「結婚して下さい!」突然の幼馴染みからのプロポーズだった。彼の事は好い人だと思っていたが、今一つ、足りないものがある。でも、私も今年で29歳。選り好みしている場合じゃないか… 私は指輪を受け取り、結婚を承諾した。
その後、直ぐに海外に出張だと言い、「数日で帰るから」と上機嫌に日本を後にした。
その後なんと、彼は現地でトラブルに巻き込まれ死んでしまったのだ。残された私は、残念という気持ちだったが、悲しくはない。
カフェでぼんやり珈琲を飲みながら、彼の指輪を眺める私。すると小さな石の中に、物体が見える。目を凝らして見てみると、なんと、それは彼の顔だった。そしてその顔は、彼女と目が合うと「ニヤリ」と笑ったのだった。 完