11月は私が最もフランスへ行った回数の多い月なので、必然的にこの時期になるとフランスでの滞在を思い出す。かつては機械関連のMidestという展示会があったからだが、近年では私が勤務していた機関の研修会がよくパリ本部で開催されたからだ。
パリ6区Saint-André des Arts(サンタンドレデザール)通りにある定宿。今は変わり果ててしまったが、一昨年までは手作りの古いホテルといった感じで、本当に寛げた。何と言っても場所が良い。治安の良いパリのブルジョワ地区である6区の中心にありながら、一泊89ユーロ(一万円以下)からという安さ。
部屋の床が傾いていて、それがまた良いのである。一人で泊まるには十分の広さで、この写真の部屋に当たったのは一回だけだった。
部屋の窓からはSaint-André des Arts(サンタンドレデザール)通りを見下ろせる。まだ朝早い時間なので人気はないが、当時交差点の角にあったカフェ・コンティのネオンが点いている。
ホテルのすぐ前にはこんなパサージュもあり、飲食店やお菓子屋、文具店などが並ぶ。
Saint-André des Arts(サンタンドレデザール)通りは細い商店街のような通りで、飲食店や雑貨店などが軒を連ね、歩いていても楽しいのだ。
この通りを歩いて行くとサンミシェルの広場に出る。
11月にもなると店のウインドーはクリスマスモードだ。
ホテルでの朝食は朝7時半から、狭いロビーにテーブルを並べて頂くのだが、とにかく狭いので朝食中はホテルへの出入りもままならない状態だった。
前にも書いたが朝食はバゲットパンにドリンク(コーヒー、紅茶、ココアから選択)のみだが、ここのパンが美味しく噛むほどに味が出る。
私は朝が早いので、だいたいいつも真っ先に朝食を取って、早々と地下鉄で研修会の会場であるパリ事務所へ向かっていた。
パリの地下鉄は、滞在期間にもよるが、一週間ぐらいなら“カルネ”という10枚一組の回数券が便利だ。バスや国鉄にも使える。しかも有効期間がないので、多めに買っておいて翌年、二年後にまた使うこともできるという「優れモノ」(笑)。
しかし今は日本のSuicaやICOCAのようなカードが主流で、私も“Navigo”を持っている。行く度にチャージすれば良いので便利だ。ちなみに出場する時はほとんどの駅で乗車券は必要ない。
パリの地下鉄も様変わりして、今やこんなホーム柵がある路線さえある。
車両も初めてパリへ行ったときに比べれば随分と綺麗になっている。ただ基本的な作りは変わらないので、大量輸送には適していない。まあ今は新型コロナの影響で観光客も少ないだろうから、これぐらいでちょうど良いのかも知れない。
今現在、パリの地下鉄に乗るにはマスクを着用しなければならないそうだ。しかしことパリの地下鉄に限ればマスクは有効だ。日本の地下鉄とは違い、ありとあらゆる人種の人達が、いろいろな格好で乗って来る。夏は言葉にならないニオイが漂うし、冬でも暖房のせいで車内は臭う。そうでなくても肉食人種は体臭が強いし、口臭もある。マスク本来の使い道ができそうだ(笑)。
マスク着用を義務付ける仏大統領のエマニュエル・マクロンは億万長者のエリートだから、恐らく生まれてこの方、地下鉄になど乗ったことはないだろう。一般庶民の生活など微塵も知らない男だ。
地下鉄には時として流しが乗って来る。
最近は少なくなったが、初めてフランスへ行った頃は多かったし、最初は私も驚いた。しかしこの人達は勝手にやっているわけではなく、ちゃんと許可を得ているそうだ。アコーデオンを弾く人達はプロ並みの腕である。マクロンの葬送曲でもリクエストしようか。
11月のある研修(テーマは運輸)に参加した時のこと。十数名、あらゆる国の出先から参加者が集まるのだが、何と私以外全員女性であった!しかも若い女子が大半!
写っている男性はこの事務所の職員であって研修生ではない。この右手前のポーランド女性は美しかったなあ。
彼女はわんちゃんを飼っているというので、その場で描いてやった。
研修期間はだいたい4~5日で、業界のプレゼンテーションや工場見学などがある。これは鉄道車両工場を見学した時の写真。
途中の食事会。この時は郊外のホテルのレストランでの昼食だった。
なかなか美味しい食事だった。こんな場所でランチできるなんて、まあこの仕事をしていたからだ。
移動中のマイクロバスの中。世界の美女に囲まれて!共通語は勿論フランス語。いやこんな研修なら何度でも参加したい(笑)。
一期一会とはこのことだ。彼女らは今それぞれの国で何をしているのだろうか?まさかマスクなど着用するまい。美女にマスクなど無用だから。実は右側手前の女性(フランス人)にはこの3年後の6月にパリエアショーの会場で再会した。また5年後の3月には、二人の美女と同時にフランスのリール(鉄道展)で偶然再会したのだった。赤とピンクのジャケットがまた似合うというか、モデルのごとしである。
余談だが、この時ポーランドの彼女は展示会場のセミナー会場でポーランドの鉄道産業について講演した。いやあタレントのように格好が良い。
私はそのあと、日本の鉄道産業について話したが、ほとんど聞く人はいなかった(苦笑)。
パリに戻るが、ホテルの近くは土曜日の朝に出店が立つために賑やかだ。
このころはまだカフェ・コンティのオルソン君(ケアンテリア)も健在だった。パリ滞在の楽しみの一つでもあった。
このわんちゃんの絵も何度となく描いた。
パリから成田へ向けて帰国する時、運良く二度エアバスA380に当たったことがある。それとは知らずに乗ったのだが、搭乗した瞬間全く別の空間だと感じだ。
しかも一度はアップグレードでビジネスに乗ったが、一昔前のファーストクラスに匹敵すると思った。
研修旅行に花を添える飛行だった!