無駄なお金‥‥)

日本ではこれまで、国が計画した大型公共事業で国民が反対して中止になった例はほとんどありません。
例えば、長良川河口堰や諫早湾干拓なども、反対運動が全国的な展開を見せましたが、強行されました。諫早湾の「ギロチン」は強烈な記憶として私の中に残っています。
事業完成後に深刻な環境悪化が現れているものもありますが、中止や撤回はありませんでした。

そんな日本で、この川辺川ダムはどのような経過をたどって、知事の反対声明に至ったのかな

毎日新聞社西部報道部の福岡賢正氏は次のように述べています。毎日新聞HP

(長文ですが興味深いので、引用紹介します)
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川辺川ダム計画(66年発表)がある球磨(くま)川水系には、100年に1度の洪水に対応できるとして建設された県営の市房(いちふさ)ダムがある。ところが完成から50年足らずの間に計画通りの洪水調節ができなかったことが3度もあり、うち1回は「ダム決壊の恐れがある」との情報が流れた。しかもダム下流には年中濁った水が流れ、砂れきの供給がダムで断たれた結果、瀬とふちが続く川本来の景観も失われた。

急流下りで知られる人吉市より下流の球磨川が、清流と呼べる水質と変化に富んだ川の姿を保っているのは、流域面積、流量ともに本流を上回る川辺川にダムがないからだと、住民は肌で感じとっていた。17年前、川辺川ダム建設予定地の下流で反対運動が始まり、たちまち大きなうねりとなったのはそのためだ。

そんな流域のダム反対機運を広く県民に共有させたのが、潮谷義子前知事が01年から始めた住民討論集会だった。川の情報を独占するプロ集団の国交省と、手弁当で活動する反対派が公開で論を戦わせるこの取り組みは、国に圧倒的に有利なはずだった。なのに、情報公開制度を使って反対派が同省から入手したデータは県民のダム不信を増幅させ、世論調査で「ダム反対」が半数を超えたのだ。

今春の知事選にダム推進を唱える候補が一人も立てず、推進の旗を振ってきた流域市町村の首長が相次いでダム反対や中立へとかじを切り始めたのも、その下地があったからだ。蒲島知事の反対表明はその集大成にほかならない。
(引用はここまで)
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な~るほど、住民の皆さんの川を愛する心が、行政を動かしたのですね。
この川辺川ダムをきっかけに、全国で計画され展開されている公共事業について、適切な判断が行われるようになるといいなぁ



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