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「前兆がない」脳卒中を経験した64歳の男性が語る「死より過酷」なリアル体験

2021-12-31 15:30:00 | 日記
下記の記事は週間女性プライム様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

国内では100万人以上の患者が存在し「国民病」とも呼ばれる脳卒中。だが、脳卒中に罹患した人は死亡したり重篤化したりするケースが多いのか、経験者の体験談を耳にする機会が想像以上に少ない。今回、脳卒中のひとつである小脳出血で手術、入院を経験した男性が入院中や退院後に、その身に起こったすべてを包み隠さず話してくれた。症状に仕事、そしてお金……。脳卒中になると一体どうなってしまうのか。
突然襲いくる脳卒中という病
「健康診断や人間ドックでおかしな数値が出ることもなく、体調が優れないということもなかったので、まさか自分が脳卒中、それも小脳出血になるとは思ってもみませんでした」
ゆっくりとそう話すのは、東京都内在住の弁理士、岡崎信太郎さん(64歳)。うまく話せないのは小脳出血の後遺症の影響だという。
「50代で仕事も順調。これまで以上に顧客を増やしていこうと思っていた矢先のことでした」
岡崎さんは早稲田大学教育学部を卒業後、製薬会社に就職した。しかし職場にうまくなじめず退職。その後、たまたま特許事務所に勤めることになったのだが、「発明」を扱う業務に興味を持つ。
「特許や商標の手続きを行うには弁理士の資格が必要です。勉強するのは嫌いだったのですが、どうしても特許の仕事がしたいと思い、猛勉強して弁理士の試験に合格しました。30歳になるころのことでした」

弁理士になった岡崎さんはしばらくして独立、自分の特許事務所を開設した。その後、特許の出願だけではなく万が一訴訟になったときもワンストップサービスで対応できる事務所を目指し、ほかの弁理士や弁護士たちの事務所とも合併。誰もがその社名を知るような企業を顧客に持つなど、仕事は順調そのものだった。
小脳出血を発症するまで約30年間、弁理士として働いていた岡崎さん(岡崎さん提供)
これまで以上に顧客を増やしていきたい。さらに仕事の規模を拡大しようと意欲に燃えていた岡崎さんを脳卒中が襲う。正月休みが明けたばかりの2016年1月5日、58歳のときだった。
「仕事を終えて家に帰り、入浴中のことでした。突然景色が横に流れていき、動けなくなったのです。浴室にしゃがみ込んでしまって、右側にはタオルなどがかかっていて左側には浴槽があるはずなのですが、景色が流れてうまく確認できませんでした」
あとでわかったことだが、右小脳の血管が破れて「小脳出血」を発症していた。
「浴室のドアを開けて座っていると、異変に気づいた妻が来て『救急車を呼ぼうか?』と尋ねてきました。断ったのですが、その後気持ちが悪くなって洗面器の中に嘔吐しているうちに、気が遠くなってきました。結局、妻が救急車を呼んでいたみたいで、遠くで息子の話す声や、救急隊員の声が聞こえてきたのを覚えています」
その後、救急車で搬送されたが、途中で岡崎さんは意識を失う。次に目が覚めたのは病院のベッドの上だった。
「最初は自分がどこにいるのかわかりませんでした。意識を失っている間に開頭手術を受けたのですが、それもあとで医師から聞きました」
退院後も残る脳卒中の後遺症
岡崎さんは救急車内で意識を失ったあと、病院に運び込まれる。血圧が200以上もあり、小脳の血管が破れて流れ出た血の一部が脳幹にまで達していた。岡崎さんの妻の話によると、大きないびきもかいていた。一刻の猶予もない状態だった。岡崎さんは集中治療室に運び込まれ、8時間かけて小脳の出血部を取り除く手術を受ける。
小脳は大脳の下側、後頭部の背骨寄りにある。大脳に次いで2番目に大きい
【写真】家の中で歩行器を使って移動する岡崎さん
かなり危険な状態ではあったが、岡崎さんは幸運にも一命を取り留めた。
「目覚めたのは倒れた翌日だったと思います。ただ、身体がまったく動かない。自分に何が起きているのかわからず医師に聞いたんですが、そのときは『うーん、筋肉がないんじゃない?』と言われただけだったように思います。自分が小脳出血を患ったときちんと理解できたのは、しばらくたってからでした」
倒れて手術を行ってから1か月たっても、身体は動かない。そのころ、岡崎さんはリハビリを行うためにリハビリテーション病院に転院した。

「あとで聞いて知ったのですが、小脳には力の入れ具合やバランスなどを計算して運動を調節する機能があるそうです。だから小脳の一部を取り除けば、これまで意識せずに当たり前のように行ってきた動作ができなくなるんです」
歩く、自転車に乗る、食事時に箸を使って食べ物をつまむ。そういう当たり前のように思える行動が、岡崎さんは一切できなくなった。
「硬直している筋肉を動かすリハビリと違い、動かし方がわからなくなってしまっていたので、本当につらかったです。当初はなぜ自分が歩けないのか理解できずに悩んでいたんですが、小脳の役割を知ってからは納得しました。歩く練習をさせられるんですが、これがキツい。右足を前に出して、その次は左足を前に出して、時折前方を確認して、といちいち考えながらでないと歩けないんです。そんなばかなことありますか?」
岡崎さんは、こう嘆く。倒れてから5年余りたった今でも、岡崎さんは歩行器なしでは歩けない。当然車の運転もできないので、自ずと外出はできなくなる。そんな状態でも、諦めずにリハビリを続けている。今でも週に2度、1度は介護士に自宅まで来てもらって、もう1度は自宅の前まで車で迎えに来てもらい、リハビリ施設まで通っているという。
「退院したばかりのころは、今の倍はリハビリに通っていました。これでも少なくなったほうです」
岡崎さんが根気強くリハビリを続けるのには理由がある。
「運動しておかないと寝たきりになってしまうという思いはありますが、それだけではありません。脳は一度失うと再生しません。つまり私の小脳はもう二度と再生することはないのですが、脳出血などで失われた脳の機能を、脳の別の部位が肩代わりしてくれることがあると聞きます。もしかしたら、失った小脳の代わりに運動を調節する機能を私の脳のどこかが引き受けてくれるかもしれない。それに期待して、リハビリを続けているのです」
小脳出血の後遺症は、今もなお岡崎さんを苦しめている。利き手だった右手は、思うように動かないままだ。普段は意図したのと近い動きができる身体の左半分を主に使い、生活を送っている。パソコンのキーボードは左手だけで操作し、食事の際も左手でフォークを持つ。

「左手で箸を使う練習をすればいいと言われることもあるんですが、左手で箸を持とうとすると震えてどうしてもうまく使えないんです」
運動の調節ができなくなっているのは、手足など身体の見えている部分だけではない。
「舌の筋肉もうまく調節して動かすことができなくて、こんな話し方になってしまうんです」
文字にするとわかりにくいが冒頭でも述べたように、岡崎さんの話し方はたどたどしく、かなりゆっくりだ。酩酊している人の話し方に似ていると言えば、イメージしやすいかもしれない。これも小脳出血の後遺症だという。さらに、岡崎さんは続ける。
「舌の筋肉の動きが悪くなったように、飲み込む力も弱くなるんです。退院したばかりのころは、食べ物を飲み込むということが本当に大変で、ほとんどできませんでした。ほかには、呼吸のことも知ってもらいたいですね。呼吸するときは、横隔膜が肺を動かしているのですが、この横隔膜も筋肉なんです。だから倒れて間もないころは横隔膜の動きも悪くて、呼吸するのがしんどかったですね」
飲み込む力や横隔膜の動きは今では改善されているそうだが、小脳出血の後遺症は思いもよらないところにまで及ぶということがわかる。
仕事を続けられず収入がゼロに……
岡崎さんは倒れて入院してから約半年後に退院した。退院して最初に気になったのは、仕事のことだった。当然特許事務所に復帰して働くつもりだったが、そうはならなかった。
「入院中は今よりもっとうまく話せなかったので、当時事務所を共同経営している弁理士や弁護士とは、妻にやりとりしてもらっていました。私が話すと大変なので。それで退院後、事務所に復帰しようと思って妻に『いつから事務所に行けばいいですか?』と聞きに行ってもらったんですが、その返事が『もう来ないでほしい』でした」

弁理士の仕事は多岐にわたり、特許出願時には発明した人と対面で綿密な打ち合わせが必要になるのだそう。歩行器を使わないと歩けなくなった岡崎さんでは、倒れる前のように業務をこなしていくのは難しいと判断したのかもしれない。
「結局その申し出をのんで、辞めざるをえませんでした」
その後、自宅を自身の特許事務所として登録したが、不自由な身体では新たな顧客を見つけてくるのも難しい状況だった。
小脳出血を発症するまではいたって健康で、ゴルフのコンペにもよく参加していたという 撮影/佐藤靖彦
【写真】家の中で歩行器を使って移動する岡崎さん
「うまくしゃべれない、歩けないじゃ、『こいつに仕事頼んで大丈夫か?』と思われてしまいます。たとえ頭の中がはっきりしていても、です」
せっかく無事退院できたのに、次の問題が襲いかかってきた。仕事がない、つまり収入がないことである。
「倒れて入院したときから収入がなくなりました」
入院費用は個室に入っていた最初の2か月間は月に約60万円、その後、大部屋に移ってからの4か月間は、月に約30万がかかった。入院していた半年間で、合計約240万円かかったことになる。相当な金額だ。
「でも、入院費用は健康保険を使えばあとである程度戻ってくるので、そこまで負担ではありませんでした。想定外でつらかったのは、退院後に特許事務所を辞めることになり、収入が途絶えたことです。自宅マンションのローンもまだ残っていたのに……。正直、頭を抱えました」


生きている限り生活費はかかる。妻も息子もいる。住宅ローンに加えて3人分の生活費もかかる状況の中、収入ゼロでどうやって乗り切れたのだろうか。
「幸運なことにそれまでの蓄えがあったのと、医療保険に加入していたのでその保険金で、何とか親子3人で生活していくことができました」
左手だけで始めた新たな挑戦
今年5月には知人が所長を務める「ウィルフォート国際特許事務所」に再就職でき、一定の収入も確保できたという。今は自宅からリモートワークで若手の弁理士たちにアドバイスを送る日々を送っている。そんな岡崎さんは、脳卒中になるかもしれないと思っている人々に、アドバイスを送る。
「脳卒中になると、とにかくお金がかかります。私のように、仕事を失うかもしれない。無事に退院できても、再就職にも困るかもしれない。そう考えると、もし自分が脳卒中になるかもと心配な方は、私の経験から言っても、医療保険には加入しておいたほうがよいと思います」
岡崎さんは若いころから医療保険に加入していたという。
「最初のころは月に1万円程度の掛け金でした。脳卒中になったころは、月3万円くらいかな。でも入っていて、本当によかった。もし加入していなかったら、相当まずいことになっていたと思います」
さらに続ける。
「脳卒中を発症すれば働けなくなる場合があるので、備えておくしかないと思います。日本では平均寿命が延びていて、脳卒中患者の多くは高齢。ですので、この先も脳卒中になる人が激減するとは考えにくい。自分がいつか脳卒中になるかも、と考えておくことが大事です」
岡崎さんは、再就職して定期的な収入も生まれた。お金のことで悩むことも少なくなったのではないだろうか。
「そんなことはありません。今の特許事務所で働けているのは、たまたま所長が古い知り合いで、彼の厚意によるものです。ずっとこのまま甘え続けるわけにはいきません」
そんな岡崎さんが考えたのは、弁理士としての経験や知見を書き残すことだった。
「左手でしかキーボードを打てませんが、文章を入力するのは何とかなります。実は再就職する前から執筆活動を始めていました」
岡崎さんが書きためていた原稿は昨夏、『特許を巡る企業戦争最前線』(海鳴社)という書籍になり、発売された。弁理士仲間の間でも評判になり、手ごたえを感じた。
書籍化を目指し、パソコンに向かって左手一本で闘病記を入力する 撮影/佐藤靖彦
【写真】家の中で歩行器を使って移動する岡崎さん
「今は脳卒中の闘病記を書き始めています。この活動が何とかモノになればいいですね」
脳卒中から生還しても、人生は続く。後遺症がある中、どう働いて収入を得ていくのか。岡崎さんの経験は、その重要さも教えてくれる。
脳卒中は一体どんな病気なのか?
元気で何の前兆もないのに、突如として発症するのが脳卒中の怖いところ。でも脳卒中という言葉はよく聞くが、詳しい症状や治療法などについてはご存じだろうか? 脳卒中の専門医に詳しく聞いた。
岡崎さんが話すように、脳卒中の実態はよく知られているとはいえない。そこで、はしぐち脳神経クリニック(福岡県福岡市)院長の橋口公章先生に詳しく聞いた。

「脳卒中は、脳の血管に異常が起こる病気の総称として使われています。脳の血管の異常は大きく分けて3つ。脳の血管が詰まるのが『脳梗塞』で、脳の血管が破れるのが『脳出血』。そして脳表面の膜と脳の間にある血管が破れる『くも膜下出血』という症状があります」
岡崎さんは脳出血だった。
脳の血管異常で起こる病気の違い
【写真】家の中で歩行器を使って移動する岡崎さん
「脳出血にも出血する部位によって症状が変わります。大脳だけでも被殻出血、視床出血、皮質下出血があり、加えて脳幹出血、そして小脳出血があります。出血した部位によって症状も変わります」
脳卒中の症状はひと言では言い表せないようだ。では岡崎さんが患った小脳出血とは、どのようなものなのか。あまり体験談を聞かない病気だが、珍しい病気なのだろうか。

「脳出血になるのは、脳卒中の中の2割程度です。そして小脳出血は脳出血の中の約1割。多くはないですが、珍しいというほどではありません。患者はほとんど50~60代以上ですね。小脳は運動のサポートをする器官。なので、小脳出血が起こると、酔っぱらったような歩き方になったり、舌をうまく動かせず呂律が回らない話し方になったりします。ほかの脳出血と異なるのは動くけどバランスが取れない状態なので、麻痺とは違います」
動かせるようにするにはリハビリが必要だというが、脳の出血部位によってリハビリの内容も変わるのだろうか。
「何ができないかによってどのようなリハビリをするかが決まるので、個人差が大きいです。ただ、後遺症によっては、出血部位にかかわらずリハビリの内容は似たものになることがあります。特に歩けない場合には歩くためのリハビリは必須。これは大脳出血でも小脳出血でも同じです。そしてどの症状でも、できないことをできるようにするわけですので、リハビリはつらいものになります」
脳卒中になる前に、何か前兆はあるのだろうか。
「脳卒中は、ある日突然起こる病気です。脳梗塞やくも膜下出血の場合は運動障害やめまいなどの前兆が出ることもありますが、脳出血の場合は前兆なく発症することがほとんど。脳の血管が傷んで破れるまで気づかないのです」
岡崎さんも、ある日突然めまいがして動けなくなった。
「小脳出血では、後頭部の痛みやめまい、吐き気といった初期症状が出ることがあります。初期症状が出た場合は、すぐに病院に行かなければ手遅れになる可能性があります。その状態が数時間続けば意識を失い、最悪死に至るケースもあるのです」
予防できるのだろうか。
「前兆はなくても、実は予防することは可能です。脳出血を罹患する人の多くは、高血圧なのです。つまり、日常の高血圧を放置しておかないことが脳出血の予防になります」
突然、脳卒中で倒れたりしないように、高血圧には注意しておきたい。
<取材・文/仁井慎治(エイトワークス)協力/企画のたまご屋さん>

胃の不調の原因は加齢による自律神経の乱れ。年末年始は要注意!6つの習慣で働きを整える

2021-12-31 13:30:00 | 日記
下記の記事は婦人公論.jp様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

暴飲暴食しがちな年末年始。年齢を重ねるにつれ、胃もたれや胸やけなどが起きやすくなったと感じる人も多いのでは。その原因は加齢による自律神経の乱れにあるようです。普段からできる胃の調子を整える方法をお伝えします(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)
胃そのものは衰えにくい
今年の年末年始は久しぶりに家族や親戚、友人などと集う機会が増えそうです。
そんな場面ではつい食べすぎ、飲みすぎてしまい、胃の調子を崩しがち。加齢によって胃の働きも衰えますから、心配なところです。
「胃はとても丈夫な臓器。胃かいようや胃がんなどの病気があれば話は別ですが、加齢による影響はそれほどありません。仮に20歳と90歳の健康な人の胃を取り出して、どっちがどっちと問われても、医師の私でも判断しづらいほど。健康であれば、いくつになってもしっかり働いてくれる臓器が胃なのです」と説明するのは、兵庫医科大学の三輪洋人先生。となると、加齢とともに胃の調子を崩しやすくなるのはどうしてでしょうか。それは、自律神経の影響を大きく受けるから、と三輪先生は説明します。

「胃は自分の意思で動かすことができません。食べ物が入ってきたら、適切なタイミングで膨らんで胃液を分泌し、ぜん動運動によって食べ物を攪拌して腸へと送っていく。そうした機能をすべてコントロールしているのが自律神経です。ところが、自律神経は加齢によって乱れやすくなるため、胃が十分に膨らみづらくなったり胃液の分泌が滞ったりして、不調を起こすのです」(三輪先生。以下同)
さらに、ストレスも自律神経に悪影響を及ぼすといいます。
「悩みごとがあると胃が痛んだり、食欲不振に陥ったりという経験は誰しもあるでしょう。不安やストレスは自律神経を乱れさせる大きな要因になり、胃の働きを悪化させます。あれこれ考えながら食事をするのは、最も悪い習慣。考えごとがあっても食事どきは忘れて、料理を味わいながら楽しく食事することを意識しましょう」
「食べる」ことに恐怖心が芽生えることも
ストレスが自律神経に与える影響が大きくなると、慢性的に胃の不調をもたらすことにもつながるといいます。
「胃の具合が悪いと言って来院し、検査をしてもこれといった病気が見つからない、というケースは少なくありません。病気ではないのに胃の不調が続くようなら、機能性ディスペプシアの可能性があります」
機能性ディスペプシアという病名は、あまり聞き慣れませんが、近年増えているそうです。

「食事を始めてすぐにお腹いっぱいになってしまう早期膨満感や、食後の胃もたれ、胃痛、みぞおちが焼けるような感じなどの症状が半年以上続き、週に2、3度以上の頻度で起こる場合、医学的に機能性ディスペプシアと診断します」
胃の不調が頻繁に起こると、「食べる」ことに恐怖心が芽生えたり、気分の落ち込みをともなうこともあるそう。
「治療は内服薬で胃の不調を改善するとともに、不安やストレスを取り除く生活習慣についてアドバイス。ときには、心療内科的治療を勧めることもあります」
胃の調子を崩さないためには、ストレスを溜め込まないこともポイントです。
次ページからは、胃の働きを整える生活習慣について詳しく紹介します。暴飲暴食を控えるのはもちろん、自律神経のバランスを保つ生活習慣を心がけて、楽しい年末年始を過ごしましょう。
機能性ディスペプシアの主な症状
●すぐにお腹いっぱいになる・食欲不振
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通常、胃に食べ物が入ると胃の上部が膨らみ、食べ物を溜めておくことができる。しかし、胃の機能が低下すると十分に膨らまないため、食べ物を溜めておけず、すぐにお腹いっぱいになる。
 
●胃もたれ・胃が重い
食べ物が胃に入るとぜん動運動が起こり、胃から十二指腸へと食べ物が送られるが、ぜん動運動がにぶくなると胃もたれなどの症状を起こす。
 
●みぞおちの痛み、みぞおちが焼けるような感じ
胃の粘膜が胃酸に対して敏感になり、みぞおちのあたりが痛んだり、熱く感じたりする。
1)食事・運動・睡眠のリズムを整えて
自律神経のバランスを保つには、食事・運動・睡眠のリズムを整えることが大切といいます。
「毎朝決まった時間に起きて、朝食をしっかり摂ること。また、散歩など30分程度の軽い運動を毎日、取り入れるようにしましょう。

夜もできるだけ同じ時間帯にベッドに入るようにして、夜ふかしは避けて。こうした規則正しい生活を心がけることで、胃の調子は改善します」(三輪先生。以下同)
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2)胃酸を刺激する食べ方に注意
胃酸が過剰に分泌されると、胃もたれや胸やけの原因となります。
「食べすぎたり、脂肪分を多く摂ったりすると、しっかり消化しようとして、胃酸が多く分泌されます。
それを抑えるには、脂っこいものは控えめにして、腹八分目を心がけて。
また、胃酸が逆流しやすいので、食後すぐに横になるのはやめましょう」
3)胃を圧迫しないで
胃を抑えつけることも、胃酸の逆流を招きやすくなります。
「前かがみになるデスクワークを長時間続けると胃を圧迫してしまうことがあるので、姿勢を変えたりストレッチしたりして、時々体を動かすようにしましょう。ウエストをきつく締めるタイトな洋服も胃を圧迫するので、なるべく避けて」
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4)調子が悪いときは刺激物を控えて
「辛いものや酸っぱいものは、胃酸の分泌を刺激しすぎるので、胃の調子が悪いときは控えて」
粘り気のあるお餅も消化にはよくないため、お正月といえどもほどほどに。
「LG21乳酸菌は、胃もたれや胃痛といった胃の不調を改善するといわれています。LG21乳酸菌入りのヨーグルト摂取を習慣にするのもよいでしょう」
5)市販薬で不調を上手に軽減
胃の不調を感じたときに頼りになるのが、手軽に入手できる市販薬です。
「食べすぎなどによる食後の胃もたれには、消化を助けるタイプの薬を。また、胸やけや胃のむかつきなどがある場合には、胃酸過多の可能性があるので胃酸の分泌を抑えるタイプの薬を選びましょう」
ただし、服用しても改善が見られなかったり、不調が長引く場合には、病気が隠れている可能性も。そのときは、医師の診断を仰いで。

 
6)ピロリ菌検査を受けて
「ピロリ菌はふかふかの絨毯のような胃の粘膜を徐々に破壊し、薄くすり切れた状態にしてしまい、胃かいようや胃がんを引き起こします。感染率が高いのは50歳以上。検査で早めに見つけて除菌をすれば、発症リスクを下げられます」
検査には健康保険は適用されませんが、除菌治療には適用されるそう。一度、受けておくと安心です。
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イラスト: 小林マキ
取材・文・構成:葛西由恵(インパクト)

出典=『婦人公論』2021年12月28日・1月4日合併特大号
三輪洋人
兵庫医科大学病院消化管内科主任教授、同内視鏡センター長。医学博士
鹿児島大学医学部卒業。専門は逆流性食道炎、機能性胃腸症、ヘリコバクターピロリ感染症など。著書に「『胃もたれ・胸やけ」は治せる』『胃は歳をとらない』

胃がんの原因の99%は「ピロリ菌」検査すべき理由

2021-12-31 12:00:00 | 日記
下記の記事をお借りして東洋経済様のホームページより紹介します。(コピー)です。

日本人男性の2人に1人が“がん”になると言われて久しいが、なかでももっとも恐ろしい病気の1つとして認知されているのが、“胃がん”だ。
当記事は、『OCEANS』の提供記事です。
住吉内科消化器内科クリニックの倉持章先生によると「胃がんは“とある菌”を除去すれば、99%防ぐことができます」という。ってことで、先生、胃がんのリアルを教えてください!

そもそもカラダのサインがない、胃がん
──「胃がん」と聞くと、どうしても恐怖を感じてしまいます。
倉持章/住吉内科消化器内科クリニック理事長。10万件を超える検査経験を持つ内視鏡のスペシャリスト。“胃がん死ゼロ”をモットーに、予防と早期発見に注力し地域医療に貢献する(写真:OCEANS編集部)
確かに、全部のがんのうち男性の胃がんは2番目に頻度が高く、残念ながら胃がんが原因で亡くなられる方も、年間約5万人と非常に多いのが現状です。しかし本来、胃がんは不治の病ではなく、早期に見つけることさえできれば治せる病です。
なのに、初期段階で症状が出ないせいで気づかず放置されてしまうことが多く、 何かしらの症状が出たときにはすでに手遅れとなるケースも少なくありません。
──ということは、胃がんは避けて通ることができない病気なのでしょうか?
遺伝性による避けられないがんがある中で、“防げるがん”として対策を取れるものも多くあります。実は、胃がんがその1つです。原因の99%は「ピロリ菌」であることが世界でも認められています。
──原因は細菌なんですね。
ピロリ菌とは、胃の中に生息する細菌です。人間への正確な感染経路はわかっていませんが、食料や飲料水を介して体内に入ると考えられています。そして感染する時期は、おおよそ5歳くらいまでの幼少期であるとわかっています。なので、成人した大人がこれからピロリ菌に感染することはまずありません。
──つまり、現在ピロリ菌がいなければ、生涯で胃がんになることはないということですか?
まさしく、そのとおりです。成人である現在、みなさんの体内にピロリ菌がいない(一度もいたことがない)のであれば、この先胃がんになる心配はほぼありません。
ピロリ菌検査をしよう
──胃がんへの漠然とした不安を、一気に吹き飛ばせそうです。自分の体にピロリ菌がすんでいないか、いますぐ知りたいです!
正確なことは検査をしなければわかりませんが、これまでピロリ菌検査をしたことのない方には必ず下記の質問をしています。そして、1つでも当てはまる方は、ピロリ菌検査をお勧めします。
① 幼少期、井戸水がひかれているような田舎で過ごした経験がある。
② 家族にピロリ菌陽性と判明している人がいる。
③ これまでに胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断されたことがある。    ──これらに当てはまる方は、すぐさま病院での検査が必要なんですね。
例えば、先ほど「胃がんの初期症状はない」とお伝えしましたが、がんになる一歩手前の状態を見つけることができます。
“キリキリした痛み”が特徴である胃炎が続く場合、診断された患者さんのほとんどにピロリ菌が確認されています。慢性的な胃炎は胃潰瘍・十二指腸潰瘍に進行することもあり、事実、胃潰瘍の約80%、十二指腸潰瘍の約90%にピロリ菌が見つかっています。
なので、過去に胃潰瘍などと診断された方は、ピロリ菌を発見・除去し、胃がんを防ぐチャンスです。私はこれを “幸運の潰瘍”と呼んでいます。
──症状の理由をハッキリさせることが重要ですね。ちなみにピロリ菌検査は、誰でも受けられるのでしょうか?
はい、誰でも受けることができます。検査方法として、いちばんポピュラーなのは、内視鏡検査、通称・胃カメラです。人間ドックや健康診断でも可能ですし、胃の不調があるなど条件を満たせば、健康保険適用内で検査を受けることができます。
──胃カメラって、あのめちゃくちゃつらい検査ですよね……ほかにはないですか?
胃カメラが苦手な方、加えて胃炎・潰瘍と診断されたことはないけれど一度確認しておきたいという方には、自費診療で受けられる検査があります。採血検査である「血中抗体検査」、呼気を採取するだけの「尿素呼気試験法」はつらさがなく、とても簡単です。
健康診断でもオプションでピロリ菌検査ができるケースも増えていますので、ぜひ一度確認してみてください。そしてこれらの検査でピロリ菌が見つかった場合は、薬で簡単に除去できます。
──とてもシンプルですね! 一度ピロリ菌検査・除去をすれば、もう胃がんの心配はないのでしょうか?
ピロリ菌検査で発見されなかった場合は、その心配はありません。ただし、ピロリ菌が見つかった場合には、一度除菌したとしても、念のため3年に1度は検査を行ってください。
腹部に感じる不調は、「胃」が原因とも限らない
──最後に、年々頻度の増える胃もたれ・胸やけなどは、生活習慣を正して様子を見るしかないのでしょうか?
ご自身での判断は非常に危険なので、まずは医師にかかってください。そもそも腹部の症状は複雑であり、本当はどの臓器で起こっている症状なのか、正確なところは実際に診察・検査をしないとわかりません。ちなみに、診察を受けた“ついで”に、ピロリ菌が見つかるケースも多くあります。
──病院にかかって自分のカラダがどういう状態か、つねに知っておくことが大切ですね。
原因さえわかれば漠然としたストレスも減り、手の打ちようも出てきます。わずかでも感じた体の不調に、まずは“神の声”と思って、病院へ行ってみる。同輩にあたるオーシャンズ読者のみなさまには、どうかそうあって欲しいと思います。
ピロリ菌を除去すれば、胃がんだけでなく、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった病気のリスクも大幅に軽減できるという。備えあれば憂いなし、ということで、まずは検査から始めてみよう!
取材・文/長瀬瑠美奈


追記:上記文中に「胃カメラって、あのめちゃくちゃつらい検査ですよね」とありますが私は個人クリニックでやりました。口から内視鏡を入れましたが痛みも苦しみも全然ありません。心配しないでください。消化器内科の先生に相談してください。

愛子さま“皇族としての自覚”育んだ「蚕飼育10年」と「平和の作文」

2021-12-31 11:00:00 | 日記
下記の記事は女性自身様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

12月5日、ローブ・デコルテ姿で成年行事に臨まれた /(C)JMPA
【写真】すべての画像を見る(他9枚)
半年ほど前、宮内庁はある写真を公開した。それは愛子さまがお住まいで育てられた蚕の写真だった。なんと愛子さまは学習院初等科3年生のころに授業で蚕を育てて以来、毎年、卵から孵化させ、何世代にもわたって飼育を続けられているのだという。
 
「宮内庁担当記者でさえ、愛子さまが10年以上も前から蚕を飼育されていたとは誰も知らず、驚きの声が上がりました」(皇室担当記者)
 
養蚕は、明治以降の皇后が代々受け継いできた皇室の伝統であり、雅子さまも美智子さまから引き継いで、皇居の紅葉山御養蚕所に通われている。
 
蚕業技術研究所の代田丈志さんによれば、蚕の保護には手間と知識が必要だという。
 
「卵から育てる場合には、適切な時期に孵化させる必要があり、温度管理がたいへん重要になります。孵化してからもこまめに掃除をして衛生的な飼育環境を整えたり、5月の給桑の時期には毎日様子を見て1日に1回をやったりといった手間が不可欠です」
 
登校不安が報じられて以降の愛子さまは、精神的な不安定さばかりがクローズアップされてしまった印象が強い。
 
だが、実はこのころから皇室の伝統に関心を抱き“皇族としての自覚”を深めていらしたのだ。
 
課外活動にも取り組まれるようになり、4年生のころには管弦楽部へ入部。5年生からはバスケットボール部での活動も始められた。
 
’13年の演奏会では、ビオラを演奏される天皇陛下ともオーケストラで共演を果たされた。このとき指揮をした学習院OB管弦楽団の音楽監督・福田一雄さんは「オーケストラでともに練習するお友達ができたことが、愛子さまが抱えられていた問題の解決に結びついたのでしょう」と語る。
 
女子中等科に進学されると、’16年には神武天皇山陵を参拝され、両陛下と一緒にご公務として「山の日」制定記念式典にも出席された。雅子さまもこの年、誕生日のご感想で《皇族としての自覚と役割を学びつつあるようにも感じます》と記されていた。
 
その“自覚”が感じられる、一つの作文がある。女子中等科卒業にあたって記念文集に寄せられた「世界の平和を願って」と題された、広島への修学旅行での経験を綴られた文章だ。
 
《何気なく見た青い空。しかし、空が青いのは当たり前ではない。毎日不自由なく生活ができること、争いごとなく安心して暮らせることも、当たり前だと思ってはいけない》
 
広島で原爆ドームや平和記念資料館を見学された愛子さま。そこで、原爆被害の甚大さ、悲惨さに衝撃を受け、怒りと悲しみを覚えたという。
 
《日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まるのではないだろうか。そして、唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う。「平和」は人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくものだから》
 
両陛下は愛子さまに「感謝と思いやりを大切に」と、言い聞かせてこられた。その“感謝と思いやり”は、この作文のキーワードにもなっている。
 
「愛子さまは、その言葉が皇族としての心がけにとどまらず、平和の礎でもあると、ご自身の思索の中で気がつかれたのです」(宮内庁関係者)

18年8月、須崎御用邸で取材に応じられた両陛下と愛子さま /(C)JMPA
 
■「家族から社会を知る」両陛下の子育てにあった信念
 
令和への御代替わりが近づくにつれ、雅子さまの体調は適応障害の療養を続けるなかで上向いていった。そして皇后となられてから、通訳なしで海外の要人や王族をもてなされるお姿に、国内外から注目が集まった。
 
ただ、完全に復調されたわけではなく、十二単などの装束で長時間にわたる儀式に臨まれるのは大きな負担であったはずだ。
 
「実は、愛子さまは早朝と深夜、儀式に向かわれる両陛下をお見送りされていたそうです。雅子さまにとって、何よりも心強かったでしょう」(前出・宮内庁関係者)
 
成長された愛子さまが、今度は皇后となられた雅子さまをお支えになったのだ。
 
雅子さまは、ご公務にお出ましになれない時期に愛子さまの付き添い登校をされたことで“国民よりも家族優先”などと批判されたこともあった。
 
なぜ、雅子さまはそれほどまで一心に愛子さまを守り抜かれたのか─―。そこには、天皇陛下の揺るぎないお考えがあった。
 
「私は、家族というものは社会の最小の単位であると思います。家族を理解することによって社会を知るということ、これはとても大切なことではないかと思います」
 
陛下は、愛子さまのご誕生に際しての会見で、家族の大切さをこう述べられていた。愛子さまに、皇族として国民を愛することができる人になってもらいたい─―。そのためにはまず、家族から“愛し、愛されること”を知る必要があると、天皇陛下と雅子さまはお考えになったのだ。
 
《様々な方と出会い、関わることを通じて、人と人とが互いに手を取り合い、交流の輪が広がっていく素晴らしさを学び、全ての経験が、今、私の財産となっています》
 
そう成年のご感想に綴られた愛子さま。この20年は愛子さまにとって、楽しい経験ばかりではなく、つらく、悲しい経験も少なくはなかったはずだ。それでも「私の財産」と受け入れ、国民に優しいまなざしを向けられるようになった陰には、天皇陛下、そして雅子さまが注ぎ続けた、大きな大きな愛情があったのだ。
 
コロナ禍に見舞われ、先の見えない不安な時代。愛情深く優しいプリンセスのはつらつとした姿が、日本を、世界を明るく照らす─―。

お断り 皇室関係の記事は今回もって休止させて頂きます。新しい動きが出れば復活します。有り難うございました。

「追加接種」ファイザーとモデルナどちらが正解?

2021-12-31 10:00:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

    南アフリカ共和国から広がった「オミクロン株」が、新型コロナウイルス変異株の勢力地図を塗り替えようとしている。日本国内でも市中感染が報告され始めた。
    一番の気がかりは、ワクチンの効果の低下や、接種を完了していても防ぎきれない「ブレイクスルー感染」だ。
同じワクチンの「追加接種」に意味はある?
    現時点での最善策は「追加接種」――というのが世界の共通認識だ。イスラエルは世界に先駆け、4カ月間隔で4回目接種の実施を発表した(12月22日AFP通信)。
    「同じようなワクチンを繰り返し打つだけで意味があるの?」と思う人もいるかもしれない。しかし最新研究を見る限り、ファイザー製もモデルナ製も、3回接種を受ければオミクロン株にもギリギリ対抗できそうだ。
    ファイザーについては12月14日、イスラエルの共同研究の成果が示された(査読前論文「medRxiv」)。ファイザー2回目接種から5~6カ月経った人の血液では、オミクロン株に対する十分な「中和抗体価」(無力化し予防する能力)は確認できなかった。
    それが3回目接種で100倍に回復。デルタ株への効果に比べれば4分の1にとどまるが、それでも十分との見方だ。
    モデルナ製についても12月15日、研究結果が公表された(査読前論文「medRxiv」)。やはり2回接種者の血液では、オミクロン株の中和能力は従来株と比べて1/84~1/49と、大幅に減少した。
    3回目接種後はワクチン半量だったが、従来株比1/6.5~1/4.2で踏ん張り、減少スピードも緩やかで、十分と判断された。
    つまりモデルナの3回目接種では、ワクチンの量が半分で済む。同社ワクチンは「モデルナアーム」(2週間後に接種部位に現れる局所的な炎症。T細胞の反応とされる)が起きやすいことも指摘されてきた。半量だとこうした副反応もマイルドになると期待できる。
    問題は、追加接種の時期と、ファイザー製 or モデルナ製の選択だ。
    国内ではすでに両方のmRNAワクチンが追加接種の薬事承認を受けている。その時期について厚生労働省は当初から、「原則2回目接種から8カ月後以降」としてきた。
    だが、この「8カ月」という数字は科学に基づくものではない。
「8カ月後以降」は科学を無視した大号令
    ワクチン2回接種で得た新型コロナへの抗体の効力は、オミクロン株でなくても半年で大幅に減ることが世界中から報告されている。
    アメリカのブラウン大学他の研究チームの報告では、ファイザーワクチン接種完了の半年後、抗体価は80%以上減少していた。国内でも同様の報告が続々上がってきている。
    当然、国内でもファイザー製とモデルナ製ともに、追加接種は2回目接種の日から「6カ月」以降として薬事承認されている。
    実際の運用はどうか。世界的には最新の研究結果等を踏まえ、6カ月すら待たないところも多い。オミクロン株の急拡大を受けた迅速な判断だ。
    EU医薬品庁(EMA)は加盟国に対し、接種完了から6カ月以降の追加接種を推奨してきた。12月7日には最新データに基づき、「最初の接種完了から、早ければ3カ月後に実施することは安全で効果的」と説明した。
    オミクロン株の出足が早かった英国も、ジョンソン首相が同12日、2回目接種から「3カ月」以上を経た18歳以上の国民全員を対象に、追加接種の年内前倒しを表明している(12月13日「BBC」)。
    対してわが国では、一時は11月早々に「6カ月」の例外を設ける方針も示されたものの、あっさり厚労省通知によって骨抜きにされた。例外の対象を、クラスターが発生した医療機関に限定し、事前に厚労省に相談を求めたのだ(11月17日厚生労働省自治体向け説明会資料「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について」)。
    すったもんだの末、岸田首相は12月17日、医療従事者や高齢者施設の職員・重症化リスクの高い利用者の合計3100万人分に限り、接種間隔を「6カ月」以降とする前倒しを表明した。
    それ以外の高齢者も来年2月以降、2回目から「7カ月」経った人から順次接種を受けられるようにするという。自治体は振り回されっぱなしだ。
    国内のドタバタ劇はひとえに、ワクチン供給・配送が追いついていないことによる。上記3100万回というのは、今あるファイザー製・モデルナ製を合わせた在庫分と見られる(ちなみに岸田首相は「6カ月」表明の前日、同社CEOに電話で直談判し、供給の前倒しを依頼したようだ。だが、確約が取れたという話は聞かない)。
    ファイザー・モデルナともに在庫が限られている中での見切り発車なら、両ワクチンをちゃんぽんに打つ「交互接種」の必要が出てくる。
    例えば、これまで自治体を通じた個別接種はファイザー製だったが、3回目ではモデルナ製も使用されることになる。職域接種や集団接種でモデルナ製を打った人が、3回目はファイザー製ということもありえる。
    1・2回目の交互接種については、すでに9月17日の第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で了承されている。追加接種での交互接種も、11月15日開催の同分科会で認められ、厚労省がリーフレットまで準備して盛んに推し始めた。
    同省がその根拠としているのが、10月に公開されたアメリカの共同研究(査読前論文「medRxiv」)だ。それによると、組み合わせによって、3回目接種から15日後の中和抗体量(平均)の増加が、以下のとおり違ってくる。
    ●1・2回目ファイザー + ファイザー追加 → 20倍
    ●1・2回目ファイザー + モデルナ追加 → 31.7倍
    ●1・2回目モデルナ + モデルナ追加 → 10.2倍
    ●1・2回目モデルナ + ファイザー追加 → 11.5倍
    興味深いことに、追加接種では1・2回目とは違うワクチンを選んだほうが、同じ種類を選ぶよりも免疫の強化につながりうる結果となった。
    交互接種を後押しするようにもみえるが、一方で、先にモデルナ製を接種した人たちがファイザー製を希望する理由ともなり、その不足を助長する可能性もある。
各メーカーが開発急ぐ「オミクロンワクチン」の是非
    そもそも新型コロナワクチン2回接種を完了すれば、私たちは晴れて“自由の身”になれるはずだった。
    日本国内ではファイザーもしくはモデルナのワクチン接種を2回完了した人が、約8割に到達しようとしている(12月22日時点)。スマホでのワクチンパスポート「新型コロナワクチン接種証明アプリ」の運用も開始された。
    そこへオミクロン株の登場である。番狂わせもいいところだが、仕方ない。従来ワクチンの効果を揺るがす変異株の出現は、科学者たちが当初から予想していたことだ。
    ワクチンメーカーは現在、オミクロン株に特化した「オミクロンワクチン」の開発を急いでいる。
    ファイザー社は、来年3月にはオミクロン株対応ワクチンを供給できるとしている(12月9日「ウォールストリートジャーナル」より)。モデルナ社も、今後数カ月のうちに大規模製造が可能という(11月30日「フィナンシャル・タイムズ」)。
    WHOによると、従来ワクチンに限界をもたらしたのは、50個にも上る変異だ(11月30日「国連」)。そのうち32個は、免疫システムがウイルスを察知し、見分ける目印ともなる「スパイクタンパク」上に生じている。
    変異1つひとつは、いわば“プチ整形”にすぎないが、32カ所もあればウイルスの顔つきはすっかり変わる。「免疫からの逃れやすさ」を促す変異も生じており(11月29日「COVID-19 South African Online Portal」)、過去の感染や従来のワクチンの情報に基づく “顔認証システム”は、容易にすり抜けられてしまう。
    データベースにオミクロン株の情報を追加させよう、というのが「オミクロンワクチン」だ。
    だが、オミクロンワクチンが本当に必要かどうか、科学者の間には疑問の声もある。実用化される頃には、オミクロン波が収束している可能性もあるからだ。
    世界3大学術誌の1つ『Science』では、オミクロンワクチンよりもむしろ、いかなる変異にも耐えうる「汎コロナウイルス感染症ワクチン」に注目している。人類と新型コロナとの「いたちごっこ」に終止符を打つ切り札になるかもしれない。
    すでに複数の汎コロナワクチンが、霊長類などの動物実験で良好な成績を上げ、臨床試験に入っている。
それでも新型コロナは「ただの風邪」?
    とはいえ今この瞬間、オミクロン株の勢いは猛烈だ。
    12月22日、世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、オミクロン株は英国、デンマーク、ポルトガルですでに置き換わり、「向こう数週間で」欧州全体で主流になるとの予測を示した(12月23日「ロイター」)。
    英国では新型コロナ新規感染者が1日あたり10万人を超えた。オミクロン株の初報告から1カ月足らず、もちろん過去最悪の記録を更新中だ。
    アメリカCDC(疾病対策センター)も、12月18日時点でオミクロン株の割合が感染者の73.2%に上ったことを公表。その2週間前には0.7%、1週間前にはまだ12.3%だった。ワシントン州、ニューヨーク州、フロリダ州などでは、すでに9割超となっている。
    だが一方で、新型コロナはこの数年で「風邪」レベルに落ち着く、という話も絶えない。
    WHOは12月9日、南アの初期データに基づき、オミクロン株に「感染しても重症化しにくい傾向」が見られると指摘した。
    「しだいに感染力は高く、毒性は低くなっていく」のは、“ウイルスあるある”だ。
    変異はウイルスにとって有利・不利を問わずランダムに生じる。ヒトを即死させるほどに強力な毒性を持つこともあるが、それは自滅と同義だ。ウイルスは細菌などと違って自力では存在も増殖もできず、宿主(ヒト)の細胞に入り込み、その機能や材料を拝借して増えていくからだ。
    むしろただの風邪のように、宿主を「生かさず殺さず」程度の毒性に変異したものが、駆逐もされないままゆるゆると生き延びていく。
    オミクロン株では、科学的な裏付けもそろい始めた。
    12月22日に査読前論文が公開された英国スコットランドの研究では、オミクロン株の入院リスクはデルタ株よりも3分の2低下していた。11~12月の新型コロナ入院患者を調べたもので、ワクチンの追加接種者では、2回目接種から25週以上経過した人よりも症状が抑えられていた。
    同日公表されたインペリアル・カレッジ・ロンドンによる英国イングランドの研究でも、オミクロン株ではデルタ株に比べて入院リスクが40~45%低。受診の割合も20~25%低かった。
岸田政権の迅速な判断と行動力に期待
    もちろん当面はまだ油断できない。汎コロナワクチンも第Ⅲ相までの臨床試験をクリアしなければならならず、ここ数カ月で実現するものではない。
    最新の『Nature』によれば、重症化を防ぐ抗体医薬も、オミクロン株に対してはほとんどが無力だという。抗体カクテル治療薬の中和効果は低く、もっとも優秀なGSK社のモノクローナル抗体薬「ソトロビマブ」でも、他の変異株と同等の中和効果を得るには3倍の濃度が必要だった。
    重症に至らずとも、医学的な見地でいう新型コロナの「中等症」は、普通の感覚からすれば想像以上に苦しく厳しい。呼吸困難に陥り、人工呼吸器を導入するギリギリ手前の段階だ。
    合併症や後遺症も風邪の比ではない。合併症は呼吸不全にとどまらず、発熱など全身に炎症症状が現れ、心臓から腎臓、肝臓などさまざまな臓器で次々発生することも多い。軽症や無症状だった人でさえ、後遺症(いわゆるロング・コビッド)の生じるリスクもある(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き)。
    光が見えてきたとはいえ、新型コロナは現状まだ「全力で回避したい病気」に変わりない。まずは「今できること、すべきこと」を直ちに実行していくことだ。
    例えば、ワクチンの追加接種は、各自治体の裁量で前倒しして当然だ。先に厚労相から「自由に前倒しを認めるものではない」といった発言もあったが、ナンセンスでしかない。
    振り返れば、1・2回目接種だって実質的に「一律」でも何でもなかったのだ。具体的な実施方法は自治体に丸投げされ、その力量差が進捗状況に顕著に表れた。
    すでに各自治体の在庫や接種体制に差がついている中で、中途半端な「原則」の提示がかえって混乱を招いている。
    他方、岸田政権が12月23日、オミクロン株の市中感染が確認された大阪・京都と、感染拡大の懸念される沖縄で、希望者全員への無料PCR検査を早々に決めたことはおおむね高評価だ。
    新型コロナとの闘いでは、これまでになくスピーディーで柔軟な対応が求められる。政府内で足並みをそろえるのも難しいに違いない。それでも、新たなワクチンや治療薬の導入等はもちろん、海外との往来再開も、タイミングを逸すれば大きな社会・経済的ダメージにつながる。
    世界の動向を注視しつつ、科学をベースに適宜判断していくしかない。引き続き岸田政権の行動力に期待したい。
久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師