ビートルズのセカンド・シングル‘Please Please Me’は、危うく
ボツになりかけた曲でした。
デビュー・シングルの‘Love Me Do’がまあまあのデキだったので
ジョージ・マーティン氏は、「次のシングル」をレコーディングする
ことにしました。‘Please Please Me’を最初にレコーディングした
のは、1962年 9月のことです。この時の曲調はややスローテンポで、
よりソウルフルで悲しげな雰囲気のバラードでした。マーティン氏は
このアレンジを気に入らなかったため、ジョンに忠告しました。
もう少しノリをよくした方がいい。
テンポをもっと速くして、溌剌とした感じで歌い
センチメンタルなバラードではなくノリのよい
ファスト・ナンバーに仕上げればヒットするかも
しれない。
ビートルズはこのアドバイスに従いました。どちらかと言えばロイ
オービソン風であったオリジナルのアレンジをガラっと変えたのです。
しかし、驚くほど高音のファルセット・ヴォイスを駆使しオービソン
風のヴォーカル・スタイルを残したのはジョンの妙でした。
レコーディングを終え、スタジオからコントロール・ルームへ続く
長く急な階段を昇ってくる4人に向って、マーティン先生はコメント
しました。
たった今、わたしは№1ソングを耳にしたところだ。
君たちもこっちに来て聴いてみたまえ。
はたせるかな、‘Please Please Me’はメロディ・メーカーおよび
NME誌のポップ・チャートにおいて見事に第1位を獲得しました。
しかし、レコード・リテーラー誌のチャートでは№1になれませんで
した。そのため、レコード・リテーラー誌のチャートを拠り所とする
『ギネス・ブック』では、現在でも‘Please Please Me’を№1ソン
グとして扱っていません。アルバム『1』に収録されていない原因は
ここにあります。
それはさておき‘Please Please Me’のヒットを支えた要因は何で
しょうか。わたしはその一つに「リンゴのドラミング」をあげます。
‘Love Me Do’で辛酸を舐めた(一度レコーディングされたテイクの
ドラミングが評価されずセション・ドラマーが起用され録り直された)
彼の心には、当時危機感があったのではないでしょうか。その鬱憤を
セカンド・シングルのレコーディングにぶつけたのです。曲調を決定
するヴァースAのビートは‘From Me To You’に近いノリなのですが
少しだけ叩き方が違っています。2拍目に彼は、スネアを八分音符で
連打するのですが、さらにこの連打の第2打、つまり2拍目の裏拍を
際立たせることにより、よりドライブ感を出しています。と思いきや
ヴァースBでは各拍の頭を強調したビートに変化させ曲調にメリハリ
をつけることに成功しています。ブリッジ部分のタムやライド・シン
バルの利用など、実に表現豊かなドラミングになっていると思います。
この叩き方は誰かがリンゴにアドバイスしたのでしょうか。大半は
リンゴの創意工夫によるものだとわたしは考えます。彼のドラム無し
に、‘Please Please Me’のヒットはありえなかったと思います。
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ボツになりかけた曲でした。
デビュー・シングルの‘Love Me Do’がまあまあのデキだったので
ジョージ・マーティン氏は、「次のシングル」をレコーディングする
ことにしました。‘Please Please Me’を最初にレコーディングした
のは、1962年 9月のことです。この時の曲調はややスローテンポで、
よりソウルフルで悲しげな雰囲気のバラードでした。マーティン氏は
このアレンジを気に入らなかったため、ジョンに忠告しました。
もう少しノリをよくした方がいい。
テンポをもっと速くして、溌剌とした感じで歌い
センチメンタルなバラードではなくノリのよい
ファスト・ナンバーに仕上げればヒットするかも
しれない。
ビートルズはこのアドバイスに従いました。どちらかと言えばロイ
オービソン風であったオリジナルのアレンジをガラっと変えたのです。
しかし、驚くほど高音のファルセット・ヴォイスを駆使しオービソン
風のヴォーカル・スタイルを残したのはジョンの妙でした。
レコーディングを終え、スタジオからコントロール・ルームへ続く
長く急な階段を昇ってくる4人に向って、マーティン先生はコメント
しました。
たった今、わたしは№1ソングを耳にしたところだ。
君たちもこっちに来て聴いてみたまえ。
はたせるかな、‘Please Please Me’はメロディ・メーカーおよび
NME誌のポップ・チャートにおいて見事に第1位を獲得しました。
しかし、レコード・リテーラー誌のチャートでは№1になれませんで
した。そのため、レコード・リテーラー誌のチャートを拠り所とする
『ギネス・ブック』では、現在でも‘Please Please Me’を№1ソン
グとして扱っていません。アルバム『1』に収録されていない原因は
ここにあります。
それはさておき‘Please Please Me’のヒットを支えた要因は何で
しょうか。わたしはその一つに「リンゴのドラミング」をあげます。
‘Love Me Do’で辛酸を舐めた(一度レコーディングされたテイクの
ドラミングが評価されずセション・ドラマーが起用され録り直された)
彼の心には、当時危機感があったのではないでしょうか。その鬱憤を
セカンド・シングルのレコーディングにぶつけたのです。曲調を決定
するヴァースAのビートは‘From Me To You’に近いノリなのですが
少しだけ叩き方が違っています。2拍目に彼は、スネアを八分音符で
連打するのですが、さらにこの連打の第2打、つまり2拍目の裏拍を
際立たせることにより、よりドライブ感を出しています。と思いきや
ヴァースBでは各拍の頭を強調したビートに変化させ曲調にメリハリ
をつけることに成功しています。ブリッジ部分のタムやライド・シン
バルの利用など、実に表現豊かなドラミングになっていると思います。
この叩き方は誰かがリンゴにアドバイスしたのでしょうか。大半は
リンゴの創意工夫によるものだとわたしは考えます。彼のドラム無し
に、‘Please Please Me’のヒットはありえなかったと思います。
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ビートルズののりではない。
リンゴのたたいたドラミングこそ、ビートルズののりです。
やはりリンゴなくして、ビートルズサウンドはなかったと僕も思います。
ドラムスにおける過度なオカズは「流れ」を妨げてしまいますね。
リンゴのプレイ・スタイルあるいはポリシーは
一貫していて
納得のいくものでした。偉大なドラマーです。