~saito sekai presents~奇妙な漫画&小話ブログ

AI画像生成漫画&短編小説&を日常投稿します。少しお休みします。

ゴキブリの墓

2022-09-28 17:24:00 | 超短編小説
夕方、野菜を湯がこうとして、キッチンの扉を開けて、鍋を出そうとしたら、盖の上で、ゴキブリが死んでいた。家中にかけた、ゴキ団子が効いたのであろう…私は庭に下りて、ゴキブリのお墓を作った。「なん妙法蓮華経…」と唱えてみる。世界広しとはいえ、ゴキブリのお墓を作るなんて、私だけだ!気持ちが高まり、テンションが上がった。 儀式が追えた私を待っていたのは、家族の温かい眼差しだったのだ。  完
 
 
 
 
 
明日から、ハロウィン祭り開催します。今回から、前半は小説、後半は漫画を一緒に投稿します。お好みで選んで閲覧してください。

無限カレーライスループ

2022-09-09 23:00:00 | 超短編小説
その主婦は、何かにとりつかれたように、カレーを作り続けていた。作っても作っても、直ぐにそれは無くなってゆく。誰が食べているの?私は一人なのに。

それならば、誰かと繋がりたい。その主婦はカレー店にパートとして、働き出した。彼女の作るカレーは評判を呼び、瞬く間にお客は増えていった。自己肯定感、それが一番欲しかったんだ、私は!

11時開店一番に、ある家族が来店した。その姿を見た彼女は溢れる涙を押さえる事が出来なかった。その家族は自分の夫、息子、娘だった。

「いらっしゃい」涙声で声をかける。家族も皆泣いていた。

彼女の娘が呟く。

「お母さんは、やっと自分を取り戻せた。自分が豊かさを得て初めて、家族のことを正しく見ることが出来たんだ」と。        完
 

いつかの、カリスマ

2022-09-08 23:00:00 | 超短編小説

日曜日の午後、ある公園での出来事だった。

ある男が突如、ミカン箱に乗り、大声を張り上げた。

「今日、地球は滅亡する!!俺の話を聞け!!」

男は激昂しており、足を踏ん張っていたのだか、そのせいで、ミカン箱はバリバリと音を立てて崩れたのだ。折れた破片が男の頭を直撃した。

男は「痛て…今日はゲンが悪い…飯食って寝よう、又明日」

聞いていた一同は固まってしまった。言葉は空中を舞い、暫く時が止まった。

男の後ろ姿を見送りながら、私は呟く。

「ビックリをありがとう」

例のカリスマは犬だった。そして私は猫です。そんなこと、関係ないですよね。完

           


理不尽少女

2022-09-07 23:00:00 | 超短編小説
私のクラスに、あるアイドルに熱狂している子がいた。そのアイドルに会う為なら、テスト期間でさえ、学校をサボるのだ。追っかけをしているみたいだから、進級も危ない。

距離のある子だったけれど、あるきっかけがあり、その子に目を付けられることになる。

それは、そのアイドルがドラマでキスシーンを演じたことが発端だった。その相手役の女優が、少し私に似ているそうなのだ。それからというもの、授業中でも射すような視線を感じたり、下駄箱に虫が入っていたり…嫌な事が続いた。

そうしているうち、その子は私の髪型を真似しだした。全くどこ迄やるつもりか…
終わりは、呆気なく来た。その子は出席日数が足りず、退学になったのだ。

我が校では、退学理由が廊下に貼り出される。それには、こう書いてあった。

「結婚するため、学業が困難である」

私は、笑いを堪える事が出来なかった。その張り紙の前で、いつまでも笑い続けた 完

死にに、逝く

2022-09-06 23:00:00 | 超短編小説

深夜の墓地、それは厳かに行われようとしていた。数人が黒装束を身に纏い、死者を蘇らせようとしていた。

棺を囲み、怪しげな呪文を唱えようとしていたその時!

棺から、本物のゴーストが現れたのだ!

「まがい者たちよ、今すぐ去れ!」

「ヤバい」「本物来ちゃったよ!」逃げる面々、その中の一人がゴーストに近づいたかと思うと、にわかに自らの首を締め上げ、「私も本物になります」

ゴーストは一言、「いいぞ、その調子だ」

それを見ていたある者は、葬儀屋に勤めていたので、思わず「セレモニーは当社に申し込んでくれ!」と営業するのだった。    完