琳派墨絵保存倶楽部・部誌 「なてし子」

江戸琳派の祖、酒井抱一家に伝来する本格的な琳派の画法を継承している「琳派墨絵保存倶楽部」の活動日誌ブログです。

最近の墨絵教室から-2019年8月 「秋の七草から」

2019年08月15日 | 教室案内

 

暑さが続いております。今、台風も来ていて、強風に見舞われています。

 

墨絵教室では、もう次の季節に完成する課題の事を考えていて、

秋のモチーフに取り組み始めています。

今年は 「秋の七草」 から 三種のみをピックアップし、

すすき なでしこ おみなえし を選んでみました。

 

猛暑の中で、次の涼しい季節の事を考えることは、

気持ちの余裕につながるようです。

 

 

「秋の七草」を7つ全部言えるか、

毎年のように どきどきしながら 仲間と話すのは

スリリングでもあり、 楽しみです。

 

今年は、「お好きな服は?」で覚えるといい、と伺いました。

おみなえし・すすき・ききょう・なでしこ・ふじばかま・くず・はぎ

 

ところが、この「お好きな服は?」のフレーズが出て来にくく、困りました。

お好きな、何かだった。、というので 3人かがりで七草を最初から唱えて、

「服かあ、("服"は、ちょっとどうでもいいかな~)。」というひとコマがお教室でありました。

 

 

 私は所中

「われもこう、すすき かるかや 秋草の・・・(さびしききはみ 君におくらむ)。」
という若山牧水さんの短歌が頭をよぎってしまうので、とても遠周りをして思い出します。

 

 

「はぎ すすき 桔梗 なでしこ おみなえし くず ふじばかま」

自分が習い覚えたのはこの順序で、冒頭の「はぎ すすき」さえ掴めれば、

一年振りの蔵の奥から、芋蔓式に ずるっずるっと、集中して出せます。

無事に出し終えた時の平和な気持ちが、何とも言えません。

素朴なゲーム感覚で好きですし、この一瞬に遊ぶコミュニケーションで、気の合う人も、ますます好きになります。

 秋の七草の小さな行事です。

 

 

ところが、藤袴だけ実物を観た事がありません。

以前、デパートで1枚ごとに秋の七草を一つづつ刺繍した 白いハンカチを販売していました。

全7枚1セットで購入するとか、毎年1枚づつ購入するとかいう目的でした。

デパートのハンカチ売り場では、「7枚買わなきゃ意味がないわ。」とか、「毎年、ここでハンカチを1枚づつ買う事になるじゃない。」とか、

「よく考えたじゃない、企画の人、偉い。(と、いうので購入する)」などと言って女の人達が

知らない者同士でも、目を合わせて笑って話していたものです。

今のこのせわしい時代に比べれば、なんとも悠長な商品でしたし、購入の動機も随分と違っていました。 実際に7年間取り扱っていたかどうかは分かりませんが、懐かしく思い出されます。

私も藤袴をハンカチから学びました。

 

 

「葛(くず)」はうっそうと茂って風流さはないし、「ふじばかま」は謎の植物だし、

七つの大陸の最果ての地、というか、茫洋とした印象でした。

萩、桔梗、なでしこだけでも、私は良いかなと随分長く思っていましたが、

絵をしっかりとやるようになってから、すすきも良いし、女郎花も美しいものだと考えが変わりました。
とくに、すすきが良いと思えるようになったのは、自分には新しい心の境地でした。 何かこころの奥のほうで、スッキリとした芯の強いものを感じられました。最初からすすきがお好きだという方がいて、すごい方がいるものだと感心していました。

葛(くず)はアメリカの西海岸に移動したとかで、東京では近年めっきり珍しくなりました。

どうやって移動したのかよく分かりませんが、植物の分布にはこういう、引っ越しのような事はあるらしく、出たり入ったりしているのでしょう。

葛(くず)もいずれ日本で、数の少ない草として、風流さを取り戻す事になるのでしょうか。

 

 

 葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり(釈迢空)

 (葛と言えばこの歌がすきだというだけですが、最後に置いてみました。)

琳派墨絵クラブ

 

 

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