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岸本葉子「父を見送り、老後を考え〈暮らし替え〉を決めた。ヒートショック対策に壁や床の断熱対策も」

2021-11-21 13:30:00 | 日記

婦人公論.jp様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。

30代の頃から、居心地のいい空間を手に入れるために試行錯誤を重ねてきたエッセイストの岸本葉子さん。還暦という人生の節目を迎えた今、岸本さんが考える老いと暮らしの心持ちとは(構成=丸山あかね イラスト=松尾ミユキ)
50代後半に暮らし替え適齢期を迎えて
私は36歳でマンションを購入し、これで老後の住まいは万全だと思っていました。でも、どうやらその考えは甘かったようです。
たとえば、家を購入した時の大きな決め手の一つとなったのはリビングの大きな窓でした。年を重ねて家から出なくなっても室内に光を取り込めるし、開放感があるし、と考えていたのですが、実際には外の気温の影響を受けやすく、特に冬の寒さが予想以上に厳しくて……。
30代は重ね着で、40代はホットカーペットでなんとか。でも50代に入ったらごまかしがきかなくなってきて、自分の急速な体の変化こそが最大の予期せぬ出来事でした。
高齢者にはヒートショックが危険と聞くにつけ老後に不安を抱くようになり、還暦を控えた一昨年、壁や床の断熱対策も含めたフルリフォームに踏み切りました。
家を購入した当時は、結婚した時のことも想定して2LDKの間取りを選択したのですが、おひとりさまのまま老後に突入することがほぼ確定しまして(笑)。いつしか部屋数はいらない、ならば廊下もなくして部屋を広く使いたいといった具合に、フレキシブルな発想で自分にとって快適な住まいを作りたいと夢見るようになっていました。
さらに、約5年間にわたる父の介護を通して、寝室とトイレは近いほうがいいとか、トイレと洗面所の壁を取り払ってケアする人のスぺースを確保したい、といった我が家の改善点が浮き彫りに。
とはいえ、父の介護中は精神的にも体力的にもいっぱいいっぱいでした。父を見送り、これからは自分の老後について真剣に考えようと気持ちを切り替えた50代後半が、私の暮らし替え適齢期だったのでしょう。
リフォームのために断捨離を決行
わが家の場合はリフォームという手段を選びましたが、お金をかけなくても、たとえばトイレの隣の部屋を寝室にするなど、工夫と労力を惜しまなければ、今より快適な住まいにすることは可能だと思います。
いずれにしても、自分が何に不便を感じているのかを洗い出すことが先決です。モノの出し入れがしづらいとか、動線が悪いとか。そのうえで解決策を考える。モノを処分することで解決するケースもあるでしょう。
私もリフォームに際して大量にモノを処分しました。工事中は仮住まいをしていたのですが、「コレは2度の引っ越し代をかけてまで持っていたいモノなのか?」と自問自答しながら断捨離を決行。服や本は簡単に決断できたので、不用品はリサイクルショップへ。
問題はお気に入りの家具でした。なかでも亡き両親との思い出の品であるコーヒーテーブルは、手放すなんてとんでもないという感じだったのです。でもリフォームプランを立てるなかで、収納を広げるなら、あるいはベランダへ続く動線を確保するには手放すしかないという選択を迫られ、断腸の思いで処分したのですが……。なんと、やってみたら全然大丈夫でした。
思い出はモノに宿るのではなく自分のなかに保存されているのだと確信し、手放すことのできた自分が誇らしく思えたほどです。手放して後悔しているモノは一つもありません。

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新陳代謝のいい暮らしを目指す
断捨離第2弾はコロナによる自粛中に行いました。弾みがついて段ボール箱に詰めていた大量の写真や、親から受け継いだ食器なども整理することに。
「思い込みでとってあるモノ」はどこの家にもあるのではないでしょうか。たとえばお客様用の座布団くらいは用意していないと、と親から刷り込まれていたけれど、もはやお客様を家にお招きする体力はないよね? など自分に問うて、思い込みを外してみてはいかがでしょうか。
ただ私は、基本的にはダウンサイジングしつつ、今を楽しむことに主軸を置いています。自粛中も、生活空間を豊かに彩りたいとお気に入りの画家の作品を購入しましたし、ネットショッピングで「素敵!」とトキメキを覚えたクッションも買いました。
つまり目指しているのは、不要なモノを手放し、必要なモノを新たに迎え入れる新陳代謝のいい暮らし。私たちの細胞は常に生まれ変わっているのに、モノだけ息の根を止めてしまうのは人間の生理に反しているのでは? と言い訳をしながら欲しいモノは買ってしまう(笑)。そうして買ったモノは、もったいないなどと言っていないで旬のうちに味わい尽くそうと決めているのです。
私にとって家はシンプルであることと、ホッとできる空間であることのバランスが大切なのですが、その比率は移り変わっていくもの。年齢や体調と相談しながら家も心も風通しよくをモットーに、ストレスのない質の高い暮らしを心がけていきたいと思っています。

出典=『婦人公論』2021年8月24日号
岸本葉子
エッセイスト
1961年神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。会社勤務、中国留学を経て本格的に執筆活動を開始。 



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