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韓国ウォンより弱い日本円、70年代に逆戻りの激烈円安がもたらす「悪いインフレ」の末路

2022-01-24 15:30:00 | 日記
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

世界的に進む資源インフレと物価の上昇。これに拍車を掛けるのが、日本の通貨、円の「買う力」の弱さだ。20年以上もの長期にわたって円の買う力が衰え続けてきた結果、日本に「悪い物価上昇」が迫りつつある。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
ビッグマックで測ると
日本の通貨は「スリランカ並み」
英「エコノミスト」誌が1986年から算出している「ビッグマック指数」という指標がある。マクドナルドの看板商品であるビッグマックは、世界の多くの国で基本的に同じ品質の商品として売られている。この世界的商品を「物差し」とし、国ごとの通貨の購買力(ものを買う力)を数値化したものがビッグマック指数である。

具体的にこの指数は、基準とする米国のビッグマック価格に対し、各国の価格がドル換算で何パーセント上回っている、または下回っているかを示している。上回っている国の通貨は購買力が高く、その国の人は米国のビッグマックの価格を「安い」と感じる。逆に下回っている国の通貨は購買力が低く、その国の人には米国の価格が高く見える。
このビッグマック指数が、直近の2021年7月の時点では日本はマイナス37.2%だった。これは先進7カ国(G7)の中では、カナダ(マイナス6.0%)、ユーロ圏(マイナス11.1%)、英国(マイナス15.9%)を下回るだけでなく、韓国(マイナス29.2%)よりも低い。
さらに言えば、パキスタン(マイナス36.3%)をも下回り、スリランカ(マイナス37.9%)とほぼ肩を並べている。これがビッグマック指数で測った「円の力」の実態だ。
ビッグマックだけの話ではないかと思う人もいるかもしれない。残念ながら、そうではない。総合的に通貨の強さを表す指標を見ても、円の弱さは歴然としている。
その目を覆いたくなるような弱さを、次ページからお見せしよう。
円の「総合力」は
50年前の水準に逆戻り
通貨本来の強さを表す指標として「実質実効為替レート」がある。この指標は約60カ国・地域の通貨を比較し、それぞれの国の物価や貿易量を加味した上で算出したもの。ドル円やユーロ円のような2国間のレートよりも、通貨の総合力が分かるのが実質実効為替レートだ。
このレートはビッグマック指数と同様に、ある通貨が世界でどれぐらいの買う力を持っているかを表しており、円の実質実効為替レートが高ければ、海外で現地の物価が安いと感じられる。

円の実質実効為替レート指数(10年=100)の推移をグラフ化したのが下図だ。
グラフから見て現在の円の水準は、最も高かった1995年の半分のレベルで、変動相場制に移行した73年よりも低い。これは95年当時以降、円の購買力がほぼ半分になり、70年代前半と同じ水準にまで低下していることを示す。


新型コロナウイルス感染拡大以前の近年に海外旅行に行き、現地の食事代が日本よりかなり高いと感じた人は少なくないだろう。その実感は実質実効為替レートに即して言えば、50年前の日本人が「海外は高い」と感じたのと同じなのである。
なぜ円の実質実効為替レートは低下したのか。
その原因は、日本が90年代後半以降に為替市場への介入や、超低金利政策、量的緩和といった金融政策を実施し、円安政策を取ってきたことが大きい
だから円の実質実効為替レートは95年をピークに低下基調に転じることになった。
そしてグラフが示すように、アベノミクスの下、黒田東彦・日本銀行総裁が就任後に展開した大型の金融緩和策で、「円の力」の低下に拍車が掛かっている。
韓国ウォンを下回り
主要国で「最弱」の円
円の対ドルレートは、21年年初には103円だったが、足元では114~115円と、1年余りで10円以上円安が進行した。同じ期間の円の名目実効為替レートの推移を、ドルだけでなく主要国の通貨と比べたのが下図だ。
21年初より水準を低下させた通貨はユーロ、韓国ウォン、円の三つ。円は、韓国ウォンをも下回り、グラフで取り上げた七つの通貨の中で最もレートを下げている。
昨秋から目立つ物価上昇の背景には、こうした円の弱さがある。ただでさえグローバルな資源インフレで原油や穀物などの価格が高騰しているのに、円安で買う力が弱まった結果、輸入品価格の上昇に拍車が掛かったのだ。21年11月、12月の輸入物価の上昇率はそれぞれ前年同月比で45.2%、41.9%と4割を超えている。


輸入価格の高騰が企業物価に波及し、企業物価上昇率は前年同月比で11月9.2%、12月8.5%となった。21年の上昇率は4.8%と、第2次石油ショック時の80年(15.0%)以来の高さを記録した。
円安は輸出型の日本の製造業にとってプラス要因と広くいわれてきた。だが実際には、日本企業の間ではすでに海外生産が定着しており、円安でも日本からの輸出数量はあまり増加しなくなっている。日本にとって円安のメリットは年々小さくなっており、その一方で輸入価格上昇というデリメリットばかりが浮き彫りになっている。「悪い円安」が進行しているのだ。
この円の動向は22年にはどうなるのか。残念ながら、22年も円安と物価上昇の連鎖が続く可能性が高い。
米国の12月の消費者物価上昇率は前年同月比7.0%となった。失業率も3.9%と完全雇用の水準に近づきつつある。FRB(米連邦準備制度理事会)は、3月にも利上げに踏み切るだろう。市場では22年中の4回の利上げがコンセンサスになりつつある。
BOE(英イングランド銀行)は、21年12月にコロナ禍後初の利上げに踏み切った。ECB(欧州中央銀行)は22年1~3月期から量的緩和の縮小に踏み切る。
一方、日本銀行は22年も現在の金融緩和を続けていくとみられるため、円の独歩安になるとの見方が少なくない。
企業も家計も困窮するコスト
プッシュのインフレが起きつつある
そうなれば、原油や穀物の国際価格が横ばいで推移したとしても円建ての輸入価格の上昇は続く。貿易収支が悪化し、それがまた円が売られる材料になるという連鎖が動き始める。コストプッシュの物価上昇が続くことになる。
消費者物価上昇率は11月で前年同月比0.5%と低い。しかし、ここには、21年4月の携帯電話料金値下げという特殊要因がある。その影響で1.5%前後引き下げられており、実態は2%前後である。それでも企業物価に比べれば上昇率は低い。

ただ、これまでと違い「人手不足故に人件費で吸収することは難しくなっている」(河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト)。故に、原油高や円安などで輸入物価、企業物価の上昇が続けば、転嫁は徐々にではあるが進み、消費者物価を押し上げるだろう。

消費が増えて、需給がきつくなり価格が上がる。売り上げが増加した企業が賃金を上げる。それでまた消費が増える。これが、日本銀行が目指していた物価上昇の形である。
しかし、今起きつつあるのは、石油ショック時と同じ、輸入品を中心とした原材料費高から起こるコストプッシュの“悪い物価上昇”だ。収益が圧迫された企業が、川下の価格に転嫁する。それ故、企業に賃上げをする余裕はない。消費は増えない。家計も企業も困窮するだけである。
Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic by Kaoru Kurata


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