羚英的随想日記

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■東京鹿踊と舞川鹿子躍 西向天神社奉納演舞2017 後編■

2017-06-02 21:37:36 | 風の吹くまま
5月20日(土)、東京鹿踊・舞川鹿子躍さんの新宿・西向天神社での奉納演舞が始まります。

いつもの通りに、以下の躍りの画像はすべて動画から取り出した静止画像です。
画質等が劣りますが、なにとぞご了承下さい







演舞が始まりました。
中立から見て右側一列、
画面向かって手前の3名が舞川からの躍り手さんたち。
反対側の列の真ん中が水戸辺鹿子躍出身の若きトーシカメンバーさん。

『太鼓の調べ キリリと締めて ササラを揃え』
 





「ザッザカ入端(いりは)」 の場面。






『今躍っている踊りは、ザッザカ入端という踊りでして、一番先で踊りを躍り出す時に必ず儀礼的に躍る…』
今回の奉納演舞には踊りの詳しい解説が付きました。
こういう試みもいいですね!
眼の前で躍られてる踊りが言葉の情報によってより写実的になります。

解説担当のマスク姿のYさんは、マイクの外では咳き込み、声を太鼓に掻き消されながら…
満身創痍?で頑張って解説をして下さいました






「庭廻り」 の場面。







『今日の宮管(くがん)の唐絵(からえ)の屏風 一重(ひとえ)にまわれ めぐり合わせろ』
そして唄が歌われます。
『今年の稲穂は 八穂で八石 八穂で八石』 

舞川鹿子躍といえば、跳躍!
舞川さんの装束はこういった躍動的な躍りに対応出来るように工夫が施されています。
ながしも大口袴も軽くしなやかで、そういった軽量化も工夫のひとつなのでしょう。

『太鼓の調べ キリリと締めて ササラを揃え』
“キッコカッコ”とバチと太鼓の縁を叩いて次の場面に移ります。






この日の役躍りは 『女鹿子隠し(めじしかくし)』
舞川鹿子躍は最初と最後に礼の躍りを、その間に役躍りを入れるのが基本の構成だそうです。

「ツケ」 と呼ばれる役躍りの主役を鹿親分(鹿馬鹿氏)が躍ります。
ツケは“つける”という動詞からの言葉でしょうが意味は何なのでしょうね。
「人を従わせる、起動させる」 などの意味も“つける”にありますが…。
難癖をツケる?

この場面、角さばきが見事です!






ツケのこの所作は舞川さんの見所のひとつだと思います。
時に威圧し、時に側鹿を挑発し、自らを誇示する若い牡鹿子の雄々しさをよく表しています。






背の高さも相まって荒ぶる鹿がよりダイナミックに。
太鼓の音、灯りに浮かぶ勇ましい躍り、動きに従いひるがえる五色や装束。
それらは観客の眼を釘付けにします。






体を支点にササラを地面と平行にして大きくぐるりと回す、これぞ行山という所作。
それにしても、ツケは体力勝負の役どころですね






ツケが女鹿子に近付くと同時に一番タネと二番タネが走しり寄り女鹿子を隠してしまいます。
ツケは懸命に女鹿子を探しますが邪魔をされて見つけられません。






2匹の若鹿に女鹿子を隠されてお怒りの?ツケ。






ツケ対タネペアが力比べしている間に…?
後に控えし三番タネがそーっと女鹿子をさらって行きます(笑)






そーっとそーっと連れて行っちゃいます。
そして四番タネと一緒に隠しちゃいます。






あれ?そんな馬鹿な!
い…居ない?居なくなってる?
一番タネの、えーっと確かここにこうして…女鹿子の輪郭をなぞるジェスチャー!






確かにここにいたのにーっとクンクン匂いをかいでいます(笑)
その後、観客のところに行って探してみたり、他の鹿子に女鹿子の行方を尋ねたり。
そして…とうとう!






はっ!見つけたぞっ!
見つけた時のビクッ!という驚き加減の表現が、もう最高によかったです(≧▽≦)

もしもこれが…○コ○コ動画だったらならば…。











こ、こんな感じ?(笑)
(ごめんなさい~この場面観たときからこれが頭から離れなかったの~www)




はい、気を取り直して…と。






女鹿子を見つけた一番タネは二番タネのところに。
2匹で顔を見合わせて、あそこに隠されてるぞっ!






今度は二番タネが見に行きます。
『そこに居るだろう?と一生懸命探っているところです』
鹿子たちの隙間から背伸びして懸命に探っていますね。






二番タネが三番・四番タネペアと力比べして気をとられている隙に…。
一番タネが女鹿子をこっそりと…。

折りたたみ椅子に座らせようとしていますっ!






はい、どうぞこちらに






そしてまた一番・二番タネペアが女鹿子を隠してしまいます。
三番・四番タネペアが、ああ!居なくなっちゃった!と。
このペアは本家舞川鹿子躍からの若い女性の躍り手さんたちです。






三番タネが解説者の方や観客のところまで見に行ったりして女鹿子を探します。
そして、ここに居たっ!と見つけます。
一番・二番タネペアも懸命に隠し立てします(笑)

こちらの躍り手さんは小柄で華奢な方ですが、それを感じさせない躍りです。
実は彼女、いつもは女鹿子を躍っているそうな。
側鹿子での役躍りは初めてだそうですが、いい躍りっぷりです!

そして今度は三番タネが四番タネと、あそこに居たよと顔を見合わせる所作を。






最後に四番タネが女鹿子を探りに来ます。
どこ?どこどこ?と懸命に探りますが、一番・二番タネペアが邪魔をします。

こちらの躍り手さんは東京で躍るのが初めての新人の方、緊張されたことでしょうね。
演舞後に 『反省点が…』 と話してくれましたが、躍りで紅潮したお顔はとても清々しかったです!






四番タネが懸命に女鹿子を探ったりしている間に…。
黙って見ていたツケがそっと立ち上がり、観客の後ろをまわって移動していました。
そんなことも知らずに四番タネ対一番・二番タネペアは力比べを繰り広げています。






ツケが女鹿子のもとに来て、大きく太鼓を叩きながら女鹿子を連れて行きます。
鹿子たちは元の位置に戻って行き、ツケは優しく太鼓を叩きながら女鹿子を導いていきます。
『お前らいい加減にしろ。俺が最後に見つけて引っ張っていくぞ、ということです』






優しく優しく太鼓を叩きながら、愛おしそうに女鹿子を導きます。
 







そんな微笑ましい姿をやっかんで?お邪魔鹿子(一番タネ)が茶々を入れてきます(笑)
思いっきり追い払われます。
 





二番(お邪魔鹿子)タネも追い回されます!






三番(お邪魔鹿子)タネも…、これはツケに叱られている体(てい)にも見えます(笑)






女鹿子隠しの最後はツケが勇壮に躍ります。
撮る位置のせいであまり映っていないのが残念です。
(他の方の動画で是非とも観て下さい^^;)
躍りは勇ましく猛々しくも、流れるように揺れる鮮やかな装束が優美です。






『太鼓の調べ キリリと締めて ササラを揃え』 と歌い女鹿子隠しが終わり、
 『キッコカッコ』 の合図で次の 『海の門中(うみのとなか)』 の場面へ。

先ほどから“隠されていた”女鹿子は鹿親分とともに全郷芸で活躍するトーシカメンバーさん。
『海の門中の おんまき鳥 波に揺られ 原が立ちそろ』 の唄が歌われます。
そして、女鹿子が独りで太鼓を叩き唄う躍りが始まります。





海の門中で歌われる唄は白鷺の唄です。
『白鷺は 立つと思えば 立ちかねて 跡を濁さず 立てや白鷺』

なまりまじりの唄なので鹿親分にお聞きしたところ、この方は東北にゆかりは無いそうです。
トーシカでは唄本に忠実に、なるべくなまりで歌うようにしているのだそうですよ。
私は鹿踊りの唄は東北なまりで聞きたいのでとても嬉しかったです!






よく通る声で白鷺の唄をしっとりと歌い上げていました。
舞川さんの節で聴く白鷺の唄はことのほか心に染み入ります。






ここからはまた礼の躍りです。
「鹿の子」 の場面に入ります。
鹿子が輪になって躍るクライマックスの躍り!






鹿の子のこの足裁きは、型は少し違えど基本は一緒なのだということが見て取れます。
他の踊り組にも行山の後に派生した流派などにも散見します。金津のザンチキも春日流のも。
舞川鹿子躍は飛び跳ねて体を切り返し、ササラをしならせます。

舞川鹿子躍の鹿の子は実に勇壮闊達。
街中の、夜の小さな杜に響き渡る岩手の太鼓の音。
真っ白なササラが夜の光に浮かび上がる、この幽玄なさま。






しなやかなササラは真竹で作られています。
こんなにしなやかな訳は、割った5本を軽量化で細く工夫しているためだそうな。

舞川鹿子躍のながしは腰のあたりで“おはしょり”のように持ち上げています。
このような跳躍の多い闊達な躍りに、動きに“流れる”ながしを捌きやすくしたのでしょうか。
『引きずるのが視覚効果的に大事だったながしに対して、貴重な布を汚さない、綻びさせないという勿体無い工夫の賜物だとも思います』
先人の、躍りに対する思いが成せた業なのですね。

そうそう!舞川さんの前会長さんは道具の工夫のプロだそうな!
頭を見よう見真似で作ってしまったり、角を脱着式に工夫したりとさまざまに

ちなみにバチは先細りタイプのバチを使用しているそうです。
叩き方は、幕を広げるようにひじを張って叩くのが基本だそうです。
さらに、幕越しの視線は喉印の一番上のあたりから外を見るようにと教えられたとか。






鹿の子の唄が歌われます。
『向かい小山の 小百合(こゆり)の花 つぼんで開く さらりふぐれろ』






もうひとつ。
『ししく篠竹 やんまつ竹 小風にもまれ 節は揃わぬ』






鹿の子が終わり、最後の引端(ひきは)の場面です。






中立が女鹿子を先頭に鹿子たちを引き連れて横一列に並ばせます。
鹿子たちがちきんと並んでいるか確かめるように中立が列の前を行きます。

ここは中立の見せ場。
側鹿子の“フチガラミ(太鼓の縁を叩く)”の単調なリズムが続く中、中立の太鼓が抑揚をつけます。
そして側の太鼓が止み、中立の激しい太鼓に続き鹿子がずんずんと前に進み出る場面が!
『太鼓の調べ キリリと締めて ササラを揃え』






「礼に始まり礼に終わる」
一礼して、奉納演舞が終了しました。
観客のみなさんからは惜しみない拍手が








演舞終了後の記念撮影。
私も端っこで撮らせて頂きました。

アドリブあり!見どころ満載のとっても楽しい、そしてやはり厳かな奉納演舞でした。




奉納終了後も、鹿親分始め躍り手さんたちにお話を伺わせて頂きましたが、この日は雨も降らず(笑)、心地よい気候で何よりでしたネ!
お疲れの中、本当にありがとうございました

東京鹿踊さんのHPには、このような文章があります。
『東京鹿踊は踊りや歌が上手くなり、有名になる事が目的ではないのです。自分たちの地元の事、東北の魅力を知ってもらい、足を運び人との交流のきっかけを作っていく事が、我々のやりたい事で役割だと思っています。』
『あっ!!も、もちろん、ちゃんと踊りもちゃんと練習しますよ。』
 

彼らの思いがしっかりと具現した奉納でした。


行山流舞川鹿子躍・東京鹿踊(+行山流水戸辺鹿子躍)の皆さま、そして関係者の皆さま、本当に楽しいゆうべのひとときをありがとうございました

加えて、躍りや唄などの詳細をいろいろご教示下さった鹿親分こと鹿馬鹿氏に、あらためてお礼申し上げます。
ありがとうございました



■おまけ■
終わって一息ついたらお腹が劇空きだったことに気が付いた私たちは、去年も食べた焼きそばを食べることにしました
(去年、食べる前に落っことしちゃったからリベンジでw)屋台のお兄さんにキクラゲ入れてねとお願いして、大きなキクラゲが乗った大盛りの焼きそばを買って、さっきお別れのご挨拶をした躍り手さんたちを横目に(笑)境内にある小さな公園に点在するイスにおのおの座って、もう無心で食らいつきましたー
(※具はね…キクラゲしか見当たらなかった…)


YouTubeに動画をアップロードしています。
是非、奉納演舞の様子をご覧下さい!




2017 新宿 東京鹿踊+舞川鹿子躍・水戸邊鹿子躍



#鹿踊り #ししおどり
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