禅と薔薇

高島市 曹洞宗 保寿院 禅の話と寺族の薔薇のブログ

亀と雀2

2014年11月07日 | 小さな法話
前回の続きで、きょうは雀の話です。
後漢の時代に楊(よう)宝(ほう)という人がいました。
楊宝が9歳の時、傷ついた雀の子を見つけ、家に連れて帰り治療をしました。そして治療をしながら、一年間にわたりその子雀を育てました。ある日、雀の大群がやってきて、その子雀を連れて飛び去って行きました。
その夜、楊宝のもとに黄衣の童子が現れ、その慈愛深い行いの報いとして、楊宝の子孫の中から政府の高官の地位にのぼるものがでると告げていきました。
その後、楊宝は政府の高官に就き、ひ孫の代まで政府の高官の職についたという故事です。

亀と雀、いずれの故事も、唐の時代に著された歴史書である「蒙求」に伝えられている話です。

修証義では、この故事をあげて、利他行の実践を説いています。

自らの事ははからわず、わけへだてなく平等に他を利益するためのよき手だてを廻らすこと、その行為は心から出る行動であって、見返りを期待する打算的なものは一切入らないものであり、これを躊躇なく実践できる自分と出会うものなのです。

紅葉の話題が増えるとともに、薔薇の花が少なくなってきました。花の色が淡くなっていく、このごろです。
きょうは、「マチルダ」です。