627．成功と失敗

　現在、プロ野球ソフトバンク・ホークスの監督をされている王貞治
氏が選手だった頃、このようなコメントを取材で発した。

　打ちやすいのは真ん中に来る球です。

　なるほど。打者は、打ちやすいボールを打てばよいのである。あの
時、王さんは打撃の本質を語ったのではないだろうか。しかし、練習
ではそれが簡単にできても、本番では簡単にできない。特に、プレッ
シャーがかかった場面になると、なおさらである。自分の意に反して
わざわざ難しいボールに手を出し、好機を逸しチームは敗退する。

　名手・名人・達人は、物事を簡単に捉えた上でいちばん簡単な手段
を「見つけて」成功を収めている。しかし、凡人は物事を複雑に考え
過ぎ、わざわざ難しいことをやっては悉く失敗する。

　非凡とは平凡。やはり「選球眼」、反対に言えば「制球力」の有無
なのであろう。



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