にわか日ハムファンのブログ記念館

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融解を始めたプロ・アマの壁:プロによる高校球児「指導」解禁、独立リーグ兵庫と芦屋大が提携

2011-12-18 10:50:10 | 言わせてもらいます・球界に苦言提言
■ グラウンドでプロの高校生指導解禁(ニッカン・2011年12月18日)

 プロ選手が高校球児に技術指導などを行うシンポジウム「夢の向こうに」で、プロ選手が直接的な技術指導を行うことが可能となるようです。
 記事によれば、来年はテストケースとして指導を実施し、その結果を踏まえて再来年以降の形式を決めるというようです。
 ともあれ、よほどのことがない限り本格実施にまでつながることは間違いないでしょう。理由は簡単で、明らかに需要があるからです。プロ選手に直接教えてもらえるチャンスを嫌がる高校球児はいないでしょう。
 私もシンポジウム当日の様子をぜひ知ることができればとは思いますが、一方で、私はこのニュースを見て、まったく別のことを考えていました。
 それは、関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズが兵庫県にある芦屋大学と教育提携を結び、芦屋大学の現役学生が兵庫の二軍に所属できることになった、というニュースです。
 プロとアマが同一のチームを結成する、現役大学生にしてプロ野球選手が誕生する。普通に考えればあり得ないことがなぜ可能になったのか。それは下記の記事を読めばお分かりになることでしょう。

■ 【独立リーグの現状・第7部】(1)憲章スルリ プロと大学が“合体”(産経・2011年12月12日)

 プロとアマを隔てていたのは「日本学生野球憲章」の規定です。しかし、学生野球団体に登録さえしなければ、この規定を逃れることは可能なのです。
 そして、芦屋大学は全日本大学野球連盟に加盟していません。ですから、プロたる兵庫との提携には、何の問題もないのです。
 確かに、このような提携にはデメリットもあります。連盟に加盟しない以上、連盟が主催するリーグ戦や全国大会への出場は不可能となります(産経・2011年12月13日)。
 それだけに、このような提携はすでに野球部を持つ大学にできる選択ではないでしょう。彼らからすれば、このデメリットはあまりに大き過ぎます。
 またNPB球団側も、下手に大学野球界の機嫌を損ねるようなことをして、ドラフトで選手を獲得できなくなるのは避けたいはずです。
 そもそも、プロアマの断絶が「柳川事件」を契機に生じたことは、思い起こしておくべきでしょう。
 そう考えると、今回の教育提携は、独立リーグと「無名校」という、失うものがないどうしだからできた選択とも言えます。
 とはいえ、この提携が成功し、つまり独立リーグ兵庫での経験を基に、芦屋大学から教員・野球指導者、さらにはNPBやMLBなどの選手が輩出されるとなれば、俄然話が変わってきます。
 あるいは、独立リーグの他の球団、学生野球リーグで下位に沈む大学など、同様に提携を結ぶ例が増えてくる可能性だってあるのです。
 はたして、教育提携は成功するのか。教育である以上時間はかかりますし、トレードをどうするのかなど素朴な疑問もありますが、長い目で見ていこうと思っています。

 それにしても、限定的であれプロによる高校球児への指導解禁と、独立リーグと大学との提携という2つのニュースには、あれだけ強大だったプロ・アマの壁が崩れていくのを実感させられます。
 もちろん、壁を越えた交流の動きは以前から始まっていたのですが、この2つのニュース、特に後者には、壁そのものを壊しかねない可能性すら感じずにはいられません。
 ただ、壁は多くの人々にとっては障壁ですが、ある種の人々やシステムにとっては、自身を守る盾にもなります。かつて存在したベルリンの壁が、東側諸国の指導者と体制にとっては防護壁だったように。
 つまり、壁が崩れたら困る人が、球界には存在するはずなのです。彼らが壁崩壊の危機を目の当たりにしたとき、はたしてどのような策を弄するかには、くれぐれも気を付けておかなければなりません。
 ただ、そうはいっても、存在意義を失った壁はいつかは崩れるのです。その時に何が起きるだろうか、今から見定めておくことは、プロ野球だけではない野球ファンにとっては大切なことだと思われます。


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