されど今、ごく近くに、東京スカイツリーの電波塔が作られており、いずれそのうち、東京の新名所として、別の姿で再生されてゆくのだろうか。
墨堤通りに平行して見番通りがあり、ここらに昔ながらの料亭が並んでいる。
中に桜茶ヤという老舗があって、ここは私、30年ぐらい前に某関係があって、呼ばれていった記憶があり、通ったら、まだやっていた。
いまでこそ、とことこ散策がてら徒歩で通るが、そのころは、夜分、ハイヤーで横づけ、当時が、懐かしい。
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言問い団子は、このあたりの和菓子の名物。
名にしおはば いざ言問わむ都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと 在原業平
これにちなんで店の名にした由緒と聞くので、多分言問橋あたりにあるかと思ったら、さにあらず、桜橋の西詰めにあった。
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業平は、桓武天皇の孫とされる平安初期の貴族で美貌で知られる歌詠みの名手。
そんな方が何故草深い江戸までわざわざ来たのかと、まゆつばに思っていた。
ところが、「伊勢物語」に、むかし、男ありけり・・・・ でこんな物語がある。
その昔、天皇家は、伊勢神宮を尊崇しており、天皇家からは、常に、身内の処女を巫女として宮に勤めさせていた。ところがあるとき、業平が朝廷の連絡事項があって伊勢神宮へ訪れたとき、清らかであるべき巫女に手をつけてしまった。朝廷では、あまりのスキャンダルに怒り、業平を京から放逐したので、やむなくあずまへ下り、朝廷直轄領の年貢の収受係りになったのだそうな。
どうにもしょうがない男だな。それならありうる話かなと思ったりもする。
団子を食べながら、彼女をしのぶ歌を詠む、食い気と色気の両刀使いだな。
東京スカイツリーの最寄り駅には、業平橋駅というのがある。
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私も年をとって、ありきたりの日常に安住しがちだが、こうして、普段ふれることのない街角をほっつき歩くと、何かこう、異次元の空間を旅するような、タイムスリップしたような気になって、それなりに刺激になるのである。
だれだ、徘徊が始まったという奴は・・・・。