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「第6波でコロナ感染の私」が肌で感じた深刻実態

2022-02-05 12:00:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

筆者が療養していたホテル。1棟ごと宿泊療養を受け入れている(筆者撮影)
「今から20分でお迎えに行きます」「手違いでキャンセルになりました。申し込みからやり直してください」――。東京都の対応は二転三転し、混乱していた。
1月22日、患者が急増する東京都内でコロナ陽性の判定を受けた。重症化リスクが高い家族がいる私は一日も早い隔離を求めたが、その道のりは長く感じた。いまコロナに感染すると、わが身にどんなことが起きるのか。“万が一”への備えとして、それをみなさんにお伝えしたい。
のどの痛みと寒気から数時間後に発熱
異変の最初はのどの痛みと寒気だった。
1月20日午前8時ごろ、自宅で寒気を感じた。体温を測ると、36度3分。のどが少し痛い。市販の風邪薬を飲んで寝込んだところ、午前10時半には38度8分まで上がった。その後、体温はさらに上がり、39度6分に。このころになると、もうろうとしており、何時だったのかもわからない。目が潤んで体温計の表示がにじんでみえる。足の関節が痛い。
抗原検査キットを求め、家族が薬局に走ってくれた。しかし、承認済みは品切れ。やむなく、研究用の「未承認」セットを購入し、それを試した。陰性だ。それでも「念のために」と思い、近くのクリニックへ発熱している旨を告げ、指定された時間に駆け込み、PCR検査を受けた。結果判明まで1~2日かかるという。
翌21日には、のどの痛みが激しくなり始めた。何を飲んでも食べてものどが痛い。おかゆをゆっくり噛んだうえで、しょうが湯で胃に流し込む。夜はのどの激痛で眠れなかった。そして、22日午前10時20分、クリニックの医師から電話が入った。
「陽性でした。保健所に発生届を出します」
私には、重症化リスクの高い家族がいる。ワクチンは2回打った。幸い、勤務先は在宅勤務の措置を取り、私自身、人に会わないように気をつけてきた。それでも感染した。
どこで感染したかと問われても、思い当たるふしはない。
クリニックの医師は、電話診療で炎症をやわらげる薬や解熱剤を処方してくれた。これまでも風邪の際に処方されたことがある薬だ。
新型コロナ用の飲み薬「モルヌピラビル」が処方できるようになったのではと思ったが、それは重症化リスクが高い人のみ。通常の風邪よりも段違いにつらくても、私には通常の薬しか出ないようだ。
陽性判定後に処方された薬(筆者撮影)
咳もでてきた。発作のような咳でしばらく止まらない。この先、どうなるのか。高熱の中、あれこれと思い巡らせた。
東京都のホームページによると、保健所は、発生届に記載された陽性者の電話番号に連絡し、療養先を調整するとなっている。感染者に対する注意書きには、こう書かれていた。
「ご家族や周囲の方に感染させないことが大切です。そのため、感染した方のうち、入院治療の必要のない軽症や無症状の方には、都が用意した施設での宿泊療養をお願いしています」「自宅から宿泊療養施設に入所する場合は、保健所からご本人に連絡があります」
このとおりだと、私は隔離され、宿泊療養することになる。
昨年9月、同世代の知人男性がコロナで亡くなった。医療崩壊で入院できず、自宅療養していたところ、悪化して、緊急入院したときには手遅れだった。私も咳で息苦しいが、彼の苦しさはこの比ではなかっただろう。
家族が感染したらと思うと、気が気ではない
発熱から4日目の1月23日。正午すぎ、私のスマホにショートメールが届いた。厚労省と区保健所からだ。クリニック医師の「陽性です。発生届を出します」の連絡から26時間過ぎている。
ショートメールの指示は、HER-SYS(ハーシス)という健康管理システムに入り、質問に答えるようにという内容だ。指定された通りにアクセスし、体温や体調を記入。「息苦しさはありますか」「食事は困難ですか」などの質問が並ぶ。
酸素飽和度の記入も求められた。パルスオキシメーターを持っていない人はどうするのだろう? 保健所のホームページには「必要と判断される方」にはパルスオキシメーターを貸し出すと書いてあるが、ショートメールに貸し出し案内は見当たらなかった。
私は昨年ネット通販で買ったメーターを使って測定し、記入した。正常値は96%以上のところ、私は95~98%の間を行き来した。
このころになると、のどの痛みで声が出なくなった。激しい咳を繰り返し、炎症が進み、声が枯れてしまったのだ。しょうが湯やコーンスープなど温かいもので水分を補給し、うがいをして、痛みを少しでもやわらげようとした。そして、保健所からの連絡を待った。咳が止まらない自分を早く家族から隔離したかった。
これだけ患者が急増しているのだから、簡単に対応できないだろうと頭では理解していた。でも、家族が感染したらと思うと、気が気ではない。家族にうつって重症化した場合、医療逼迫の中で入院先を見つけるのは大変だろう。保健所の対応を待っているうちに患者が亡くなったという昨夏のニュースをいくつも思い出した。今回は重症化率が低いと言われているとはいえ……。
保健所からの連絡を待つ間、自分の部屋から出ないようにし、部屋にたらいを置いた。ここでうがい、歯磨きを行う。洗面所には行かない。部屋を出るのはトイレだけ。トイレに行く際は手指を消毒したうえでビニール手袋をし、マスクをし、短時間で戻った。洗濯物は家族と別にした。
家族は濃厚接触者で外に出られないため、買い物はネットしかない。生活費は高くつく。生活のことが心配になり、傷病手当金や保険で出るものはないかを調べた。このままだと、少なくとも10日の間は仕事を休むことになる。これは大きい。
寒気から5日目、陽性判定から3日目の1月24日。少し回復してきた。声が出て、体も動かせるようになってきた。東京都のホームページを見ていると、保健所から連絡を受ける前に、陽性者が自ら宿泊療養を申し込める電話窓口がある。早速、電話した。重症化リスクが高い家族がいることを告げ、早く自分を隔離してほしいと申し込むためである。
受付時間は9時から16時。話し中でなかなかつながらなかったが、5回目で男性の係員が出た。事情を訴えると、相手はこう言った。
「混みあっていますので、最短で明日、または明後日に保健所から連絡が来ると思います」
やっと気持ちが少し楽になった。保健所から連絡がようやく来るのだ。
搬送車のドライバーから唐突な連絡
1月25日。保健所から連絡はない。自室にこもっているため、テレビのニュースも見られず、スマホで情報を集めた。
そんな中、ネットで「東京都の自宅療養者3万人超! ホテル療養施設2000室も空いているのになぜ入れないのか」という記事に行き当たった。この日の午後2時にアップされたばかりだ。
それによると、自宅療養者は24日に過去最多の3万1963人、それとは別に「入院・療養等調整中」が2万9490人。一方で宿泊療養者向けに用意されたホテルでは2000室以上が空いているという。使用率の低さは1年以上も前から報道や議会で指摘されてきたが、まだ改善されていないのか。
すっかり暗くなった午後6時9分、スマホに着信があった。表示された番号に覚えはない。男性だった。
「ドライバーです。午後6時35分にお迎え予定です。今から20分後です」
陽性者を宿泊施設まで連れて行く搬送車の運転手だという。
私が聞いていた手順では、宿泊療養が決まった場合、前日夜に行先と迎えの時間を電話で知らされ、搬送車の到着直前にドライバーから電話があるはずだった。ドライバーから電話がいきなり来て、しかも20分後に来ますと言われても……。
「保健所から1回も電話をもらったことがなく、(この時間に迎えが来るとは)聞いてないんです。大丈夫でしょうか」
私はそう尋ねた。ドライバーさんによると、搬送車にはもう1人陽性者が同乗するが、その人も保健所から何も聞いておらず、搬送会社を通じて確認中だという。私は、急いで荷造りを始めた。行先はホテルなので着替えがあればなんとかなりそうだ。
ところが、今度は迎えの時刻を過ぎても、どこからも連絡がない。私はドライバーさんに電話してみた。
「どうなりましたか」
「(会社から)連絡が来ないんです。自分も待機しているんです」
電話を切った。5分後に電話が鳴った。ドライバーさんだ。
「キャンセルになりました」
「え? どういうことですか?」
「わかりません。この時間以降の搬送はありませんので、きょうはないということです」
同じ搬送車に乗る予定だったという、もう1人の陽性者もさぞかし驚いたことだろう。すると、30分後にまた電話があった。今度は別の男性だ。
「都です。手違いで連絡がいっていませんでした。申し込みがキャンセルになりましたので、明日以降、もう一度申し込みをお願いします」
キャンセル? どういう意味だろうか。
「また最後の順番で申し込めと言うのでしょうか」
「はい。きょうはもう窓口がやっていませんので」
宿泊療養申し込み窓口は午後4時までだ。今はもう午後7時。
「何が起きたのですか。保健所に問い合わせますので、電話番号を教えてください」
「お伝えしますが、保健所はもうこの時間は電話に出ません」
「すみませんが、咳がとまらないので、重症化リスクが高い家族にうつる前に私を隔離したいのです」
「検討します」
電話を切った後、激しく咳き込んだ。電話で話すと、咳がひどくなる傾向がある。念のため保健所に電話した。確かに誰も出ない。呼び出しコールは自動音声に切り替わってしまった。
ようやく保健所から初めての電話
午後8時50分、また私のスマホが鳴った。今度は女性だ。
「区の保健所です。都から、あなたが宿泊療養をキャンセルしたいとのことで話があったんですが」
初めての保健所からの電話だった。しかも、私が宿泊療養のキャンセルを申し出たことになっている。
「違います。逆です。早く入れてくださいと言っています」
「わかりました。都に確認します」
約40分後、午後9時半に再び保健所の女性職員から電話。
「明日から入れます。都から連絡が来ます」
しばらくすると、またスマホが鳴った。
「都です。明日から入所です。(迎えの)時間は明日の午前に伝えます。(入所は)午後からになります」
ホテル名を告げられた。ここまで確定すればたぶん大丈夫だろう。どっと疲れた。服はホテルの部屋で手洗いすることになるから、その準備も要る。のどを痛めている人は小さい加湿器を持って行ったほうがいいというネットの体験談も見た。荷造りを本格化させていると、また電話が鳴った。もう深夜の午後11時近い。
「遅くにすみません。都です。明日からの入所のお知らせです。行っていただく宿泊施設が決まりました。施設は……」
「あ、先ほど同じ内容のお電話をいただきました」
「そうなんですね。重複してすみません」
かなり混乱していることがわかった。1月25日のこの日、東京都内での新規感染者数は1万2813人に達し、過去最多を記録している。
翌1月26日の午前9時22分、見知らぬ番号から着信があった。男性が「これから食料を届けます。本日中に届きます」と言う。食料を届ける区のサービスだ。7日目になって、ようやく……。
正午ごろに届いたのは、カロリーメイトのゼリー、スープ、スポーツドリンクなど。ありがたかった。もし、のどが最悪だった初めの5日間にいただければ、さらに助かっただろうと思った。
届いた食料やトイレットペーパー(筆者撮影)
この日の午後2時半に白いワゴン車で迎えに来た。先に女性1人が乗っていた。車内はビニールで運転席と後部座席を仕切ってある。運転手がホテル側に到着予定時間を電話する以外、車内は終始無言。感染リスクを考えてのことだ。
ホテルに着くと、入り口にカードキーが入った封筒が置いてあり、職員からガラス越しに部屋に行くように案内された。このホテルの宿泊療養者は20代、30代が目立ち、軽くせき込んでいる程度の人が多かった。
1日3回の食事は、それぞれ自力で1階ロビーに取りに行く。衛生上、館内アナウンスがあってから1時間以内に弁当を受け取って自室で食べ、空き箱を1階に捨てる。エレベーターは2基。数十人がエレベーター待ちの行列をつくることもあった。もちろん、言葉を交わす人はほとんどいない。
宿泊療養期間は発症から10日間で、11日目の午前に退所すると決められている。発熱が続いた場合は延長になる。私の発症は1月20日だったから、療養は1月30日までの5日間となった。
この間、「宿泊療養者向けのホテルが都内で2000室空いている」というニュースが気になっていた。この記事では、都が確保したのは24日時点で4940室、そのうち使用しているのは2700室未満となっていた。都の30日更新のデータでは宿泊療養は3359 人となっている。部屋のやりくりは、実際はどうなっているのだろうか。
私の療養先は高層の大型ホテルだった。1月27日段階で見ると、ある階では68室のうち空きが19室で、使用率は7割程度だった。別の階では空き53室・使用率2割程度だったが、その階は29日になると、空き室が13室に減っていた。
空室が発生するのは「部屋の消毒・清掃で、患者が療養を終えた部屋ごとではなく、1つのフロアの患者全員が退所するのを待って消毒と清掃を行っている」「リネンの交換を行う業者などから感染への不安の声がある」(NHKニュース、1月17日)ことが大きな要因とされている。このホテルでも1階以外でスタッフを見かけることはなかった。
状況は刻々と変わっている
感染力が強いオミクロン株の影響で、新型コロナの状況は刻々と変わっている。東京都の小池知事は1月23日、「感染者が増えている流れの中で、軽症や無症状の人はできるだけ自宅にいていただく」と述べ、それまでの原則宿泊療養の方針を転換させている。
重症化リスクの高い家族がいるため私は隔離を認められたが、宿泊療養待ちの人は数多いだろう。家族を心配する気持ちは同じ。宿泊施設の利用方法を改善したり、連絡に関わる事務作業の効率を上げたりといった工夫の余地はもうないのだろうか。
感染しても自宅療養を強いられるとなると、備蓄は必須だ。液体で栄養を取れる食品、保温ポット、生理用品、パルスオキシメーター……。品薄だが、承認済みの検査キットもあったほうが安心だ。
もしかしたら、コロナに罹患していない多くの人は、まだどこか他人事かもしれない。だが、この感染爆発は尋常ではない。重症者やそのリスクが高い人以外は、国も自治体も支援できないというフェーズに入っている。状況はそれこそ時間単位で変化しているし、私のこの経験すら読んでいただいたころには古びてしまっているかもしれないのだ。
青木 美希 : ジャーナリスト


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