にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

復刻ユニブームに水を差してみる

2008-07-04 21:04:03 | 言わせてもらいます・球界に苦言提言
 この頃流行りの復刻ユニ企画。そのはしりは、交流戦初年度のタイガースではなかったかと思いますが、今年はホークスとライオンズ、さらにはオリオンズ(あえてこう書きます)など、目玉企画が目白押しです。
 私自身、こういう企画を行うこと自体には大賛成です。特に、来月京セラドームで行われる南海ホークスユニ企画は今から待ち遠しくてなりません。
 さらにいえば、ファイターズもやってみたらどうか、とも思うんですよね。せっかく東京ドームで試合があるんですし(ちなみに、個人的希望はオレンジのビジユニです)。
 ですが、こうも復刻ユニ企画が続くと、引っかかりを感じる面もでてきます。あまり水を差すようなことを言うのもどうかと思いますが、どうしても疑問に感じることを2点ほど。

1. 仏作って魂入れず?
 いきなり話が飛びますが、部屋の整理をしていて、思いがけず出てきた古いアルバムに見入ってしまった経験は、皆さんもあるのではないでしょうか。
 あるいは、アルバムでなくても、子どものころのおもちゃ、昔もらったプレゼントなどなど、意外なところから出てきた思い出の品を目にして、ふと懐かしい思いに浸ってしまうことはあるかも知れません。
 昔のモノは、ただ古いだけのモノではありません。それは、人との関わりの中で思い出を帯びていて、単なるモノにとどまらない存在と化しているのです。
 そして、その思い出は、そのモノとともに生きた人々だけのものにとどまりません。物語として語られ、受け継がれ、場合によっては再生産されて、同じ時代を生きなかった人々の中にも共有されるのです。
 若いファンは実際に見たことがなかったであろう南海ホークスユニ、さらには私も見たことのない西鉄ライオンズユニが、なぜこれほどまでに人気を集めるのか。
 それは、単に昔のものが見られるという好事家的な理由からではありません。南海であれば御堂筋シリーズ、西鉄であれば日本シリーズ伝説の4連勝、その他もろもろの物語が、人々の心を打つからなのです。
 だからこそ、復刻ユニは可能な限り当時のものと同じでなければなりません。過去の物語を蘇らせるには、過去そのものを再現しなければなりません。近づける、では駄目なのです。同じでなければならないのです。
 ですが、復刻ユニの中には、残念ながらそのような意識において、疑問を感じざるを得ないものが出てきています。
 まずは、マリーンズのオーセンティックユニフォーム(復刻ユニかというと、ちと違いますが)。
 先日薫友さんのエントリを見たとき、私は目を疑わずにはいられませんでした。
 言われなければ気づかなかったかも知れませんが、確かに左腕、カモメのマークの向きが違う。
 これが写真も残ってないような昔のユニならまだしも、一体全体何年前まで使っていたユニホームなのでしょうか? 毎日のようにユニを見ていた関係者が、なぜこの違いを見落としたのか疑問です。
 また、先ほど書いた西鉄ユニについては、胸の部分についているナイキのロゴが問題視されていました。
 私自身も、あのロゴは邪魔にしか見えません。言ってしまえば、純白のブラウスについたカレーうどんのシミと同じ。目について鬱陶しくてなりません。
 ロゴはおそらく宣伝のつもりなのでしょう。ですが、宣伝と言うからには、企業の知名度を上げるだけではなく、そのイメージを上げるものでなければならないはずです。
 長い沈黙の歴史を経てせっかく蘇ったユニホームについたシミによって、ナイキの印象が良くなったというプロ野球ファン、特にライオンズファンがどれほどいるのか、ぜひ知りたいものです。
 さらに、オリックスが復刻ユニを検討しているという話にいたっては、もはや噴飯モノと言うよりほかありません(もっとも、ネタ元がネタ元なので、その点は注意が必要でしょうが……)。
 ただし、昨年福本さんの復刻ユニがタイガースのネットショップから出たことから推察するに、ユニホームの権利は阪急阪神ホールディングス系の企業が持っているのではないかと。
 となれば、阪急のユニはそこの許諾を得ないと作れないはずで、この際オリックス側から話があっても拒否してやればいいんですけどね。


2. 新規のユニはどうなのよ?
 上で書いたような問題はありますが、今年の復刻ユニ企画は概して成功したとは言えるでしょう。となれば、来年以降もこの種の企画が続いていくことでしょう。
 それはそれで悪いことではありません。繰り返しになってしまいますが、私自身もこのような企画には大いに賛同しています。
 ですが、昔のユニをいくつも見るようになると、かえって心配になることがあります。
 というのは、新たなユニをデザインする力が弱ってはいないか? と。
 このブログが始まって以来、さまざまな球団がユニホームを変更したり、限定ユニを導入しています。むしろ、何の変更もない球団の方が珍しいぐらいでしょう。
 ところが、そうであるにもかかわらず、新たに導入されたユニのいい評判を聞く機会がまるでありません。
 むしろ、新たなユニに対しては戸惑いや批判ばかりを目にします。その典型的な例が、今年のタイガース交流戦限定ユニに対するカネシゲ監督の批判でしょう。
 確かに、新しいものが定着するには時間がかかりますし、その過程で疑問や批判を集めやすくはあります。
 また、導入当時は不評でも、時間とともに人気を得るものもあります(逆に、最初は人気でも時間が経てば飽きられるものもありますが)。
 ただ、それにしても、新たなユニがこれだけいろいろ出ているのに、ファンの間で人気のものがあまりにも見当たらない。せいぜい、長いこと見たせいで見慣れた、というぐらいです。
(うちの北海道ユニはまだ健闘している方だとは思いますが、デザイン上はほとんど「冒険」をしてないわけで、褒めてばかりもいられません)
 思い出のあるもの、懐かしいものは、確かに受け入れられやすい。その一方で、新たなものが定着するには時間がかかる、これまた事実です。
 となれば、いきおい過去のものを持ち出そうとするのもむべなるかな。有り体に言えば、その方が楽にお金になりますからね。
 ですが、それが続くことによって、今ですら怪しい新規ユニのデザイン能力が、今後ますます落ちていくことにはならないか、どうにも危惧せざるを得ないのです。
 もっとも、言ってることが○AKZ○Kと被ったことの方がよっぽど危機的なんですが。


最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (bpm184)
2008-07-04 22:36:28
今年の「WE LOVE HOKKAIDOシリーズ」限定ユニホームは黒いんだけど、シリーズ前半の3連戦は千葉ロッテ戦なんだよね。色がロッテのビジユニと被ってるじゃないか。両軍選手もレフトもライトも、球場全体が真っ黒じゃないか。大丈夫なのか。
と言いつつ限定ユニもう買っちゃったけどさ。
返信する
復刻は嬉しいのだけど・・・。 (アパッチ)
2008-07-04 22:58:25
甲子園で南海ホークス復刻ユニを観たんですが、万々歳です。あの試合はレフトのビジターチームであるはずのホークスファンの熱気はトラ党に負けてませんでした。
ユニ復活を待ちわびた喜びから、懐かしの品々を持って試合に望んだホークスファンのみなさんは本当に好きだったんだという熱い思いがこもると同時にやっぱりまだまだホークスを応援し続ける方は関西には多いんだなというのも再確認できました。歴史に埋もれた南海ホークスの関係話も多数聞く事ができ、なんだか遠い昔の私鉄沿線文化の奥深さも感じられたんですが、ただ、何事にも先進性を持つのは大変有意義な事。
ならば、来年からでも交流戦や他のカードといった一定期間に復刻ユニを着用するのを義務化してはどうだろうと思う次第です。
既に大リーグではやってるみたいですし、歴史的にも大変意義のある、特にパ・リーグの場合はやらなければ偉大な先人達に失礼な気がしてならないですね。
返信する
bpm184さん (ルパート・ジョーンズ)
2008-07-05 05:33:46
マリーンズ戦! 全然気がついてませんでした。
確かに、今から想像するだけでなかなかすごいことになりそうですね[;;0J0]
ビジターユニが変更になったせいで、グランドでの混乱が防げそうなのはまだ良かったですが。
返信する
アパッチさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-07-05 05:46:39
義務化、というとかなり強い手段になってしまいますが、
年に少なくとも1試合ぐらいは、こういう試みを習慣にしてもいいような気がしますね。
(そこまでの歴史のない檻鷲が問題になりますが……)
ただ、企画をするにもやり方ってものがあるだろう、とは思ってしまいます。
単に売らんかなというだけの企画は、最初は物珍しさでファンから受けていても、
いずれは見捨てられるでしょうし。
ホークスの孫オーナーが復刻ユニ企画に際して、
「やるなら本物を作れ。本物でなければ感動は生まれない」
と檄を飛ばしたそうです(一次資料がないので、発言の仔細が分かりませんが……)。
私もまさに意見と同じくしています。
返信する
義務化は厳しいだろうなぁ (アルビレオ)
2008-07-05 08:07:26
まず権利関係で厳しそうなのがすでに挙がってる阪急、南海の他に大洋や国鉄。
燕の復刻ユニが国鉄時代ではなく、短期間だったアトムズというのもその影響でしょう。
近鉄は一応今も資本参加してるんで、まだなんとかなる可能性が高い。

また古い時代のユニは素材や縫製も今とはかなり違うため、同じものを作っても今の「プロ野球のユニフォーム」の水準ではちょっと使えないレベルです。
それに古いユニは実物はあっても作り方までは残っていないと考えた方がいいです。
だから事実上「昔のデザインをベースに、新しいユニフォームを作る」のと変わりありません。

そういうことからベンチ入りの選手やコーチ、監督の分をオーダーメイドして、さらにベンチ入りするかもしれない控えなど予備のユニもそれなりに必要で、選手は練習の後試合用に着替えるので最低でもざっと数百万円はかかります。
球団にとっては出せないようなお金ではないでしょうが、義務化となるとちょっと厳しい出費でしょう。
話題になることが見込めるからやってるので、みんながいっせいにやるとインパクトが薄くなっちゃって費用に見合った見返りが期待できないでしょうから。

>やるなら本物を作れ

とはいっても、南海全盛期のようなダボダボユニを今の選手がぶっつけ本番に近い形で着るのは無謀です。
慣れてないから怪我をする危険もあり、ファンサービスとして許容できる範囲を超えています。
返信する
今年の北海道限定ユニ (ざわ)
2008-07-05 09:34:39
 カラーコーディネートの面でも青のワンポイント部分がほとんど消えてしまいますからね、あれだと。
 まだ、昨年の青地に黒のワンポイントのほうが見られた感じがします。
返信する
アルビレオさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-07-05 09:58:34
>権利関係
おそらく、南海は今年の経験でクリアできるのは分かったのではと思います。
同様に考えると、大洋や国鉄についても時間はかかるでしょうが、
さほど大きな問題はなさそうに思います。
問題はやはり阪急でしょうね。経緯が経緯とはいえ、別の球団との所有関係ができたわけで。

>素材や縫製
実際のところ、そこまでの再現は確かに難しいでしょうし、
そこまで目指すべきでもないかとは思います。
というと、本物志向に反してしまうわけですが、この辺は、モノには限度があるってことで……
それに、おっしゃるような安全性の問題もありますからね。

まるで違う例になりますが、各地の路面電車で明治・大正期のものを復刻した、
いわゆる「レトロ電車」が走ってるのはご存じかと思います。
電車ではないですが、松山の坊っちゃん列車なんてのもありますし。
あれも安全上の理由から、本来木造だったものを一部鋼鉄製にしたり、
集電器の形状が異なっていたりしています。
それはそれで仕方のないことなので、私も理解はできるんです。
ただ、だからといって明らかに今の企業の広告を貼り付けたり、
鉄道会社の社章が当時のものと食い違ってたりすると(明らかなミスならなおさらですが)、
ちょっと待てよ、と思うわけです。
復刻ユニに対する考え方も、似たような感じかなぁと、自分では思っています。
返信する
ざわさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-07-05 10:01:26
黒が大部分を占めていると、どうしてもその部分が目立ってしまって、
あとの部分が隠れてしまう感はありますよね。
鎌ケ谷が緑ベースのユニを作っていますが、
一軍も緑を入れてみても良かったかも知れません。
JR北海道のカラーが黄緑色ですし[;;0J0]
返信する
理非分別のカケラもなく (あさぎや)
2008-07-05 10:59:14
 ホークス南海復刻ユニが欲しい! 緑Tシャツもメタボサイズがあれば……(自虐) それを着込んでアイランドリーグの香川「オリーブ」ガイナーズ応援席に紛れ込むんですけどね。しかし10月まで待たされるのはしんどい;: 人気があるのも痛し痒しです。

 福岡ソフトバンクに関しては元々カラーリングが暖色系の淡い色なので(柔銀グループのイメージカラーが黄色・白・グレーで共通していて、それ自体は決して悪くないと思いますけど)、福岡ダイエーや南海時代のメリハリ利いたコントラストが余計に映えるのかもしれません。

 なにはともあれ球団史、大事にして欲しいですね。まっさらの状態から始まった東北楽天は今まさに球団の歴史を積み重ねている過程です。いずれ「初のAクラス」から「初のリーグ優勝」、そして「初の日本一」を達成してほしいですし、その時代を目撃した我々ファンは後代まで延々語り継いで若者から煙たがられるくらいになりましょう(笑) そう、「西鉄」や「南海」のように、「大洋」や「東映」のように。
返信する
あさぎやさん (ルパート・ジョーンズ)
2008-07-05 16:30:20
私も南海ユニは欲しいんですが、先立つものが……orz
ハムのオレンジユニが出た時は、意地でも買いたいですけどね。

>東北楽天
言われてみると、今新しいとものでも、いずれは歴史の1ページになっていくんですよね。
そうなった時に、老いたわたしたちが若い次第に何を語り継いでいけるのか、
ふと考えたりもします。
返信する