1176．1971.01.24

【ALBUM 『ザ・タイガース　フィナーレ』】

　1971年 1月24日は日曜日でした。その日、日本のＧＳの雄といわれ
たザ・タイガースが“BEAUTIFUL CONCERT ”と題して解散コンサート
を日本武道館で開催したのです。

　ザ・タイガースは1967年 2月に「僕のマリー」でデビューしました。
そして、すぎやまこういち氏による「貴公子」的イメージが、多くの
ファンを魅了し、1968年12月の「青い鳥」の頃、絶頂期を迎えました。
1969年 3月に加橋かつみの突然の脱退がグループにとって大きなター
ニングポイントとなり、それ以降、音楽的志向もブリティッシュ系や
フォーク色を織り交ぜるなど、次第に複雑に進化していきます。1971
年１月の解散は、グループのメンバーが成熟し、各々の方向性を模索
した結果といえるのかもしれません。

　当日のコンサートの模様がＬＰとして発売（その後ＣＤでも再発）
されました。もちろんコンサートの一部のみの収録です。コンサート
で演奏された曲とＬＰに収録された曲は以下の通りです。


【第１部】
A-01．TIME IS ON MY SIDE
－－．SUSIE Q
－－．I PUT A SPELL ON YOU
A-02．BOTH SIDES NOW
－－．(SITTIN' ON) THE DOCK OF THE BAY
A-03．YELLOW RIVER
A-04．I'M HENRY THE EIGHTH I AM
－－．HONKY TONK WOMEN
－－．COTTON FIELDS
－－．LALENA
－－．MON CINEMA
－－．GIMME SHELTER
－－．THE LETTER
－－．LONG AS I CAN SEE THE LIGHT
－－．ANYBODY'S ANSWER
－－．HEARTBREAKER

【第２部】
－－．都会
－－．白い街
A-05．どうにかなるさ
A-06．出発のほかに何がある
A-07．友情
－－．世界はまわる
B-01．僕のマリー
B-02．シーサイド・バウンド
B-03．モナリザの微笑
B-04．花の首飾り
B-05．青い鳥
B-06．銀河のロマンス
－－．SMILE FOR ME
－－．淋しい雨
B-07．君だけに愛を
－－．美しき愛の掟
－－．素晴しい旅行
－－．怒りの鐘を鳴らせ
B-08．誓いの明日
B-09．I UNDERSTAND JUST HOW I FEEL
B-10．ラヴ・ラヴ・ラヴ

※「－－」は、コンサートで演奏されたが、“FINALE”に収録されな
　かった曲を示す。

　聴きどころはなんといってもA-04における“PEE ”瞳みのるの熱演
でしょう。演奏中に彼はこのようにコメントしました。

　どうもありがとう、僕の生涯でこれが最後の舞台です。

　その後の彼のキャリアを考えてみると、実に意味深い言葉だったと
思います。思わず複雑な心境になりますね。

　B-01の前では“SALLY ”岸部修三がビートルズの公演を５人で揃っ
て観に来たエピソードを交えながらしみじみと過去を振り返っていま
したが、最後には言葉がついに途切れ・・・感動的なＭＣになりまし
た。

　その後のオリジナル・メドレーでは、次第に湿っぽい雰囲気になり
B-05ではついに“TARO”森本太郎がソロを歌う瞬間に涙で大きく音程
をはずしてしまい、聴衆の動揺を誘います。しかし、“JULIE ”沢田
研二が気丈にもすかさずフォローし、森本の窮地を救います。

　この17曲の中では、個人的にA-07の「友情」が好きです。スロー・
ロックのテンポとレズリースピーカーから出力されるハモンド・オル
ガンの響きが「青い空」「赤いバラ」、そして「自由」という言葉と
混ざり合い、「1971年」を感じさせてくれるからです。

　B-09で、沢田研二が最後の挨拶をします。

　この１月２４日という日を忘れません。

　そして・・・。「ラヴ・ラヴ・ラヴ」で輝かしいフィナーレを迎え
ました。

　ビートルズが好きなわたしですが、リアルタイムで熱中した最初の
「音楽」は、ザ・タイガースだったのかもしれません。それだけに、
わたしにとって、この“BEATIFUL CONCERT”は「よい思い出」として
今でもその時代とともに蘇ってくるのです。

　１９７１．１．２４　永遠に・・・




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