僕には、Tという親友がいる。ほとんど毎日の様に会う関係だ。一緒にいて楽しいし、疲れない。そのTが段々おかしくなっていくのだ。どの様にと言うと、会う度足が短くなり、大顔になるのだ。始めは(僕の目がおかしいのかな?)と思ったが、段々その傾向が顕著になり、ジーンズも履けない、顔が僕の家のドアに引っ掛かってなかなか抜けないという異常事態に。たまらず、僕は「どーなっているのだ、お前はっ!」と叫ぶと、にわかに彼は着ぐるみを脱ぐがごとく、いつものTの姿に戻ったではないか❗Tは説明する。
「どんな姿になっても、僕を受け入れてくれたね。君は本当の親友だよ」と言ったのだ。
…その夜、静かにこの騒動を振り返る僕がいた。結論としては良かった…けれど、なんかつまらないなぁと思う自分がいる。 完
ラストの醒めた視線は結構好みなのですが。
ではでは。
親友の間でも、少しだけ「人の不幸は櫁の味」的な事ってあるのかななんて思って作りました。