俺は、一人カフェで本を読んでいた。すると店員が「お客様、相席をお願いしたいのですが…」と言うので、「ああ、良いですよ」座った男は「すいません」と言いながら、珈琲を頼んだ。チラリとそいつの顔を見ると、まるで赤ちゃんがような容貌だ。一瞬驚いた俺の表情を見抜いた様に、相席した男は、語りだした。「僕、新生児の時からに顔が全く変わらないんですよ、不思議でしょ?悩んだけれど、逆に利用しようと思って。どうしたと思います?」「はぁ…」なんなんだこいつ…しかし興味が出てきた。「私、名字が『新』なんで、名前を『生児』に改名したんですよ」そんなことを言って、彼はそそくさと珈琲を飲んで、「じゃあ」と言って去って行った。俺は玉葱男だ。親が玉葱農家で、名字がたまたま『玉』だったから『葱男』なんて…もう会うことがない、新生児だが、俺の人生に一石投じた。どっちがしあわせなのだろうと、ついつい考える俺なのだった。 完
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初期の筒井康隆を思わせないでもないのは、「俺は」で始まり、後に、いつ笑ってもいいような話がなぜか神妙に続くからなのでしょうか。
ではでは。
奇妙な物語でした汗💦
Have a good day❗