父も母も、お兄ちゃんとバイクを通してふれあい仲良くなっていることを黙認していました。長閑な昭和30年、40年代でした。課業日は帰宅したら宿題をきちんとしなくてはいくないから、冬場はほとんど遊べませんでした。だから、休日は天国なのです。
休日のベンリイちゃんは、コールドスタートだから、エンジンを目覚めさせる楽しみがありました。
スッチャリチャリ ポン
アパート前で、鈴つきのメインキーを差し込み、メインスタンドかサイドスタンドを外します。鈴つきのキーは、お母さんとお兄ちゃん用で、お父さんは、もうひとつのキーを持っていたようです。お兄ちゃんと手を取って、車体を押しながら、砂山広場に行きました。
サドルに股がり、左足をしっかり着地させました。
カチッチャリ
キーを左に回して、右手のひらでアクセルグリップを握り、親指と人差し指でボタンを挟み凹まして、モーターを鳴らします。
カチッキュ ル キュ ル カチッヒュッカチッガクッ
ボタンを緩め再度押します。
カチッキュ ル キュ ルカチッヒュッカチッガクッ
歯車やカムが硬いのがわかります。何度か押し離ししているうち、軟らかになりました。
カチッキュルキュルキュルキュルキュルキュル
間欠音が連続音になって行きました。
キュルカチッヒューンカチッガクッ
ボタンを緩め、キックペダルを引き出してボタンを挟みながら何度か踏みました。
ガリッドロッドロッバーンガリッドロッドロッバーンガリッドロッドロッバーン....
すっかり部品が暖まり、和らぎを見せていました。
つづく
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