都知事選、誰が出る 有力候補互いに牽制、相乗りも?
<script src="http://b.st-hatena.com/js/bookmark_button.js" type="text/javascript"></script>4月の統一地方選の目玉・東京都知事選が告示(3月24日)まで2カ月になっても、有力候補が誰も名乗りをあげていない。自民は石原慎太郎知事(78)、民主は蓮舫行政刷新相(43)のカードで互いを牽制(けんせい)し、膠着(こうちゃく)状態になっている。最近の都知事選は「後出しジャンケン」が定番。「相乗り」への思惑も絡み、候補者が出そろうのは告示直前になる可能性もある。
■石原氏、民主独自候補の抑止力
「あちこちの新年会に出ていますが、石原知事4選への期待が高まっています」
11日の都庁。都議らが石原知事に新年度の予算要望をした際、一人がそう水を向けると、知事は耳をふさぐしぐさをしてニヤリと笑った。
石原知事が態度を明らかにしない背景には、自民の事情がある。「進退は早々に明言しない方がいい」。自民都連の幹部は昨年から石原知事に念を押してきた。「今期限り」の既定路線を、「次も出るかも」に変えた作戦の狙いは民主への牽制だ。「民主色ギラギラの独自候補を出させない抑止力になる」
都議会で過半数割れしている知事与党の自民、公明が避けたいのは、民主系知事の誕生で「少数野党」に転落する事態だ。民主の独自候補擁立の動きを封じた上で、相乗り協議に持ち込めないか――。そんなストーリーを描く。
自民が警戒する「民主ギラギラ」の筆頭が蓮舫氏だ。「事業仕分け」を実績に、24人が乱立した昨夏の参院選東京選挙区(改選数5)で171万票をたたき出してトップ当選。「彼女が来たらきつい。そうなったら石原知事をぶつけるしかない」
最近の都知事選は、立候補表明を遅らせた候補が有利な「後出しジャンケン」が定着している。1995年は「無党派旋風」の故青島幸男氏が、99年は石原知事が、いずれも構図がほぼ固まった3月10日に表明し、当選した。
ある国会議員は「東京の知事選は人気投票。表明が遅くても関係ない」と言う。全体の状況を見極めた上で、最後に「勝てる候補」を立てればいいというわけだ。
石原知事の進退表明は2月上旬~3月中旬の都議会定例会が一つの山場だが、閉会後にずれ込むとの見方もある。
21日の定例会見。石原知事は議会開会前の表明は「ありませんな」。23日のテレビ番組では「天皇陛下がお聞きになっても答えられません」。周囲をけむに巻いたままだ。
■蓮舫氏、言い回し微妙に変える
「都政にも、刷新すべきお金の使われ方がある」
蓮舫氏は年明けの講演で、都知事選立候補に「前向き」とも取れる発言をした。昨年末には、「(立候補は)現段階では考えていない」と明確に否定していた。
微妙に変わった言い回し。民主の国会議員は「今は蓮舫カードをちらつかせるのが得策」と言う。石原知事が出てきた場合、互角に戦えるのは蓮舫氏だけとの見方は自民と一致する。「蓮舫氏と石原知事なら激戦になる。勝てる確信がない以上、石原知事も出馬に踏み切れないはずだ」
だが、蓮舫氏は支持率が低迷する菅政権の看板閣僚。最終的に都知事選に転身するかどうかは不透明だ。政権への逆風で民主独自の候補では苦戦が見込まれる上、難航する国会運営打開のためには他党を巻き込んだ方が得策と踏み、相乗りを探る声もある。
「独自候補にこだわるべきでない」。元日、ある国会議員は首相公邸で菅直人首相に直言したが、首相は相乗りには消極的だったという。この議員は危機感を強めている。「逆風は強い。東京で負ければ政権の危機だ」
■東国原氏・猪瀬氏・舛添氏も様子見
「あらゆる可能性を排除しない」。東国原英夫・前宮崎県知事(53)は20日の退任会見で、自らの今後についてこう語った。
関係者によると、東国原氏は都知事選に備え、すでに公約の検討を始めている。特定政党の推薦は受けず、無党派層の取り込みをめざすという。ただ、国政転身も選択肢にあり、両にらみだ。
毎回、独自候補を立てる共産党は、選挙前年に候補を発表するのが通例だが、今回は決まっていない。関係者は「選挙の構図が定まらず、争点を絞るのが難しい」。
意欲があると見られている猪瀬直樹副知事(64)は、立候補について周辺に意見を求めているが、取材には「石原知事の政権が続いてもいいと思う」。副知事に起用した石原知事の去就がはっきりしない以上、自らの態度を明確にできない事情もある。
新党改革の舛添要一代表(62)も立候補が取りざたされる一人だが、「前日に決めてもいい」。選挙の構図が固まるには、しばらく時間がかかりそうだ。(山本桐栄、岡雄一郎、渡辺志帆)