2日、天皇陛下御即位記念特別展 『正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―』 を観覧しに、上野の(今度は)東京国立博物館に行って参りました。
今回はJR横須賀線(また遅延してましたー)を使い、品川乗り換えで上野入り。
駅で遅延した電車を待っている間に、N700系の新幹線を何本も見送っておりました
公共交通機関に疎い私はというと、相変わらず目的地には連れていかれるがままな状態。
一人では到底スムーズに移動出来そうに無いです。
移動は車ばかりという生活が長かったことで、電車移動が超苦手。
そもそも今でも電車で出歩くことも少ないので、首都圏の路線の乗り入れやら駅の改修・再開発やらなどの変化に追い付けないのが現状です。
スマホがなかったらもうお手上げ。
あっても結局危なげ(笑)
今回も混雑を少しでも回避するためにまた午後から出掛けましたが、連休初日の土曜日だったので上野はやはり想像通りの人混み。
駅を出て上野恩賜公園内に入ると…。
おお!
国立西洋美術館のハプスブルク展もチケット売場は列が出来ています。
その向こうではテントが連なり音楽も聴こえていて、何やらイベントも開催されていてもう人でいっぱい!
そんな賑やかさを横目に、東京国立博物館へ向かいます。
上の画像は、向かう途中にある国立科学博物館。
そして、お馴染みのシロナガスクジラのオブジェ。
東京国立博物館に着きまして、チケット購入。
クレカ専用自動券売機では、こんな目印が。
カードナンバーが1089(トーハク)!
そして入場。
表慶館。
皇太子(大正天皇)ご成婚記念に建てられた日本で最初の本格的な美術館。
現・迎賓館赤坂離宮も手掛けた宮廷建築家の片山東熊の設計。
表慶館を写した場所から、大きなユリノキの向こうの本館正面を。
西日の時間なので、綺麗に陽に照らされています。
本館と表慶館の間を行き、会場の平成館へ。
待ち時間40分ということで、列に並びます。
列が進むと、本館と平成館の間に東京スカイツリーが見えました。
獅子丸がスカイツリーが見えると呟くと、周りの人たちもスマホでカシャっ!
割と早く館内に入場出来きまして、早速音声ガイドを借りて観覧開始です。
会期は前後期に分かれていて、この日は前半最終日間近。
前期で展示された宝物の中には、『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう/天平勝宝8歳(756年)6月21日、光明皇后が聖武天皇の遺品六百数十点を東大寺大仏に献納した際の目録)』 や 美しい『螺鈿紫檀五弦琵琶』などが揃い、一度はこの目で見てみたいと思っていた品々の観覧が叶いました!
聖武天皇の七七忌の忌日に、光明皇后は愛する夫の冥福を祈り、天皇の遺愛品を含めた数々の品を東大寺の本尊盧舎那仏(大仏)に奉献しました。
『皇后の奉献は前後五回におよび,その品々は同寺の正倉(現在の正倉院宝庫)に収蔵して、永く保存されることとなりました。これが正倉院宝物の起りです。(宮内庁 正倉院について より)』
正倉院宝庫は何度も盗難や災害にあっていたようで、そのような災難を乗り越えて今に受け継がれているのだそうです。
このような長い時を人々が大切に奉献品の数々を守り伝え、こうして遥か千数百年の後の世まで形残るとは、光明皇后も思い及ばなかったのではないでしょうか。
螺鈿紫檀五弦琵琶はご存じの通り世界で唯一現存する古代インドに起源をもつ五弦琵琶で、中国・唐からの伝来品だと言われています。
とても千年以上を経ているものとは思えないほどの美しさ!
修復保存技術の高さに圧倒されます。
文書も複数展示されていて、光明皇后が署名に使っていた 『藤三娘』 の文字も!
また国家珍宝帳には皇后の願文の部分もあり、皇后の聖武天皇への想いの深さが切々と記されていました。
巻末にはあの(藤原)仲麻呂が筆頭で署名をしています。
あの仲麻呂の直筆の署名だ…と私は心の中でちょっと興奮!
『藤三娘(とうさんじょう)』 は、光明皇后が藤原不比等の三女であることから自らそのように署名したそう。
藤原の名を前面に出すところに、当時の政治状況や思惑などが見て取れます。
長姉の宮子は、聖武天皇の実母(光明皇后の異母姉であり、義母)。
次姉の長我子は藤原氏の政敵・長屋王に嫁ぎました。
三女の安宿媛(あすかべひめ)がのちの光明子(光明皇后)。宮子・長我子とは異なり母親は縣犬養橘宿禰三千代という三代の天皇に仕えた敏腕女官で、死後に正一位を賜った人物です。
橘三千代、不比等、光明子、仲麻呂…。
遠い歴史の中の人物が、宝物を前にするととても間近に感じます。
私は20代の頃にある漫画を読み、以来この時代の歴史に興味を持つようになりました。
読んですぐにもう居ても立ってもいられず、秋のちょうど今頃奈良に行って、興福寺の阿修羅像を観てきました。
仏像ブームが来て美男の阿修羅像が注目されるずっと前のことです。
その時は正倉院展に間に合わず、それ以来いつか宝物を観てみたいと思うばかりで月日を経ました。
あの 『黄熟香』、蘭奢待と雅名を持つ香木の展示もありました。
蘭奢待あるあるで“思ったよりも大きい”とは聞いていましたが、本当にその通りでした。
全長156cmだそうです。
横たわった生ハムみたいです、やはり。
明治以降のものでしょうが、色褪せた古い紙の付箋があるのも有名ですね。
右から 「足利義政拝賜之為」「織田信長拝賜之為」「明治十年依勅切之(明治天皇)」 とあります。
どのような香りがするんでしょうね!
やはり甘さのある伽羅の香りなのかな。
ここからは撮影OK。
実物大の正倉院の一部が復元されています。
人の頭が空いた瞬間に撮ったのでブレブレの画像
明治期に作られた螺鈿紫檀五弦琵琶の模造品。
最後の場所にあった正倉院の扉の勅封のレプリカ。
明治天皇は宝物修理時に宝物を鑑賞をした際、気に入った聖武天皇の直刀をお持ち帰りに。
水龍剣と名付け佩用(はいよう/からだにつけて用いる)したそうです。
ふーん。。。
文豪・軍医総監としても有名な森鴎外は軍事を退いたのち、帝室博物館(今の東京・京都・奈良の国立博物館)の総長にも就任しました。
毎年秋に行われる正倉院開封に立ち合うため4年の間毎年奈良を訪れ、都度しばらく滞在をし、その間に多くの和歌を詠んだそうです。
展覧会の最後にさきほどの扉のレプリカと、森鴎外の読んだ歌がありました。
『夢の国 燃ゆべきものの 燃えぬ国
木の校倉(あぜくら)の 永久(とは)に立つ国』
The land of dreams
where something likely to burn down
does not burn
The land where
a wooden storehouse stands forever
木造のいにしえの建物が(その収蔵の品々が)こうして永劫に守られ後の世に残り伝わるこの日本という国は、まさに夢の国だと。
100年前に生きた人の言葉を、かみしめます。
奈良に行かずして、出展の機を待たずして(毎年奈良の正倉院展で出展される宝物はまちまち)、こうして東京で五弦琵琶や蘭奢待、国家珍宝帳等の貴重極まる宝物を同時に目にすることが出来て、大変嬉しく感慨深く、言葉にならない感動を授かりました。
是非お近くの方は足を運ばれることをお勧めします。
後期展示は11月6日(水)~11月24日(日)まで。
観覧を終えて帰りしな。
「伊勢うどん、食べてみる?」
「うどんと思って食べないで、別の食べ物と思ってみるといいよ」と獅子丸。
構内で営業していたキッチンカーで買ってくれている間、屋外展示されている鬼瓦の前から表慶館を撮ってきました。
東京も少しずつ紅葉が始まっています。
はいっ!伊勢うどん。
甘味のある濃いたまり醤油のタレに絡めて食べる、柔らかいうどん。
これ、美味しいよ!
日も暮れて寒くなってきました。
どうやら 「創エネ・あかりパーク2019」 というイベントのよう。
帰り道にある国立科学博物館(カハク)に寄って、今度は 特別展『ミイラ ~「永遠の命」を求めて』 を観てきました。
博物館のはしごは初めてです(笑)
ここは大学パートナーシップに入会している大学の学生は常設展が無料で、特別展も割引されて千円以内で入場出来ます。
もう時間が遅いこともあってか、大学生が多く観覧していました。
男子学生のグループのひとつが特に騒がしくて、ミイラを観てはあーだこーだと大声で話しながら盛り上がってまして。
先ほどのトーハクでの客層とまるで違うのは、博物館の分野とか展覧会の方向性とか考慮すればある程度納得出来はしますが、それでもさすがにこれは無い。
博物館での観覧マナーもへったくれもない。
おばさん、さり気無く注意しようと思った矢先にその中の一人が私の殺気を察したようで 『静かにしようぜ、また注意されるから』。
また???
…すでに注意されていたようです。
でも盛り上がりのトーンはさほど下がることもなく、監視員は何してるんだ?と見渡すと、あらま、こちらは監視員同士談笑してますし。
緩い。
緩すぎる。
ちゃんと仕事しろ。
調べてみたら、こういう業務を担う人たちは求人情報で募集されているようなバイト・パートの人たちが主なんでしょうかね。
まがりなりにも国立ですしね、もう少しちゃんと監視をして頂きたいところです。
何だかそんなこともあって、正直あまり頭に入って来ませんでした。
せっかく行ったのにな。
ただ、全体を観ての感想はあります。
みんなちっちゃい!
これに尽きる!
骨は…(関節部分とか微妙にあったとして)縮まないですよねぇ?
たまたま今回そのように揃っただけかも知れませんが。
外国のものを除いてみても、即身仏も頭ちっちゃい。
江戸時代の武士の兄弟のミイラも、頭も体もちっちゃい。
自分の顔がデカいから、なおさらそう思う。
そしてふと思い出したのです。
昔家族と京都の養源寺に行ったときのこと。
当時はまだ寺のご住職?が長い棒で指し示しながら口頭で血天井を説明してくれていて、ここがお顔で…と示されたところに確かに人の顔の跡があったんですが…。
高校生の私がそれを見たときの第一印象は『(顔ちっちゃすぎじゃない?)』。
これって本当に大人の顔なのかなと思うぐらい、小さいなと感じたんです。
天井にあるので、より小さく見えたのかも知れませんが。
ミイラとなったいにしえびとの屍の数々を目の当たりにしたのに、尊厳とか畏怖とかそういうことは思い及ばずこんな感想が真っ先に出てしまい、面目ないです。。。
国立科学博物館を出ると、もう外は真っ暗。
が綺麗です。
後ろを振り向くと…
東京国立博物館本館もライトアップ&プロジェクションマッピング。
帰りは東京メトロ銀座線で。
駅のホームが綺麗になっていて、ホームドアにも可愛くイラストが!
三越前、赤坂見附、青山一丁目、表参道のいずれかで乗り換えて半蔵門線→田園都市線の直通で行きとは別の最寄り駅で降りて帰宅する予定が、車両点検の影響で遅れや運休があるとの情報をたまたま獅子丸がスマホで見たので、仕方がなく新橋で乗り換えて行きで使ったJR横須賀線に乗り、行きと同じ最寄り駅に戻りました。
(一人だったら絶対知らずにそのまま巻き込まれてたね…)