紅茶の製造方法には大きく分けて、オーソドックス製法とCTC製法がございます。そのオーソドックス製法について、詳しくご説明致いたします。
1.摘採(てきさい)Plucking
茶摘みのことでございます。
スリランカやインドにおいて、オーソドックス製法(伝統製法)で茶葉を紅茶に加工している茶工場や茶園では、茶葉の収穫を手摘みでおこなっています。
茶摘みをする際に、茶の木の枝の一番先端の芯芽とそのすぐ下の二枚半、『一芯二葉』と言われている部分だけを機械を使わずに丁寧に手摘み致します。
この一芯二葉の手摘みも、スリランカやインドの紅茶が美味しい理由の一つでございます。
2.萎凋(いちょう)
摘み取った茶葉を寝かせて、萎れさせる工程でございます(写真 右)。
茶葉中の水分を、ある程度飛ばします。茶葉の水分が何%抜けたか、チェックしています。比率は茶工場によって違います。
緩やかな発酵過程の一部でもあり、この過程で紅茶の良い香り、アロマが出始めます。
萎凋作業は、茶工場(写真 左下)の最上階で行っている茶工場が多いです。
茶摘みから8~10時間ほど寝かせるので、次の作業工程のローリングは、真夜中から始める茶工場が多いです。
3.揉捻(じゅうねん)Rolling
茶を揉む工程でございます。
ローリングとも申しまして、機械で揉んでいるのですが、なるべく手もみに近いような機械の動きになっています。茶揉み機は、ローリングマシーンと言われています。この揉捻作業中も、茶葉の発酵が進みます。
前工程、萎凋時間の関係で、真夜中から揉捻作業を開始する茶工場が多く、茶園のある大自然の中、夜中に茶工場が明るく照っています。茶工場、風物詩でございます。
4.玉解き・篩い分け(たまどき・ふるいわけ)Roll breaking・Green sifting
揉捻後の茶葉は、塊の玉になってますので、それをフルイにかけてほぐします。茶葉が塊の玉のまま、次の発酵工程に行ってしまうと、発酵が不均一になってしまいますので、しっかりほぐします。
茶葉の玉を解くので、玉解きと言われています。
5.発酵(はっこう)Fermentation
温度、湿度が管理された部屋で、茶葉を寝かせて、発酵させます。寝かせはじめは緑色の茶葉が、時間の経過と共に赤銅色へと変化していきます。
茶工場によって、発酵時間は様々、発酵時間が短ければ茶葉は緑色が強く、長ければ茶色が濃くなります。このファーメンテーションの過程だけでなく、茶葉を紅茶に加工する全行程が発酵過程でもあります。
味、香り、茶工場管理者、Superintendentの腕の見せ所でございます。
6.乾燥(かんそう)Drying
高温の熱風で乾燥させ、茶葉の発酵を止める工程でございます。ドライングと呼ばれています。
熱風の温度は、それぞれの茶工場によって違いますが、100~130℃でございます。
このドライングの火力源が、薪でやるか、灯油等でやるか、によっても紅茶の味が違ってきます。灯油等が火力源でも、臭いが紅茶につかないよう工夫、改善されてきました。
7.仕上げ(しあげ)Sorting
できあがった紅茶をフルイにかけ、茶葉の大きさや形状(グレード)ごとに仕分けする作業でございます。
細かい茶葉はBOPやBOPF、大きい茶葉はFBOPやOP、Pekoeなどのグレードごとに選別され、集められます。茶工場によって、茶葉の選別は、それぞれ異なります。
選別しないで、全部の茶葉を粉砕し、ティーバッグ用に適したサイズにしている茶工場もございます。