東電の株主が旧経営陣5人に総額22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟の判決を前に東京地裁に入る原告や弁護団=東京都千代田区で2022年7月13日午後2時半
東電株主訴訟原発事故で旧経営陣に13兆円余りの損害賠償命じる東京地裁が判決
福島第一原発の事故をめぐって、東京電力の株主が、旧経営陣5人に対して、およそ22兆円の損害賠償を求めた「株主代表訴訟」の判決が、午後3時に言い渡された。東京地裁は、経営責任を認めて、旧経営陣5人のうち4人に対して、13兆3210億円の損害賠償を命じた。 原告側の株主は、原発事故で東京電力が巨額の損失を受けたのは、旧経営陣が安全対策を怠ったためと主張。東電が、旧経営陣に対して損害賠償を求めなかったため、事故が起きた翌年の2012年3月に、株主代表訴訟を起こしていた。 株主代表訴訟は、会社が損害を被ったにもかかわらず、会社側が役員に法的責任を追及しない場合、株主が代わって訴えを起こすことができる制度。今回の裁判の主な争点は、旧経営陣が、●巨大な津波が襲来することを予見できたか、●防潮堤を建設したり、施設を水密化するなどの対策を講じることができたか。 株主側は、政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」をもとに、東電側が15.7メートルの津波が押し寄せるとの試算を出していたと指摘し、「巨大津波を予見できた」と主張していた。 これに対して、旧経営陣側は、当時、この長期評価は信頼性に欠けたもので、「津波は予見できなかった」と反論。仮に、対策を進めたとしても、津波の襲来には間に合わなかったなどと主張していた。 福島第一原発事故をめぐって、東電の旧経営陣個人の責任を問う動きは、刑事裁判でも進められ、元会長ら3人が強制起訴された。検察官役の指定弁護士と旧経営陣側の主張は、株主代表訴訟とほぼ同じで、東京地裁は、2019年、元会長ら3人に無罪判決を言い渡した。この裁判の控訴審も、先月、結審している。