らば~そうる “IN MY LIFE”

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2029.プロ野球・統一球導入の影響

2011-05-27 | 23.Baseball
 東北楽天ゴールデン・イーグルス嶋選手会長の感動的なメッセージ
で開幕した2011年のプロ野球。既に交流戦に入り、12球団の各チーム
の試合数は30を越えた。 5月27日現在の各チームのデータをみると、
やはりというか、予想通り「投高打低」の傾向にある。

 投手では「防御率」がひとつの評価指標となっているが、ここまで
1点台の投手がセ・リーグで5人、パ・リーグではなんと11人もいる。
規定回数を投球している投手の中で防御率の分布は通常2点台か3点
台が多いのであるが、今年に限ってはこの分布がいびつになっている。
特に、セ・リーグでは規定投球回数を満たしている投手17人のうち、
3点台以上が8名で、2点台の投手はたったの4人なのである。パ・
リーグも同様に3点台以上が6人、2点台は5人だ。ちなみにチーム
防御率は12球団とも昨年よりよく(値が低下)なっている。これらを
まとめると次の通りである。

【規定投球回数投球者の防御率分布】
        セ  パ
  1点台   5 11
  2点台   4  5
  3点台以上 8  6 

 いっぽう打者はどうであろうか。昨年の同試合消化時と比較すると
その差は歴然としている。打者の場合は「本塁打」「打率」が一つの
評価指標となっているが、「本塁打」が昨年を上回っているチームは
12球団で4チーム、「打率」についても同様に4チームだ。個人打率
の分布にも変化がある。3割打者が少ないのだ。顕著な例を示そう。
「打」のチームで君臨しているジャイアンツは、本塁打数で21本下回
り、打率では4分6厘も下回っている。まとめると次の通りである。

【チーム本塁打・チーム打率の昨年度比較(向上しているチーム数)】
        セ  パ
  本塁打   1  3
  打率    2  2

【規定打席到達者の打率分布】
        セ  パ
  3割以上  8  5
  2割以上 28 28   
  2割未満  1  2     

 これら変化が示す原因は、やはり「統一球」の導入なのであろうか。
実際のところ、ほとんどの投手や打者がその影響を認めている。

【投手の証言】 
 ・今年は確かにバットがよく折れる。ボールが変わったことで
  変化球の曲がりが大きくなっているからでは。
 ・スライダーのキレが増した。
 ・試合ごとにボールが変わることがなくなったのがプラス。

【捕手の証言】
 ・力のない打者に事故のように打たれる本塁打は減った。
 ・どの投手がよくなった、悪くなったというのは一概に言えない。
 ・芯をはずしたら飛ばないと思う。

【打者の証言】
 ・ゴロを打っても最初のバウンドで力が吸収されてしまう。
 ・詰まった打球は5~6メートルぐらい違うのでは。
 ・スライダーなどの横の変化は間違いなく大きくなった。

 これらを総合すると、投手が投球する球の質が変化しているようで
ある。変化球の動きが大きい。ポイントの直前までの動きが今までと
異なるため、「しっかり当たらない」ケースが増えているのではない
だろうか。例えていうならば、「飛んでいる蚊をしとめようと両手で
蚊を追いこみ、最後の瞬間で<しめたっ!>と思ってパチンと挟もう
としたら、蚊がするりと抜けてしまった」感じであろうか。ホークス
の内川選手。現在.390で両リーグを通じ首位打者である。内川選手は
「悪球打ち」で有名であるが、投手が投げ込む球に対して「固定的に
打つ」のではなく「臨機応変に対応している」そうだ。つまり打撃に
関して多くの引き出しを持っているのではと推測する。

 しかし、統一球の導入だけがすべてではないような気もする。今年
からセリーグ・パ・リーグの審判が融合編成され、交流戦でない試合
でも、昨年までと異なる顔ぶれの審判が各リーグの試合を受け持って
いる。ストラーク・ゾーンは統一されているはずなのであるが、この
点「個人の傾向」に投手や打者、特に打者がまだ十分に慣れていない
ことはないだろうか。ひょっとするとストライク・ゾーンが広めなの
かもしれない。

 守備面も難しい。今年はまだテレビ観戦であるが、外野にライナー
性の打球があがった場合、外野手がその打球の処理にかなり戸惑って
いるように見える。自分に向って飛んでくる打球が微妙に変化するの
であろうか。もちろん、昨年までは塀を越えていた打球が、塀際で失
速して捕球できるメリットもあるのだが。

 また、望ましくない傾向もあるようだ。それは投手の故障だ。ライ
オンズの涌井投手、イーグルスの岩隈投手と肘や肩の違和感や痛みで
ローテーションをすでにはずれた。開幕してまだ間もないのにである。
これは、どうやら「ボールの表面の革質による滑り」の影響のようだ。

 このように、今年のプロ野球は現在のところ「統一球導入」の影響
を大きく受けているようである。しかし、これも「変革」の過渡期の
ことであると思う。今の状況を投手も野手も克服する技術を身につけ
対応する時が来ると思う。心配なのは、「なんらかの圧力が加わって
昔のボールに戻してしまうこと」である。統一球の導入は、「日本が
グローバル環境で戦っていける力を身につけること」にあるのだから
簡単に逆行してはならない。

 今後、選手がどのように「統一球」を克服していくのか、注目して
みたい。

 

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2 Comments

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あ、それは想定していませんでした (らば~そうる)
2011-05-29 14:22:04
to:小林寒いさん

お名前から察するにタイガースフアンのかたですか?
そのような見方もあるのですね。
しかし、ここでは圧力をかける人物を特定していません。
むしろ漠然とした全体的なムードが球界を変な方向に導いてしまうのが
恐ろしいと思うのですよ。
返信する
Unknown (小林寒い)
2011-05-29 13:09:51
世界のナベツネ様の圧力のことか?あの爺さんにもうそんな力は無い。余計な心配すんな
返信する

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