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長年、こどものための墨絵教室を開きたかったのです。
そこで、こどものための墨絵教室の開催に先立ち、
夏休みのイベントとして、こどもだけでももちろんですが、
親子ででも参加できる一日講座を開講しました。
こどもは小学生以上が対象です。
課題は「つゆくさ」をいたしました。
最後は色紙にお清書もして、作品も作りました。
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(小学6年生の方の作品、練習風景とテキストです。)
書道と違って、琳派の墨絵はひとつひとつの課題に、
それぞれの筆遣いがあります。
書道では使ったことのないような筆運びをいたしますので、
やはり、何度も練習していただかなくてはなりません。
難しいことは難しいのですが、
それであきらめる事もありません。
この伝統的な深みのある芸術は こども達に 拒絶されてしまうだろうか?
その時は、私はどの様に面白味に変えて 伝えていけばいいんだろうか?と
事態の進展が 予想出来ない中での開催でした。
しかしながら、
時代は変わっておりました。
時代は 変わっていた。と たしかに 実感いたしました。
若い人による伝統文化への興味は 一旦減少したあとで、
今もう一度、伝統文化は見直され、また花を開こうというこの時に、
こども達の伝統文化に対する考え方・イメージは、もはや
「難しい。古い。やらない。」
では、 ありませんでした。
「えー。なに、新鮮。」「面白かった。もっとやりたい。」
に 変わっていたのです。
求められている その門は
今までよりも ずっと広く ひらかれていたのを
感じました。
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(こちらは、お母様の練習風景、作品)
「水墨画って、難しいイメージでした。やってみると 確かに難しいですが、
墨の 濃淡って こんなに 面白いんですか
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とは、一緒にご参加いただいたお母様の感想です。
また、お子様が 水墨画をたしなむ姿というのは、
相当に嬉しい事のご様子で いらっしゃいました。
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これまでも、幼稚園児(5才)、小学低学年(1年生)にも
教えてまいりました。
どの子も、熱心に自分でお墨を磨ります。
濃墨と淡墨を使い分けて描く事を教えると、
こどもは すぐに覚えてしまいます。
水墨画特有のデフォルメした絵を教えても、
ちゃんと理解できますし、何より描いてみようという気持ちになるようです。
筆法の練習をさせても、
飽きずに何度も やってくれます。
(そして20分くらいでひと休憩します。)
最後に、この濃淡がすばらしい、などと描いた作品を誉めると
何が良かったのか 丸ごと覚えて帰ってくれますし、
自分で 自分の作品のどこが好きなのか ハッキリと答えます。
そこには、先入観は ないのです。
そこには、墨と筆との闘いがあり、創造のよろこびがあり、
水墨画の尽きない面白味が 感じられ、
芸術によって精神的な成長が守られているという、
本能的で純粋な 幸福があるのです。
こどもの墨絵は意義がふかいです。
これからも、こどものための墨絵を 一層ひろめて参りたいと 思いました。
琳派墨絵クラブ