【GEORGE with “Gibson SG Standard(in 1966)】
1966年の春、ビートルズは“REVOLVER”(この時点ではタイトルは
未定)の制作にとりかかった。折りしも過渡期にあった4人は、使用
する楽器の変更を含め、それまでとは「違った」サウンドを追求する
ためにさまざまな「実験」をレコーディング・スタッフの協力を得て
繰り返していた。
その中でジョージは“Gibson SG Standard”を使用し始めた。SG
シリーズは、もともとギブソン社が“Les Paul”シリーズのモデル・
チェンジ版として1961年に発表したものである。「SG」は1966年に
ジェフ・ベックやエリック・クラプトンが使用し、イギリスで脚光を
あび始めていた。
「SG」の形状は、1966年 5月の“Paperback Writer / Rain ”の
クリップで現在でも確認できる。その後同年 6月のドイツ・日本公演
ではサブ・ギターとしてスタンバイされていた。これも楽屋の模様を
撮影した写真集で確認することができる。
「SG」の主な仕様は以下の通りである。
1.ボディは非対称形、ダブル・カッタウェイでソリッド構造
2.カラーはチェリー・レッド
3.黒のセルロイド製のピックガード
4.ボディの厚さは約45mmでマホガニーの1ピース
5.ネックの構造は、マホガニー1ピース
6.バインディングはネックのみ
7.ヘッドには貝のインレイのギブソン・ロゴ
8.ピックアップは2個でハン・バッキング
9.コントロール系は2個のヴォリューム・2個のトーンの4個の
ノブと1個のピックアップ・セレクター
10.アームは板バネ式で「ハープ」の模様と「ギブソン・ロゴ」
ジョージは当時クラプトンとは知り合いで、彼が出していたGibson
の音に興味も持ったのかもしれない。ジョージは「SG」を使用する
前“Gibson ES-345TD ”を使用しており、それまでのGRETSCH では得
られなかった「ハンバッキング」のとぎすまされた音に魅力を感じて
いたと思われる。しかし“ES-345TD”には操作性の悪い「バリトーン
セレクター」が実装されていたため、それが実装されていないタイプ
のギター(「SG」)を求めていたのではないだろうか。
肝心の音色であるが、「カジノ」と同様に、ピックアップの出力が
高いため、歪みを容易に得られる。従ってリード向きのトーンである。
代表的な音は‘Hey Bulldog ’のリフであろう。この曲のリード・プ
レイは、そのテクニカルな奏法と薄く乾いたトーン音から、ポールの
“Fender Esquire”という説もあるが、この曲のエンジニアを務めて
いたジェフ・エメリックの自著『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の
真実』の中で‘Hey Bulldog ’のレコーディングについてこのように
語っている。
ジョージのソロも光っている-これは彼が一発でものにした
数少ないソロのひとつだった。アンプのヴォリュームをいっ
ぱいに上げ、新たに入手したファズ・ボックスを使ったおか
げで、彼のギターはまさに絶叫していた。
“REVOLVER”の‘And Your Bird Can Sing’も「SG」らしい音で
あるが、少なくともジョージ1人のプレイではないことが「証言」で
残されている。従って、ジョンかポールがジョージとは別のラインを
重ねたことになる。2つのラインの音が極めて類似していることから
「同じ種類のギター」で演奏された、すなわち「カジノ」ではないか
と推測する。
「SG」は軽量で高音が弾きやすい(ボディとネックのジョイント
部分が最終フレット)ため、1960年代の後半は愛用者が多かったとの
ことである。しかし“Les Paul”人気が再燃すると、「SG」は再び
日陰に追いやられてしまうのである。ジョージも“Les Paul”を入手
した後、1969年には「SG」を使用しなくなってしまった。
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記事とコメントを興味深く拝見いたしました。
ありがとうございます。
PUが3個の仕様はCustomですね。
なかなかゴージャスです♪
ツイン・ネックのギターを弾いたことがありませんが
操作性はどうなんでしょうか。
肩がこりそう・・・。
レスポールの方がポピュラーですが。
僕もギブソンSGを前に取り上げたことあるので
TBしておきました。