僕の彼女はよく食べる子だ。彼女と知り合う以前は“ちょこっとしか食べられないの~”なんて言う女の子が良いなと漠然と考えていたけれど、なんというか見てて気持ち良いのだ。ニコニコしながら、大盛を平らげる。そんな彼女といると、僕は僕らしくいられるのだった。
しかし、そんな日々はあっけなく終わりを告げる。
ある日曜日、用事があるからと言ってデート出来ないと彼女に言われた僕は、なんとなくブラブラ街を歩く。そして、入ったことのないカフェでランチをしようと決めてその店に入った。
「日替わりランチ、一つ」店員に注文した僕は、なんとなくスマホをいじって下を向いていた。すると、聞いたことのある声が聞こえてくる。声の方向にはなんと、彼女が見知らぬ男といるではないか!信じられない僕の耳にその声は入ってくる。
「あん、私こんなに食べられないわ・・・」
運ばれたランチを食べずに、僕は二人に気づかれないように、そっと店を出た。頭の中が白くなってゆく・・・僕はあてもなく歩く・・そしてショーウィンドウに映る、間延びした男の顔を見た。その男の口は動く。
「そうか・・・やっぱりそうだったんだ・・・」完