CHAPTER 4 本日のハイライト
ジョージが落ち着いたトーンでMCを続ける。
ありがとう。ありがとう。次の曲はアルバム『ヘルプ!』からの
曲です。「イエスタデイ」。
YESTERDAY
ジョージのコメントが終わると同時にジョンがカジノでイントロ
を弾き始める。聴衆のボルテージは、この瞬間が最高潮だったので
あろうか。ポールが右のマイクに歩み出て、しみじみと歌い始める。
4人による「イエスタデイ」。どこか牧歌的な響きをもつこの曲は、
はるかかなたのイングランドの草原のイメージを喚起させてくれる。
大歓声をかきわけるようにマイクの前に進み出たポールが、ここで
初めて日本語を披露する。
どうも。どうも。セニョール、ありがとう。
さあ、次は「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」。
リンゴが歌います!
ポールは右手を後方に広げ、リンゴを紹介した。
I WANNA BE YOUR MAN
すると、リンゴはあたかも堰を切ったかのようにやや開き直り気味
に突然歌い始めた。間奏前では
オーライ、ジョージ!
と一声。ジョージは呼応するかのように、腰を低く落としながらソロ
を展開する。味のあるフレーズに仕上がった。ジョンは得意の低弦を
使ったプレイだ。曲が終わるとリンゴは「ふぅ~」という感じで目の
前にあるマイク・アームをオフの方向へ回転させた。
ありがとう、リンゴ。ありがとう、みなさん!
ジョンのMCが始まる。
つづく
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