琳派墨絵保存倶楽部・部誌 「なてし子」

江戸琳派の祖、酒井抱一家に伝来する本格的な琳派の画法を継承している「琳派墨絵保存倶楽部」の活動日誌ブログです。

「いきがい」

2021年09月28日 | 教室案内

以前、水墨画クラスに通われていた

フランス人の方が、教室で

「生き甲斐(いきがい)」について

語ってくれた事があります。

 

何でも、「イキガイ」というタイトルの

本を読んで、

物凄い感銘を受けたんだ、

これは偉大な日本の思想です。

大発見でした。

私の人生観は変わる!と

 

興奮気味におっしゃるのです。

そんなにすばらしい内容で、

イキガイに似た日本語の単語なんて

あったかなー。と私。

 

なるほど、なるほど

と頷きながら、

どんな内容の「イキガイ」なのか質問しながら、

それとなく判断しようと

思ったのですが、

 

果たして それは本当に

正真正銘、俗に我々が言う、あの「生き甲斐」

だったのです。

 

《人が、ある高い、高い理想にむかって生きる、

この、人生をいきる意味や価値を

自ら定める。

神が規定するのではない。

自らの出会いや境遇のなかで、

自らの知恵の範囲で、

最高の生き甲斐を見出だす。

しかも、それが誰か若い世代のためであったり、

別の誰かを生かす方法であったりする。

これを日本では「生き甲斐」といい、

人々は実践しているのだ。

宗教ではなく、これはごく一般的な考え方であり、

ごく普通の人生観なのです。

これが日本文化の知恵です。》

 

と、そのフランスの方は、3週にわたって、

生き甲斐について

クラスで熱弁を奮っていらっしゃいました。

どうも それくらい、衝撃的なことだったらしい。

 

また一方で、

同じクラスにいた他のフランス人達も、

すごい反応を見せていた。

そうだわ、そうだわ、と

「母国フランスで、どんなに皆が自分たちのためだけに

生きていて、そのせいでお互いに傷つけ合っていることか!

もう、やめたいと思うのに、糸口がなく

やり過ごすしかない毎日。」

「日本に来て、平和というものを、随所で感じるの!

多分、そのイキガイだけじゃない。

イキガイが成立する、日本の特有の土台がある。」

「そこが平和ですばらしい。」

 

その様に、お話されていました。

やはり同じ人間なんだと 私も、痛感しました。

 

それにしても、生き甲斐というものに

出会って、ここまで感銘を受けられるという

知性と感性の豊かさ!

お見事ですね。

 

その本を上梓された方も、

きっと何か思うところがあったのでしょう。

ありがたい事です。

 

ーーー

写真は、水墨画クラスの生徒さんの作品

「あさがお」

アミニズムを彷彿とさせる、原始的な

パワーを感じられる水墨画スタイル。

 

 

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