皆さんのお役に立てば幸いです

色々の無料ホームページからお役に立て様な記事を探して掲載します。主に健康・くらしです。

「若い女性が消えた」 増える未婚、地方が陥るワナ

2021-12-21 13:30:00 | 日記

下記の記事は日本経済新聞様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

 

日本の未婚率の上昇が止まらない。総務省がこのほど発表した2020年国勢調査を基に30歳時点未婚率(25~29歳未婚率と30~34歳未婚率の平均)を算出すると、男性64.1%、女性52.1%にも上る。未婚化は少子化を加速する。都道府県別に人口構成を分析すると、若い男女の人口バランスが大きく崩れており、結婚したくとも相手が見つからない状況に陥っている。その原因は地方から都市部、特に東京周辺への若い女性の流出だ。

Nikkei Views

編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

気がつくと、若い女性たちが、まちからすーっといなくなっていました――。3月に兵庫県豊岡市がまとめた「ジェンダーギャップ解消戦略」はこんな書き出しで始まる。人口減少と少子化が止まらない。状況分析しているなかで、若い女性の流出超過が課題に浮上した。高校卒業時に多くの若者が市外に進学する。20代で男性は2人に1人が戻ってくるが、女性は4人に1人しか戻らない。若者の流出は足元の人口減少の大きな要因だが、若い女性の減少は未婚率を高め、今後の少子化、将来の人口減少につながると市は強い危機感を抱く。

若い女性が町から消える厳しい現実。豊岡市に限らず、今多くの地方自治体が直面している。

国勢調査によれば20年10月1日時点の日本の総人口は1億2615万人(外国人を含む)。前回(15年)調査から95万人(0.7%)減少し、少子化が止まらない。少子化を促す原因の1つが未婚化だ。20年の15歳以上人口は1億1111万人で前回より3万人減ったが、15歳以上未婚者は3279万人で前回比106万人も増えた。

栃木は未婚男性が女性の1.51倍

未婚率は高まっているが、未婚者の約8割は結婚願望を持っている。結婚しない/できない理由の第一は「出会いがない」。そこを手助けしようと国や自治体は婚活支援に乗り出している。ただ、地元にシングル女性がいなければどう手を尽くしてもシングル男性は余ってしまい、未婚化は加速するばかりだ。

日本の平均初婚年齢はおよそ30歳。そこでその前後5歳の幅を取り、25~34歳のシングル(未婚+離死別)男女人口を20年国勢調査を基に都道府県別に算出した。日本全体では男性438.3万人、女性349.9万人で、25~34歳シングル男性は同女性の1.25倍いる。そもそも出生数は男性が多いうえ、女性の方が早婚ゆえ、同年代と比べると男女差が開く。

 

 

状況は都道府県別で大きく異なる。シングル男性の余剰が最も大きいのは栃木の1.51倍。男性約6.9万人に対して女性約4.6万人にすぎない。以下、茨城1.49倍、富山1.45倍と続く。逆に男女バランスが最も取れていたのは鹿児島で1.03倍、以降奈良1.07倍、福岡1.08倍と並ぶ。

若い女性の流出超過に自治体も危機感を募らせる。ワースト4位の愛知県は18年に会員制ネットワーク「TOKYO愛知女子会」をつくった。東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)で暮らす愛知県出身女性らに、地元の暮らしや企業をPRし、呼び戻す狙いだ。「転出入の状況を全体で見れば愛知県は転入超過。ただ20代前半の女性をはじめとし、東京圏へは転出超過が続いており、その流れを食い止めたい」(県男女共同参画推進課)

なぜ若い女性が東京圏に流れるのか。公益財団法人東北活性化研究センター(仙台市)は20年に地元から出ていった女性らを対象に意識調査をした。よくいわれている通り、高校卒業後に希望する進学先が地元になく、東京圏に進学したとする回答が7割を占めた。ただ、問題は進学先だけではなかった。東京圏に進学を決めた時点で54.5%は「地元に戻る気はなかった」。なぜ地元に就職しないのか。理由の上位に「やりたい仕事、やりがいのある仕事が地方では見つからない」58.9%、「東京圏と比べて年収が少ない」56.1%とキャリアに関する不満が並んだ。

華やかな暮らしへの漠然とした憧れから東京に出て行くのだろう――。そんな甘い見立てが覆った。藤原功三地域・産業振興部長は「厳しい現実を突きつけられた。女性は進学時点で将来のキャリア設計もしっかり考えている。でもその受け皿が地方では限られる」と説明する。

個別インタビューした首都圏在住の女性からこんな体験談も聞いた。営業職志望の彼女が大学卒業時にUターン就職しようと地元企業を就活で回ったら「事務職はどうか。女性は営業職として採用していない」と難色を示され、東京での就職に切り替えた。藤原氏は「ただ仕事があればよいのではなくて、やりがいのある仕事がないと地元に戻ってきてもらえない。企業側も真剣に考えるべき時機に来ている」と指摘する。

地域の役割分担解消がカギ

若い女性の流出に悩む豊岡市は4月1日、ジェンダーギャップ対策室を新設した。若い女性に魅力を感じてもらうには、家庭や職場、地域での固定的役割分担意識の解消がカギだと考えた。冒頭の写真は、どうすれば女性が働きがいを持てる職場をつくれるかを考えるために市が開いたセミナーの様子だ。上田篤ジェンダーギャップ対策室長は「女性だという理由だけで補助的役割を求められる職場環境では女性は働きたがらない。企業にとっても地域経済にとっても大きな損失だ」と指摘する。

シングル男女比の格差が大きい上位には栃木、茨城、愛知、静岡など製造業が強い県が並ぶ。男性が主たる家計の担い手として妻子の暮らしを支える昭和モデルのライフスタイルなら、男性が安定的に収入を見込める理想の土地柄だったろう。だが、共働きが主流となった今、男性が主力として働く製造業の強い土地柄は女性が能力とやる気を発揮できる勤務先が限られ、キャリア志向を持つ女性にとって魅力が乏しい。

栃木県は今年、製造業の現場で働く女性=リケジョの調査に乗り出した。会社の中でどんな仕事を担い、どんなキャリア形成が見込めるのか。実態を明らかにした上で、来年度以降、製造業の仕事が豊富にある栃木の魅力を理工系女子学生らにアピールし、UIターンを促す狙いだ。「産業構造的に難しいからと手を打たずにいたら、女性の転出超過は止められない」(県総合政策課)

日本総合研究所の藤波匠・上席主任研究員は女性の転出・転入の要因を分析した。「賃金水準」「大卒者の人口比率」「勤続年数」「正規雇用比率」「保育所の余裕度」「三世代同居率」など複数の統計データと付き合わせてみると、女性は働きやすさよりも働きがいを求めて移動・転居する特徴があった。例えば三世代同居率や保育所の余裕度が高ければ仕事と子育ての両立がしやすくなり、女性の定着が進むかと思いきや、その流出抑止効果は限定的だった。

「自治体の多くは働きやすさの向上に軸足を置いているが、施策の方向性を誤っている。女性の大学進学率は50%を超え、早晩男性に並ぶ可能性もある。学歴に見合う仕事が地元になく、東京一極集中を招いている。能力を生かしてキャリアアップが可能な職場を増やさないと女性の流出に歯止めがかからず、地方の未婚化、少子化は今後一層深刻になる」と藤波氏は警鐘を鳴らす。



コメントを投稿