まずは、すっげくシリアスなはずなのにどこか半笑いがこぼれてしまう新井会長の写真記事から。
■ 日本、WBC出場へ 選手会・新井会長が不参加決議撤回(スポニチ・2012年9月4日)
続いて、選手会の主張を詳しく見るために、新井会長のどうしても表情が笑える一問一答を。
■ 「選手会の主張、おおむね認められた」 新井会長一問一答(産経・2012年9月4日)
新井会長曰く、決議撤回の要点は2つ。1つは、スポンサー権・ライセンス権等を日本でライセンスする仕組みをNPBがおおむね認めた点。もう1つは、NPBがライセンス管理やビジネス構築の態勢作りを約束した点です。
もっとも、これが選手会が当初主張していた参加条件の見直しに相当するとはどうも考えにくい。しかもNPBとWBC運営側との交渉は不調と伝えられてきたわけで、新井会長の発言に疑問がないではありません。
ただ、この点についてはスポニチの解説記事が参考になるかも知れません。
■ 米との交渉進展なしも…WBC参加へ、リミット寸前に事態急転のワケ(スポニチ・2012年9月4日)
多少乱暴にまとめてしまえば、当初の主張は認められなかったものの、言わば「条件闘争」としては十分な成果を引き出せたと判断した、という感じでしょうか。
これまでも日本代表の常設化などはNPBから提案されてきましたが、今回の交渉過程ではWBC本収入以外とはいえ、WBC期間中に日本代表が独自に収益を得る目途が立ったのがポイントです。
「結局はカネか」という批判(?)があるようですが、いまさら何を、と言わざるを得ません。そもそもの問題はWBCの利益分配をめぐる意見の不一致で、つまりははじめからカネの話なのです。
そのカネに関して、選手会の本来の要求(WBC収入配分の改定)が通りそうにない一方で、ある程度の譲歩は引き出せたことが明らかになっていて、選手会がこの譲歩を了としたのが今日の決議撤回です。
問題は決議撤回の当否です。これについては賛否両論あり得ますし、私自身も尻切れトンボな印象を否めませんが、本音ではWBC出場を希望する選手もいる中で、選手会としてはここが落としどころと判断したのでしょう。
何より、WBC出場拒否は選手会にとってあくまで交渉の手段であって、目的ではないのです。選手会が目的を果たしたと判断すれば、撤回するのも至極当然のことです。
(もっとも、本当に目的が果たせたと言えるかどうかは、見方が分かれるところでしょうが……)
さらにカネの話で言えば、スポニチの解説にある最後の1文がポイントとなります。つまり、日本代表-12球団-少年野球というピラミッドが確立されるという点です。
これが本当に選手会の描いた理想図かどうか、根拠となる資料がないので分かりません。それに、ここには高校・大学野球、社会人野球、独立リーグが入っておらず、良くも悪くもピラミッドとしては不完全です。
ただ「収益はアマチュアの支援など球界全体に行き渡る仕組み」というのが事実だとすれば、それらの団体とて無関心ではいられますまい。なにせ期待される収益の規模が違います。
そうなれば、日本代表の下に、これまで分立してきた複数の統括団体がある程度集結していくことも予想されます。今までの球界の構造が大きく変わる可能性があるのです(どこまで現実的かは分かりませんが)。
話がすっかり大きくなってしまいましたが、選手会の決議撤回は、当初の要求に代わる譲歩が認められたので矛を収めた、というだけの話に止まらないかも知れません。
むしろ、第3回WBC期間中に日本代表が期待通りかそれ以上の規模の収益を獲得すれば、それを弾みにプロ・アマの歩み寄りがさらに進むなど、日本球界自体が一気に変化することもあり得るでしょう。
他方、一連の動きの中でもう1つ明らかとなったのが、加藤コミッショナーの管理能力の無さと当事者意識の欠如です。
新井会長は先の一問一答の中で、加藤コミッショナーの発言を取り上げて批判しています。ここで挙げられたのは、下記の記事になった発言で間違いないでしょう。
■ 加藤コミッショナー、選手会に訴え 震災復興のためWBC出場を(報知・2012年8月29日)
東日本大震災を錦の御旗に見立てたのは、昨年のセ・リーグ開幕問題の際に巨人渡邊会長がとった手法と同じです。被災者を利用して選手会を悪者に仕立る手法には、極めて強い不快感を持たざるを得ません。
そもそも、以前も書きましたが、本来WBCの収益分配に関する交渉はNPBが毅然たる態度をもって交渉すべきだったことです。
にもかかわらず、それを怠ったがために、選手会の態度硬化を招いたのはご存じの通りです。NPBは選手会の決議以後にWBC運営側と交渉を行ったものの、そのトップの認識は甘いままだったのです。
そのコミッショナー、選手会の決議撤回を受けて、下記のコメントを出したようです。
■ 加藤コミッショナー「喜ばしい」(ニッカン・2012年8月29日)
これがコミッショナーの発言とは。遺憾ながら、私は氏の発言の中に当事者としての意識を一片たりとも感じることはできません。「喜ばしく思う」だけなら、その辺のオッサンで十分です。
前任者のような意図的な責任逃れこそないかも知れませんが、責任感が見られない点では五十歩百歩。これではWBCまでにまたぞろ同様の問題が生じやしないか、先が思いやられます。
ともあれ、選手会は拳を降ろしました。チーム首脳陣の人選等の問題は残っていますが、とりあえず現時点では日本代表のWBC出場は決定的と言えるでしょう。
あとは誰が出場するにせよ、くれぐれもケガのないようにしてもらえれば、というところでしょうか。
■ 日本、WBC出場へ 選手会・新井会長が不参加決議撤回(スポニチ・2012年9月4日)
続いて、選手会の主張を詳しく見るために、新井会長の
■ 「選手会の主張、おおむね認められた」 新井会長一問一答(産経・2012年9月4日)
新井会長曰く、決議撤回の要点は2つ。1つは、スポンサー権・ライセンス権等を日本でライセンスする仕組みをNPBがおおむね認めた点。もう1つは、NPBがライセンス管理やビジネス構築の態勢作りを約束した点です。
もっとも、これが選手会が当初主張していた参加条件の見直しに相当するとはどうも考えにくい。しかもNPBとWBC運営側との交渉は不調と伝えられてきたわけで、新井会長の発言に疑問がないではありません。
ただ、この点についてはスポニチの解説記事が参考になるかも知れません。
■ 米との交渉進展なしも…WBC参加へ、リミット寸前に事態急転のワケ(スポニチ・2012年9月4日)
多少乱暴にまとめてしまえば、当初の主張は認められなかったものの、言わば「条件闘争」としては十分な成果を引き出せたと判断した、という感じでしょうか。
これまでも日本代表の常設化などはNPBから提案されてきましたが、今回の交渉過程ではWBC本収入以外とはいえ、WBC期間中に日本代表が独自に収益を得る目途が立ったのがポイントです。
「結局はカネか」という批判(?)があるようですが、いまさら何を、と言わざるを得ません。そもそもの問題はWBCの利益分配をめぐる意見の不一致で、つまりははじめからカネの話なのです。
そのカネに関して、選手会の本来の要求(WBC収入配分の改定)が通りそうにない一方で、ある程度の譲歩は引き出せたことが明らかになっていて、選手会がこの譲歩を了としたのが今日の決議撤回です。
問題は決議撤回の当否です。これについては賛否両論あり得ますし、私自身も尻切れトンボな印象を否めませんが、本音ではWBC出場を希望する選手もいる中で、選手会としてはここが落としどころと判断したのでしょう。
何より、WBC出場拒否は選手会にとってあくまで交渉の手段であって、目的ではないのです。選手会が目的を果たしたと判断すれば、撤回するのも至極当然のことです。
(もっとも、本当に目的が果たせたと言えるかどうかは、見方が分かれるところでしょうが……)
さらにカネの話で言えば、スポニチの解説にある最後の1文がポイントとなります。つまり、日本代表-12球団-少年野球というピラミッドが確立されるという点です。
これが本当に選手会の描いた理想図かどうか、根拠となる資料がないので分かりません。それに、ここには高校・大学野球、社会人野球、独立リーグが入っておらず、良くも悪くもピラミッドとしては不完全です。
ただ「収益はアマチュアの支援など球界全体に行き渡る仕組み」というのが事実だとすれば、それらの団体とて無関心ではいられますまい。なにせ期待される収益の規模が違います。
そうなれば、日本代表の下に、これまで分立してきた複数の統括団体がある程度集結していくことも予想されます。今までの球界の構造が大きく変わる可能性があるのです(どこまで現実的かは分かりませんが)。
話がすっかり大きくなってしまいましたが、選手会の決議撤回は、当初の要求に代わる譲歩が認められたので矛を収めた、というだけの話に止まらないかも知れません。
むしろ、第3回WBC期間中に日本代表が期待通りかそれ以上の規模の収益を獲得すれば、それを弾みにプロ・アマの歩み寄りがさらに進むなど、日本球界自体が一気に変化することもあり得るでしょう。
他方、一連の動きの中でもう1つ明らかとなったのが、加藤コミッショナーの管理能力の無さと当事者意識の欠如です。
新井会長は先の一問一答の中で、加藤コミッショナーの発言を取り上げて批判しています。ここで挙げられたのは、下記の記事になった発言で間違いないでしょう。
■ 加藤コミッショナー、選手会に訴え 震災復興のためWBC出場を(報知・2012年8月29日)
東日本大震災を錦の御旗に見立てたのは、昨年のセ・リーグ開幕問題の際に巨人渡邊会長がとった手法と同じです。被災者を利用して選手会を悪者に仕立る手法には、極めて強い不快感を持たざるを得ません。
そもそも、以前も書きましたが、本来WBCの収益分配に関する交渉はNPBが毅然たる態度をもって交渉すべきだったことです。
にもかかわらず、それを怠ったがために、選手会の態度硬化を招いたのはご存じの通りです。NPBは選手会の決議以後にWBC運営側と交渉を行ったものの、そのトップの認識は甘いままだったのです。
そのコミッショナー、選手会の決議撤回を受けて、下記のコメントを出したようです。
■ 加藤コミッショナー「喜ばしい」(ニッカン・2012年8月29日)
これがコミッショナーの発言とは。遺憾ながら、私は氏の発言の中に当事者としての意識を一片たりとも感じることはできません。「喜ばしく思う」だけなら、その辺のオッサンで十分です。
前任者のような意図的な責任逃れこそないかも知れませんが、責任感が見られない点では五十歩百歩。これではWBCまでにまたぞろ同様の問題が生じやしないか、先が思いやられます。
ともあれ、選手会は拳を降ろしました。チーム首脳陣の人選等の問題は残っていますが、とりあえず現時点では日本代表のWBC出場は決定的と言えるでしょう。
あとは誰が出場するにせよ、くれぐれもケガのないようにしてもらえれば、というところでしょうか。
この時期で急に参加表明はギリギリまで
いい条件を引き出す戦略なのかなと...
まぁ、選手会の主張は正論だと思うし、
NPBもWBCの問題点については消極的
だったからというのが騒動の根っこですが
個人的には、参加したらしたで楽しみは増えるんですがね
ただ、交渉というのはお互いが相手の譲歩を引き出そうとしつつ、
一方では妥協点を探り合うもので、このぐらいが結論としては妥当かも知れません。
選手会にとってもNPBにとっても、決裂するよりは合意できた方が利益になるわけですし。
出場しないことを表明したときの文書をもう一度
http://jpbpa.net/news/?id=1342765958-887972
>WBCでは、かつてのオリンピック野球日本代表では、参加国の固有かつ当然の権利として認められていた、
>代表チームのスポンサー権、ライセンシング権を、全てWBCIに譲渡することを参加条件としています。
>その上、大会のスポンサー収入の半分以上は日本企業からの収入であるにもかかわらず、WBCの利益の66%は、
>アメリカのMLBとMLBPAが独占する形となっており、日本は、わずかな利益分配(13%)を受けるのみとなっています。
要約すれば「スポンサー権がないのにこの配分はおかしい」ですから、当初から代表チームにスポンサー権がないことも不参加の理由として挙げていたわけです。
>収益はアマチュアの支援など球界全体に行き渡る仕組み
「常設の日本代表」ってことは普通に考えて全日本野球会議に所属するということでしょう。この組織はプロアマ混成の日本代表チームを作るために作られた関係でNPBや各アマ団体が参加しています。
独立リーグも選手を派遣したり収益を受け取るようにするには、今後この野球会議に各リーグ運営団体が参加するという形になるでしょう。
ちなみに第一回、第二回で日本側として収益配分を受け取ったのはNPBで、野球会議とは無関係の代表チームでした。
代表チームが野球会議所属になれば、自然にアマ団体も受け取り手になれるわけです。
スポンサー権を譲渡させておいて、収入配分がおかしい、という主張でしたか。
それなら、WBCのロゴを使わないという条件つきとはいえ、
スポンサー権を確立できたのは、確かに当初の主張からしても前進ですね。
>全日本野球会議
サイトを見たら、いまだにトップに北京五輪の画像が出ていて驚きました。
第2回WBCの方が時系列で明らかに後なんですけどね。
さらに調べると、ニュースページでも代表チームページでも、
WBCへの参加に関する記述がそっくり抜けている。
WBCに参加にした「日本代表」が、本来の日本代表とは別ということなんでしょうか。
もしそうだとしたら、「日本代表常設化」によって、2つの「代表」が統一されるのか。
基本的な事実に関する知識がないのはお恥ずかしいところですが、
どうにもこんがらがってきました……
形の上ではMLBやNPB、その他各国の団体が派遣したのは「選手」です。それをWBCが国籍や出身国で分けたのがそれぞれのチームという形になります。
過去に上位の成績を残した日本や韓国でも「MLBの選手」が主力として活躍したのだからMLBの取り分が大きいし、日本チーム優勝したからといってもそれがイコールNPBの力ってわけでもない。
このあたりのわかりにくさのせいで実態以上に不公平感が大きく見えてしまうんですけどね。
WBCとしては参加条件の直接的な見直しには応じないで「あいまいだった部分の確認」という形で今回の結論になったわけですが、「WBC参加チームはナショナルチームとして独自の活動ができる」というのは大きいです。
ただし野球会議は「WBCでも独自のスポンサー獲得やライセンシングができる」というだけで、収益配分については今までどおりNPBが受け取ることになると思います。
国別チームは各団体の混成チームなので、代表チームが収益配分の受け手になると「選手を派遣した団体ごとに配分する」という現行の配分条件を根本的に見直さないといけなくなりますから。
そうなれば参加している各国リーグすべてを巻き込んだ交渉が必要でそんな時間があるはずもないので、WBCが収益配分自体の見直しには応じなかったのも仕方ないでしょうね。
考えてみたら、チームを派遣しろと言われたら途端に困る国が殆どかも知れませんね。
日本の場合はおっしゃる通り、NPBが窓口だと他団体の選手は派遣できなくなりますし、
ヨーロッパに至っては、自国籍の選手に限られた時点で、
おそらくまともなチームが組めなくなる国が多いでしょうし。
(人数だけなら何とかなるでしょうが、戦力はいかんとも……)
とはいえ、他のスポーツと比べたときのややこしさは否めませんし、
国際大会としての「格」を考えれば、いずれ何とかしないといけないでしょうね。