らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

924.‘Norwegian Wood’を取り巻く状況

2008-05-17 | 12.THE BEATLES
 1965年の暮れにリリースした“RUBBER SOUL ”で、ビートルズは、
内省的なナンバーのひとつである‘Norwegian Wood’を書きました。
この曲の歌詞に込められた意味については、事実と憶測を含め多くの
コメントが発せられています。わたしの所見はこちらを参照ください。

 関係者のコメントを整理しながら、この曲の状況を考えてみること
にしましょう。

 ジョンは言いました。

 これは情事についての歌だ。歌詞の内容は、ある女性のアパート
 にいっしょに行ったときの経験談に基づいている。

 妻には知られたくなかったから、わかりづらい言葉を選んだんだ。

 1965年当時のシンシアとの結婚生活について、知る由もありません
が、何か複雑なコメントですね。この曲のクレジットは、「通例」の
『レノン=マッカートニー』です。この点について、ジョンは多くの
人に対し次のように述べています。

 ‘Norwegian Wood’の制作にポールはほとんど関与していない。
 実際には、バッキングの楽器のことで、ジョージに協力を仰いだ
 んだ。

 ジョンは、この曲の「ロマンティックであるながらも、どこかミス
テリアスな世界」を、少し風変わりな手段で表現したいと考えており
その頃ジョージが手に入れたばかりの「シタール」が、その雰囲気に
マッチするのか、試してみたかったのです。ジョンのオファーに対し
ジョージは、このようにこたえています。

 「インドのギター」はまだマスターしていないけれども、とりあ
 えずやってみよう。

 ‘Norwegian Wood’のレコーディングについては、当時のジョンの
曲にしては珍しく長い時間が費やされ、「試行錯誤」の作業が進めら
れました。このプロセスによるアレンジの変化は、“ANTHOLOGY 2 ”
で確認することができます。

 一方、制作過程には関与していなかったはずのポールは、ジョンと
反対の見解を述べています。

 これもまた、いつものように二人でセッションをしている最中に
 生まれた一曲なんだ。ジョンが最初の一節を持ってきたんだ。美
 しいと思ったよ。でも、それ以外は何もできていなかった。タイ
 トルも詞もなにもかもね。あの曲は自然に出来上がっていったん
 だ。中間部はボクが書いた。なぜならジョンにはミドル8が書け
 なかったからね。 

 彼は曲のタイトルについて、このように述べています。

 ピーター・アッシャー(注)が部屋の内装を木目調にしていてね。
 あの当時、壁や床を木にするのが流行っていたんだよ。ピーター
 の部屋に使われていたのは、チープなパイン材だった。でもね、
 「チープ・パイン」じゃ、曲のタイトルにはならないよね。

 歌詞のストーリーについて、ポールは興味深いことをコメントして
います。彼は「この曲の歌詞がジョンとある女性との間で本当にあっ
た恋愛話に基づいている」と言い、その女性に「仕返し」するために
ノルウェー産の木製家具に火をつけて燃やすというアイディアを自分
自身が考えたのだと主張しています。

 彼女はジョンを風呂場に寝かせだんだよ。男子たるもの、やられ
 たらやり返さないとね。

 制作やレコーディングのプロセスで誰がいったい何をしたのでしょ
うか。ジョンとポールのコメントの内容が一致していないこともあり
謎です。しかし‘Norwegian Wood’は、とてもキャッチーなメロディ
や歌詞によって表現された魅力的なストーリーに代表されるように、
「傑作」であるということについては、間違いないでしょう。

 (注)ピーター・アッシャー
    ・ポールのガール・フレンドだったジェーンの兄




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2 Comments

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Unknown (タケチャン)
2008-05-18 22:17:12
アルバムRubber Soulころの曲づくりでは、
ジョンとポールの発言に若干のずれのある
ケースがありますね。
2人の関係が微妙なものになった現われかも
しれません。

ミドルエイトの転調と、ワルツのリズムに
なるところも好きな歌です。
ジョンとポールのコーラスが決まってます。

ギターとシタールの共演も
独特の雰囲気で。
ラバーソウル全体の雰囲気をこの曲で決定
したような。
返信する
“RUBBER SOUL” (らば~そうる)
2008-05-21 22:25:10
to:タケチャンさん

やはり‘Yesterday’の出現はジョンとポールの
関係に
大きく影響したのでしょうか。
「ボクには‘Yesterday’がない」
というジョンのコメント・・・。

‘Norwegian Wood’はUS盤もUK盤も
2曲めに登場していますね。
“RUBBER SOUL”のコンセプトは
UK盤の‘Drive My Car’によるインパクトも大ですが
仰るとおり「この曲」が決め手でしょうね。
返信する

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