Runrun日記

最近読んだ本ーユリウス・カエサル ルビコン以後(上・中・下)



塩野七生 著作 「ローマ人の物語 9~11 ユリウス・カエサル ルビコン以後(上・中・下)」 新潮文庫

「賽は投げられた」と云って、カエサルがルビコン川を渡ると、元老院議員達やポンペイウスは、ローマを捨ててギリシャへ逃げ出してしまいます なんて情けない奴らだ でも、彼らにすれば、仕方ないことだったの? 

紀元前49年~前44年までの話(カエサル50歳~55歳)

カエサルはローマに戻り、取り合えず政治をします。ローマの政治が機能するように戻したその後、ポンペイウス達を懲らしめに廻ります。ポンペイウス派の討伐と合わせて、ローマの地中海世界の安定化を目的としていたのですね。

ギリシャのファルサルスでポンペイウスとの会戦に挑み、ポンペイウスの軍を打ち破ります。敗れたポンペイウスはエジプトに逃げます。エジプトでは、クレオパトラと弟王派とが内乱中で、ポンペイウスは、弟王派に殺されてしまいます。以前読んだクレオパトラの小説と繋がりますね。

カエサルは、エジプトでクレオパトラと出会い、クレオパトラと愛人関係となります。クレオパトラを助け?エジプトの内紛を片付けます。クレオパトラは、カエサルは自分の事を思ってくれる人だと勘違いしますが、カエサルは、ローマの政治が大事だったのですよね。クレオパトラとの蜜月休暇を過ごした後、シリア⇒小アジア⇒ギリシャ⇒北アフリカ⇒スペインと、ポンペイウス派の残党の討伐・ローマの勢力圏内の国々を治めていきます。

カエサルは、どのようなローマを目指していたのでしょうか。

建国時のローマは、王政でしたが、暴君が現れて、その独裁政治を回避する為に共和政に移行しました。その後、ローマの元老院議員達は、王政に対して強いアレルギー反応を示すのですよね。政治は、一人の独裁者に任すのでなく、複数の元老院議員による寡頭政治でなければならないという、強い意志!!
しかし、ローマ社会が地中海エリア全域に及ぶようになると、寡頭政治が上手く機能しなくなります。
平民と貴族階級の貧富の格差が大きく成り、「改善を求める民衆派」対「既得権を維持しようとする元老院派(貴族派)」の対立が強くなります。

元老院派の貴族達は、イタリア半島内に住む市民のみを代表するローマを考えていたのでしょうか。カエサルは制覇した地中海世界のすべての属州、同盟国の市民までも平等としたグローバルな社会を考えていた?

カエサルは、無期限の独裁官となりました。元老院と市民集会を無力化させます。帝政を目指していた???
次々と改革を行い、ローマに平和が訪れようとしていたのに、紀元前44年3月15日、カエサルは暗殺されてしまいます。
カエサルが王になるのではと恐れた集団がこの暴挙を実行します。

紀元前44年3月15日~前30年まで

暗殺者達は、暗殺後何をするかを、少しも考えずに暴挙に及んでしまったのだろうか? 市民たちの反発に恐れをなして逃げ出してしまいます。
ここから先の物語は、シェイクスピアが書いたローマ劇なんかで有名なんだよね。私は知らなかったけど(悲)

カエサルは遺書で、遺産はオクタヴィアヌスに残すと書いてあった。しかし、執政官だったアントニウスは、野望を持ちます。
結局、元老院派は粛清されて、オクタヴィアヌスとアントニウスとの権力闘争となって行く。
以前、クレオパトラの小説でも読んだけど、シェイクスピアも関心を示した、劇場型の展開になるのだよね。
政治的の能力の弱いアントニウスは、クレオパトラに踊らされてしまったのだろうか。
アントニウスとクレオパトラの連合軍は、アクティウムの海戦でオクタヴィアヌスに敗れてしまいます。
アントニウスとクレオパトラの野望は幕を閉じ、プトレマイオス王朝は滅亡します。

これで、ローマは平和を迎えるのでしょうか・・・

この小説のお気に入り度: ★★★☆☆

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