荒木妄想日記

荒木の妄想をしたためる為だけに開設しました。

~その後。荒木・平助ルート

2011-01-02 16:54:37 | SS~L荒木の妄想Ver
ぐがー…ぐがー…。

荒木「洗い物はこれで全部かな。」
荒木が手を拭きながら振り返る。
平助「こっちも大体片付いたよ。」
平助がゴミ袋を縛りながら立ち上がる。
そして二人は部屋の隅にある毛布の塊に目をやった。
ぐがー…ぐがー…。
酒を飲み眠ってしまった新八先生が気持ち良さそうにいびきをかいている。

平助「どうするよ?これ……当分起きそうにないぜ。」
平助が爪先で毛布をつつく。
荒木「もうちょい待ってみよう。荒木、お茶煎れるわ。」
平助「今度はひっくり返すなよな。」
平助はため息を吐きながら、部室の真ん中に置いてあるテーブルの前に座る。そして、お茶を煎れる荒木の背中に話しかける。
平助「この部室も、いい感じに物が揃ってきたな。もう生活出来ちゃうんじゃねーの?」
荒木が二つの湯飲みを持って平助の向かいに座る。
荒木「やな。皆、色々と持ち込んで……でも、何か足りんくない?」
テーブルに湯飲みを置きながら足りない何かを考える。
平助「サンキュー……ん~、テーブル、お茶……そうだ!炬燵だ!!」
荒木「それや!!ちょ、今から買いに行こうや!!」平助「えぇー、今からかよ!?」
立ち上がった荒木を面倒そうに見上げながらお茶を啜る。
荒木「年越しを寂しくバイトで過ごしただけあって金銭的に余裕があるんやぁ!!さぁ、そうと決まったら、そこのホームセンターにGOや!!ホラホラ!!」
荒木は一気に喋りながら上着を羽織ると、掛けてあった平助のダウンとマフラーを平助めがけて投げつけた。
平助「ぶわっ。」


荷物を運ぶ台車に炬燵セットを乗せた二人は、部室へと戻ってきた。
荒木「じゃ、テーブルのけるから、平ちゃん炬燵セット宜しくっ!」
平助「任せとけっ!」
荒木が勢いよく置いてあったテーブルを部屋の隅まで引きずり、平ちゃんは段ボールから出した炬燵をそこに組み立てる。その間に荒木が布団の入っているビニール袋を開ける。
荒木「平ちゃん、そっちの端持って!」
平助「よっしゃ!」
せぇーの……と二人は炬燵に布団をかぶせる。平助がテーブル部分を乗せ、炬燵が完成した。コンセントを差しスイッチを入れる。
荒木は座布団を炬燵の周りにドサドサと投げる。
荒木「かんせー!!」
平助「完璧だな!!」
二人は満足気な顔で炬燵に足を入れる。
荒木「あったけー……。」
平助「あー、至福だな……ってか、ホームセンターに台車返しに行かないとな。」
荒木「ほんまや……しかも新八っつぁん起こさな……。」
二人はため息を吐いた。
新八「餅は三つ入れてくれ……むにゃむにゃ。」
新八先生はお雑煮の夢でも見ているらしい。
荒木「そうや!台車返す前に、ちょっと借りよう!!」


台車に毛布ごと新八先生を乗せ、二人は新八先生の家へ向かっていた。
平助「ここだ!!荒木、新八っつぁんのポケットから鍵出して。」
荒木「よいしょ……あった。」
荒木は玄関の鍵を開ける。平助は台車を狭い玄関に突っ込み、廊下へと傾ける。
平助「よっ……と。」
台車から新八先生がゴロゴロと転がる。それでも尚、新八先生は幸せそうに寝息を立てている。
平助「重かったー!!」
荒木「お疲れ!!」
荒木は平助の背中をパシッと叩いた。
平助「んじゃ、台車返しに行って帰るか。」
荒木「せやな。」
二人は新八先生の家を後にする。
荒木「平ちゃん、ちょっと台車乗ってみ?」
平助「こう、か?」
荒木「んじゃ、行くで!!エヴァンゲリオン、発進!!」
荒木は平助を台車に乗せて走りだした。
平助「ぶわぁー!怖ぇー、ちょー怖ぇー!!予想以上に怖ぇーよ!!エヴァでも何でもねーし!!でも面白れー!!」
二人は騒がしくホームセンターまでの道のりを駆け抜けていった。

その頃新八先生は、その辺にあった広告の裏に『鍵はポストにいれときます』と書かれた紙をおでこに貼りつけ、七草粥の夢を見ていた。

~その後。加奈・土方ルート

2011-01-02 13:58:56 | SS~L荒木の妄想Ver
自宅の玄関先で、土方先生は腕を組んで立っていた。眉間に皺を寄せている。
すると廊下の奥からバタバタと加奈が走って来た。
加奈「お待たせー。」
土方「おそい。出かけるって言ってから何分経ったと思ってるんだ。」
加奈「うるさいなぁ…今出れますから……あ、待って!!」
また加奈がバタバタと奥に走っていく。
土方「はぁー……。」
土方先生は呆れた様にため息をついた。
その時、インターホンのベルが鳴った。土方先生がドアを開けると、斎藤が立っていた。
新年会を解散した後、三人で初詣に行くことになった。加奈が少し家の用事をしたいと言うので、再び待ち合わせをしていたのだ。
斎藤「どうも。先程はお疲れ様でした。」
律儀に一礼する。
土方「おぅ……すまねぇな。もちっと待ってくれるか。」
斎藤「了解です。お……これは……。」
斎藤が何かに気付いたように玄関に並んだ置物を手に取る。
斎藤「俺が一年の夏休みに家族で行った鳥取砂丘で買った星の砂……こちらは、二年の冬休みに平助と荒木と行った有馬温泉で買った干支の置物…隣のは、御陵高校に行った時に買った京都タワーの置物……。」
土方「あぁ、どこかへ行く度に律儀に土産を買って来られちゃ、飾らねぇ訳にはいかねぇだろ。」
下駄箱の上には、斎藤から送られたお土産の置物が所狭しと並べられていた。
土方「おーい、まだかぁ?!一体何分かかってやがる!!斎藤が待ちきれずに迎えに来てるぞ!!」
土方先生は痺れを切らしたようだ。
加奈「はーいはい、お待たせしました。」
加奈は、両手にマフラーと手袋を持って出てきた。
加奈「今日は随分と冷えるから、はい。土方先生、それと斎藤君も。」
土方「お、気が利くじゃねーか。」
斎藤「俺にも……か?」
斎藤は渡されたマフラーと手袋を眺めながら、少し驚いた表情を見せた。
加奈「うん。先生のだけど……ちゃんと洗ってあるから大丈夫だよ。斎藤君いっつも薄着だし。新年早々風邪ひいたら洒落にならないし、ね。」
加奈は座ってブーツを履きながら答えた。
斎藤「す、すまない。」
斎藤はマフラーを首に巻き付けた。
土方「気が利くのはいいが、もちっと早く用意出来ればもっといいんだが、っと。」
苦笑いしながら、ブーツを履き終わった加奈の手を取って立ち上がらせる。
土方「んじゃ、行くとするか。」
斎藤「はい。」
斎藤がドアを開け一歩外に出ると、土方先生が口を開く。
土方「待て。お前ももう一枚ぐらい羽織ってきたらどうだ?そのくらいなら待ってやる。」
斎藤は一人、そっとドアを閉める。
そして首に巻いたマフラーを見つめ呟いた。
斎藤「まるでどこかの世話焼き女房と亭主関白な旦那…といったところか。」

~その後。知弘・千鶴ルート。

2011-01-02 11:40:44 | SS~L荒木の妄想Ver
千鶴「本当に良かったのかな?」
新年会が終わり、千鶴は智弘と学校を後にした。
智弘「くじ引きで決まった結果なので仕方ないですね。少し悪い気もするけど…僕らの事を気遣ってくれたんだと思います。」
後片付けはくじ引きで荒木と平助に決まったのだ。千鶴と智弘は手伝うと言ったのだが、ニヤニヤする二人に追い出されるように部室を後にしたのだった。
千鶴「皆、本当に優しいね。剣道部に入部できて良かった。」
智弘「確かに!こうやって、雪村さんにも出会えましたし。」
白い息を吐きながら微笑む千鶴を微笑ましく眺めながら、智弘は言った。
千鶴は智弘の言葉に少し頬を赤くして立ち止まった。
智弘「……どうしたんですか?」
そんな千鶴の顔を覗き込む智弘。
千鶴「あの……ね。私が溝口君に告白してから、半年経つんだけど……。」
智弘「……そう、ですね。早いものですね。」
千鶴は下を向いてもごもごと続けた。
千鶴「それでね……あの……あの時、溝口くん、ありがとうって言ってくれて、それからいつも一緒にいてくれるんだけど……私たち……付き合ってるんだよね?」
千鶴は言い終わると、顔を上げて智弘の目を見つめた。智弘は千鶴が急に顔を上げたのに少し驚いたが、すぐに優しい顔になった。そして、千鶴の両手を取った。
智弘「僕の中では、僕はすっかり雪村さんの彼氏になったと思っていました。きちんと説明していなかったようで、すいません。」
智弘の言葉を聞き、千鶴の顔がぱぁと明るくなった。千鶴「良かったぁ。」

智弘はたまらなくなり、千鶴を抱き寄せた。
千鶴「み、溝口君、こんな、道端で、その……。」
智弘「大丈夫です。誰が見ていても、きちんと説明します。雪村さんは僕の彼女だと。」
智弘の手に先程よりも強い力が込められた。
智弘「言葉足らずで長らく不安にさせてしまって申し訳ありません。僕は雪村さんのことが好きです。」
それだけ言って智弘の手はほどかれた。千鶴は顔が赤くなり、耳まで真っ赤になっている。そしてさっきよりも下を向いて、またもごもごと話しだした。
千鶴「あの……確認ついでに、お願いが一つ。いいかな?」
智弘「どうぞ。彼女の我が儘を聞くのが彼氏の役目でもありますから。」
千鶴「溝口君、ずっと同級生にも敬語を使ってるけど……彼女の私には、敬語使わなくても、いいんじゃ……。」
智弘は少し難しい顔をした。
智弘「でも、これは癖のようなもので……ですが、雪村さんが望むなら敬語をやめるのもいいですね。すぐには難しいかも知れませんが……。」
そして一つ咳払いをして、千鶴に右手を差し出した。
智弘「じゃあ……行こうか……ちづ、ちっ…ちづち…千鶴。」
千鶴は目をまん丸にして、これ以上いくと首から上がはち切れるのではと言うくらい顔を赤らめ、智弘の手を取った。
千鶴「う、うん!と、知弘くん!!」

二人は手を繋ぎ、初詣の為、神社へと向かった。