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環境モデル都市・水俣市

2008年07月25日 | 環境問題
政府は7月22日に、地球温暖化対策に先進的に取り組む「環境モデル都市」として、6市町を選びました。

選定された市町は次の通り(順不同)です。
  北九州市、水俣市(熊本県)、富山市、京都市、横浜市、帯広市、下川町(北海道)

全国から82の応募があったそうです。
選定の基準として重視されたのは次の5点でした。  
  目標の高さ、模範となるモデル性、地域適応性、実現可能性、持続性

選ばれた市町は、応募時に提案したプランの実現に向け2009年度から5年間の行動計画を策定し実行に移すことになっています。

私は今回選定された6市町のうち、北九州と水俣へ環境視察に伺ったことがありますので、今回は水俣を紹介します。

熊本県水俣市といえば、やはり水俣病を避けて通ることはできないでしょう。

水俣市立水俣病資料館を訪問されることをぜひお勧めします。
この病気の悲惨さ、人々が心身に受けたダメージの深刻さ。言葉を失います。
また水俣出身だということだけで、就職や結婚などで差別を受けてきたそうです。

「環境でどん底に落ちた町だからこそ、環境を良くして美しい水俣、環境先進の水俣、と呼ばれるようにしたい、水俣出身であることを誇りにしたい。その一心でやってきました」
水俣市役所でお聞きした言葉です。感動しました。

ごみは22分別です。
雑誌類はどれもきっちり紙紐でしばられ回収センターに出されていました。


プラゴミ。汚れなく、臭いは全くありません。市民の意識の高さが感じられます。


お願いしてあった弁当、もちろん容器もお箸も繰り返し使うもの。
お弁当屋さんは「水俣では使い捨て製品は恥ずかしくて使えないんですよ」


水俣湾です。なんときれいな海の色でしょう。
水質は大幅に改善され、今では魚介類は安全にいただくことができます。


百間排水路、ここから水俣病を引き起こした水銀が排出されたのでした。
「負の遺産」として保存されています。横には説明版もありました。


水俣市湯ノ児海岸です。ここには湯ノ児温泉が湧出し旅館もあります。
私たちも宿泊し、水俣湾でとれた美味しいお魚を堪能しました。
水俣湾に沈む夕日には感激。



水銀汚染が著しかった海域をうめたて、現在は鎮魂のモニュメント「水俣メモリアル」が作られていました。
毎年の慰霊祭もここで開かれるそうです。


熊本県環境センターです。
県内の子どもたちが訪問して環境学習をしています。


水俣市ではごみの分別(22分別)とリサイクルの徹底、かんきつ類の搾りかすや間伐材などを使ったバイオエタノール製造を行っています。
また水俣オリジナルの、家庭や学校での環境認定制度(環境ISO)を実施し、市民が全員が参加しての環境保全の取り組みです。
「派手さはなくとも、小さな取り組みを丹念に積み重ねると大きな効果が得られるという模範的提案」と評価されたそうです。

水俣病を克服し乗り越え発展してきた水俣、その努力を深く尊敬するとともに、
私たちが学ぶことは大きいと思いました。


2 コメント

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私も行きました。 (チャイカ)
2008-08-04 16:32:56
水俣は公害病の代名詞のようで、ずっと苦しんで来たと思います。しかし、思い切って環境都市に変わりましたね。患者の方は病魔と差別に長いこと苦しんできたと思います。石牟礼道子さんの『苦海浄土』とユージン・スミス氏の『写真集水俣』は忘れることが出来ません。
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私も! (Repu)
2008-08-13 16:56:28
私もこの2冊は衝撃を受けました。
水俣の人たちがよく口にされる「もやいなおし」という言葉、いいなぁ。
水俣病によってズタズタに引き裂かれた「もやい」(人と人とのつながり)を、もういちど取り戻すことなのだそうです。
マイナスをプラスへ。水俣のこのエネルギーを、深く尊敬しますわ。
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