【写真:ボウリング・センター外観 2008年09月04日20時08分撮影】
★この写真と記事内容は直接関係がありません。
わたしが競技ボウリングを始めた1980年代、再び始めた1990年代と
比べると、日本におけるプロ・ボウリングのトーナメントやアマチュ
アの各大会、そしてハウス・リーグにおける「スコア」だけを見れば
「ハイ・スコア」が異常なほど続出していると感じます。
それはそれでよいことだと思うのですが、この現象は、ボウラーの
競技力、真の技術力が向上した結果なのでしょうか。
確かに、プロとしてさらに向上していこうというモチベーションの
高いボウラーや、アマチュアとして国際大会でもよい成果を出すため
にグローバルな視点で意欲的に取り組むボウラーは、日頃きっと想像
を絶する努力をしているのだと思います。しかし、日本のボウリング
市場のたいはんを支えているアマチュアの「リーグ・ボウラー」層は
はたしてどのような意識をもって日々ボウリングに取り組んでいるの
でしょうか。
なんだよ。950(4G)も打ったのに優勝できないのか。
こんなコンディションじゃ200がやっとだな。
センターAVG.、210に下がっちゃったよ。
レーン・コンディションよりもスコアの絶対値を優先させた意見が
次々と登場します。しかもそれもほとんど変わりばえのしない、比較
的易しいレーン・コンディションの中で・・・。
アメリカでもそうですが、日本のセンターにおける「ハウス・コン
ディション」は、営業面の影響(レーン・コンディションが難しいと
客からクレームがあがる)もあるため、ボウラーに「オイルのカベ」
を感じさせる「易しいコンディション」を維持するセンターが多いと
聞きます。そのような環境下で、進化した用品を装備したボウラーが
ハイ・スコアを出し続けた結果「自分はうまいんだな」と勘違いする
ボウラーが潜在的にいるのではないでしょうか。
わたしも勘違いして「国体」を目指した時期がありました。そして
地区ブロック予選で、今でいうところの「PBAのアニマルコンディ
ションにおけるチータ」のようなコンディションに出くわし、必死に
インサイドから闇雲に曲げよう曲げようと攻め続け、見事に惨敗した
経験を味わいました。
ボールやシューズの機能がレベルアップし、さらにボウラーを支援
する様々なグッズが商品化され、合成レーンが登場するなどボウラー
を取り巻く「用品・設備環境」(ボウラーが競技前に考えておくべき
戦略的要素)が飛躍的に進化している中、「競技環境」(ボウラーが
競技当日に対応していく戦術的要素)、「レーン・コンディション」
については、どうあるべきなのでしょうか。
プロ野球で「2-0」や「3-2」のロー・スコアよりも、やはり
「9-8」や「15-12」のようにボールがよく飛び本塁打が続出
するような「ハイ・スコア」のゲームが一般的にはウケがよいという
ハナシをよく耳にします。ゲーム内容を左右するのは、ボウリングと
同様、ボール・バットの物理的特性や球場の空調設備等の「用品・設
備環境」、相手チーム選手のコンディションやストライクゾーン等の
「競技環境」です。日頃打ち勝っているチームや選手が「タフな環境」
になると、鳴かず飛ばずになるケースは枚挙にいとまがありません。
スポーツ競技においては、国内大会のみではなくグローバル対応、
すなわち、オリンピックや世界選手権レベルの大会において、いかに
各国と伍して戦っていけるようになるのか、各選手の対応能力、順応
能力が要求されます。すなわち、それは「スポーツ・コンディション」
に対する知識の習得とアジャスティング技術の継続的向上なのです。
その視点からボウリングをみた場合、対応能力や順応能力をさらに
強化することが必要だと考えます。そしてそれはごく限られた選ばれ
し選手だけではなく、「競技ボウリング」に参加しているボウラーに
も趣旨を理解していただき、全国レベルで協力をいただける雰囲気に
もっていかなければなりません。
日本では「ハイ・スコア」や「センター・アベレージ」に必要以上
に拘るボウラーが存在しているのも事実です。競技ボウリングに対す
る取り組み方、考え方もいろいろとあるかと思います。しかし、真の
技術力を向上させたいという思い、「うまくなりたい」という願いは
競技ボウラーがみなお持ちなのではないでしょうか。
ボールやレーンの素材の技術的進化だけではなく、「レーン・コン
ディション」、「スポーツ・コンディション」に対する認識をさらに
深めていただくボウラーが多くなることを切に願います。そしてその
機運の高まりが、ボウリング場の経営者の心を動かし「競技環境」の
向上につながっていくものだと確信します。
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