【写真:ボウリングのレーン 2005年11月13日12時51分撮影】
ボウリング場で、投げるボールの速度をいたずらに競ったことは、
ないだろうか。また、重い球を投げれば必ず倒れると思ったことは、
ないだろうか。さらに、「曲がる」ボールを投げている人を見て刺激
を受け、「よし、オレだって見てろ」「あれ、曲がらんなあ」・・・。
よくある光景である。
18mも先にあるピンの重さは10本で約16kg。これを男性なら14ポン
ド(約 6.4kg)の重さのボールで倒すわけである。運動エネルギー。
1/2 mV×V(mは質量。Vは速度)。単純に考えれば「適当な重さ
のボールを速く投げれば、ピンは倒れる。」果たしてそうであろうか。
ピンを多く倒すためにはどうすればよいであろうか。下図を見てい
ただきたい。それは、一番手前にあるピン(ヘッドピン、1番ピンと
呼ぶ)をまず、倒すことが必要なのである。さらに条件があり、右投
げのボウラーの場合は1番ピンと3番ピンの間(ポケットと呼ぶ)に
ボールをコントロールすることが必要である。しかし、それだけでは
倒すために十分ではない。なぜだろうか?
7 8 9 10 注:■ピンはベタっとセットされて
4 5 6 いるように見えるが、実は、
2 3 正三角形にセットされている。
1 ■ピンとピンの距離は前の記事
|↑ で書いたから思い出してね。
|θ↑ 正三角形だから、どのピンの
| ↑ 間も等距離だよ。
| ● ボール
板目20枚目=中心線
【図:ボウリングのピンの配置と右投げボウラーのストライクコース】
ビリヤードのキューで突いた球が目的球にぶつかった時、衝突する
角度によって方向が変わって跳ね返るのを見たことがあるかと思う。
ボウリングも同様である。
「素直な球」では、一番手前のピンにボールが衝突した瞬間、1番
ピンに跳ね返されてしまうため、後方の5番ピンが倒れてくれないの
である。従って、ただ適当に重いボールを力まかせに速く投げるだけ
では、ピンは倒れてくれないのである。野球の投手と同様、棒球なの
である。これを裏付ける根拠は、ポケットにボールがヒットするとき
の「入射角θ 」である。ストライクのために必要な「入射角」は2.5°
~5.5°である。
ストレートボールを投球した場合、ストライクのために必要な「入
射角」を得るためには、隣のレーンから投げなければならないのだ。
ちなみに、当該レーンの一番右端のガターすれすれから投球しても、
得られる最大の「入射角」は、たったの 1°40′なのである。
ボールの回転がストライクには必要
皆様は既に気づかれたと思うのだが、ピンを倒すためには、重さと
速さに加えて、「曲がり」が必要になるわけである。だから、曲げて
いるボウラーは曲げて投げる理由があるのである。曲げるための理由。
それは、ストライクのために必要な「入射角」を得ることなのである。
この「曲がり」に必要な要素とは何か?---そう「回転」である。
逆に言えば、力任せに投げたボールでも「回転」が無ければ、レーン
の上に散布されている「オイル」の上を滑っているだけで棒球になっ
てしまうのである。
では「回転」を得るにはためには、どうすればよいのであろうか。
これについては、次回のお楽しみ。
>さらに条件があり、右投げのボウラーの場合は1番ピンと3番ピンの間(ポケットと呼ぶ)にボールをコントロールすることが必要である。
素人ボウラーにとってはまずこれが難関です。
以前ボウリングのうまい人に「遠くのピンを狙って投げるのは難しいから、ピンと手元を結んだ線上の板の目を狙って投げれば、より近い的を狙って投げられるわけだからピンに当てやすい。」という話を聞きました。
これ本当?
>逆に言えば、力任せに投げたボールでも「回転」が無ければ、レーンの上に散布されている「オイル」の上を滑っているだけで棒球になってしまうのである。
なるほど、中途半端なボウルならゆっくりゴロゴロ転がした方がまだいいのかな?
次回の講習が楽しみ。
出張先@滋賀から失礼しまくら♪
>ピンと手元を結んだ線上の板の目を狙って投げれば、より近い的を狙って投げられるわけだからピンに当てやすい。
本当です!!
くさび型の目印のことなのですが、追ってご紹介しますねん。