‘We Can Work It Out’。邦題「恋を抱きしめよう」とは命名者の
センスがうかがえる。‘Day Tripper ’とのカップリングで1965年に
シングルリリースされた曲であるが、なんと「両A面」という初めて
の「戦略」が採用されたのだ。
収録されたのは、1965年10月20日である。14時30分から夕方までの
約4時間、2テイクでバッキング・トラックとヴォーカル・トラック
をレコーディングしている。その後、ハーモニウムなどをオーヴァー
ダビングし10月29日に完成させた。TAKE 1ではハーモニウムを除いた
バッキングを聴くことができる。編成はベース、ドラムス、アコース
ティック・ギターにタンバリンである。ベースとドラムスはそれぞれ
ポール、リンゴが演奏しているが、ギターとタンバリンをそれぞれ、
ジョンとジョージのどちらが担当しているのか、話題になった時期が
あった。事実、ビートルズの全 213曲を紹介する文献では「ジョンが
タンバリンを担当している」と記述されているものもある。しかし、
最近の文献から、ジョンがギター、ジョージがタンバリンを担当して
いることが判明した。TAKE 1が始まる前に、タンバリンを必死に練習
しているジョージ。4人の会話を聴いてみよう。
RINGO :ジョージ、大丈夫? ボクのハットを聴いて振ればOKよ。
PAUL :ジョージ、ほら、こんな風にね。(と指導する)
GEORGE:タンバリンなんてガラじゃないよ。まったくもう。
JOHN :結構似合っているぜ。へへッ。
ヴァースBの最後で、ジョージが「ワルツ」を取り入れるアイディ
アを提案したことは、有名なハナシである。このアイディアの素は、
ハンブルグ時代の街頭で彼(彼ら)が耳にしたアコーディオン(らし
き楽器)の音のようである。そのリズムは「ズンチャッチャー・ズン
チャッチャー」という「サーカスでよく聴くことができるワルツ」で
ある。ジョージの提案対してポール、リンゴ、そしてジョンが呼応し
「やってみよう」ということになったのである。
TAKE 1。ゆったりとした牧歌的な雰囲気。ポールのベースは、やや
ブースト気味である。問題の「3拍子の箇所」に4人は注意を払って
いたようであるが、2回目のヴァースBのところでリンゴが「ワルツ」
にならなかったようだ。
RINGO :ごめん。僕が間違えちゃったよ。
TAKE 2。ここでもジョンのリズム・ギターは冴えている。キー「D」
の“SUS4”の要素である「G」音を、コード「C」の最高音に絶妙に
つなげ効果的に使っている。無意識のプレイだろう。リズムもTAKE 1
からさらに進化させている。単純な8ビートのカッティングだけでは
なく、随所に16ビートのカッティングを織り交ぜている。「感性重視」
のジョンならではのプレイだ。
ワルツを採用しTAKE 2を収録した時点で、この曲に「ハーモニウム」
が採用される予定はなかった。TAKE 2収録後のオーヴァー・ダビング
中に、ジョージがスタジオにある「風変わりな楽器」を発見しそれが
「ハーモニウム」であることを、ジョージ・マーティン氏から教えら
れたのである。そしてその会話をジョンが聞き、さっそく試してみる
ことになった。
あの和音弾きは「即興」に近いのだろうか。恐るべし。ジョン。
TAKE 2にオーヴァー・ダビングした音を聴くとわかるのだが、ハー
モニウムは2回に分けてオーヴァー・ダビングされている。1つは、
ヴァースAを中心に「通奏低音」のように響く音である。もう1つは
ヴァースAの最後“We can work it out”と歌う箇所からヴァースB
にかけて鳴り響く音である。この「持続音」はこの曲のもつ「牧歌的
でバロック風なサウンド」の特徴を決定づけている。
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センスがうかがえる。‘Day Tripper ’とのカップリングで1965年に
シングルリリースされた曲であるが、なんと「両A面」という初めて
の「戦略」が採用されたのだ。
収録されたのは、1965年10月20日である。14時30分から夕方までの
約4時間、2テイクでバッキング・トラックとヴォーカル・トラック
をレコーディングしている。その後、ハーモニウムなどをオーヴァー
ダビングし10月29日に完成させた。TAKE 1ではハーモニウムを除いた
バッキングを聴くことができる。編成はベース、ドラムス、アコース
ティック・ギターにタンバリンである。ベースとドラムスはそれぞれ
ポール、リンゴが演奏しているが、ギターとタンバリンをそれぞれ、
ジョンとジョージのどちらが担当しているのか、話題になった時期が
あった。事実、ビートルズの全 213曲を紹介する文献では「ジョンが
タンバリンを担当している」と記述されているものもある。しかし、
最近の文献から、ジョンがギター、ジョージがタンバリンを担当して
いることが判明した。TAKE 1が始まる前に、タンバリンを必死に練習
しているジョージ。4人の会話を聴いてみよう。
RINGO :ジョージ、大丈夫? ボクのハットを聴いて振ればOKよ。
PAUL :ジョージ、ほら、こんな風にね。(と指導する)
GEORGE:タンバリンなんてガラじゃないよ。まったくもう。
JOHN :結構似合っているぜ。へへッ。
ヴァースBの最後で、ジョージが「ワルツ」を取り入れるアイディ
アを提案したことは、有名なハナシである。このアイディアの素は、
ハンブルグ時代の街頭で彼(彼ら)が耳にしたアコーディオン(らし
き楽器)の音のようである。そのリズムは「ズンチャッチャー・ズン
チャッチャー」という「サーカスでよく聴くことができるワルツ」で
ある。ジョージの提案対してポール、リンゴ、そしてジョンが呼応し
「やってみよう」ということになったのである。
TAKE 1。ゆったりとした牧歌的な雰囲気。ポールのベースは、やや
ブースト気味である。問題の「3拍子の箇所」に4人は注意を払って
いたようであるが、2回目のヴァースBのところでリンゴが「ワルツ」
にならなかったようだ。
RINGO :ごめん。僕が間違えちゃったよ。
TAKE 2。ここでもジョンのリズム・ギターは冴えている。キー「D」
の“SUS4”の要素である「G」音を、コード「C」の最高音に絶妙に
つなげ効果的に使っている。無意識のプレイだろう。リズムもTAKE 1
からさらに進化させている。単純な8ビートのカッティングだけでは
なく、随所に16ビートのカッティングを織り交ぜている。「感性重視」
のジョンならではのプレイだ。
ワルツを採用しTAKE 2を収録した時点で、この曲に「ハーモニウム」
が採用される予定はなかった。TAKE 2収録後のオーヴァー・ダビング
中に、ジョージがスタジオにある「風変わりな楽器」を発見しそれが
「ハーモニウム」であることを、ジョージ・マーティン氏から教えら
れたのである。そしてその会話をジョンが聞き、さっそく試してみる
ことになった。
あの和音弾きは「即興」に近いのだろうか。恐るべし。ジョン。
TAKE 2にオーヴァー・ダビングした音を聴くとわかるのだが、ハー
モニウムは2回に分けてオーヴァー・ダビングされている。1つは、
ヴァースAを中心に「通奏低音」のように響く音である。もう1つは
ヴァースAの最後“We can work it out”と歌う箇所からヴァースB
にかけて鳴り響く音である。この「持続音」はこの曲のもつ「牧歌的
でバロック風なサウンド」の特徴を決定づけている。
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