最近、「努力は報われる」或いは「成せば成るという体育会的な激励は、かえってその人を不幸にするようなことをよく聞く。「そんな言葉を悪用するからシゴキや虐待が生れる。」などと極端なことを言う方もいる。たしかに設定した目標や目的から考えれば、そうかもしれない。金メダルを目指して努力する人が全員金メダルを得られるわけではない。
人生うまく行かないことの方が多いのは事実だ。だれでも希望がなえられず挫折を経験する。でも、子どもを養育する中で、「努力は報われないよ」「頑張ってもどうにもならないよ」と最初から、諭していいものか。
人が何かに向かって一生懸命に努力をする時に、その目的に到達する前のプロセスで様々な事を学ぶ。そして実際は、そのプロセスで得ることの方が目的を到達することよりも重要な事の方が多いように思う。努力から忍耐や自制を身に付け、挫折や苦しみから他者の痛みを知る。つまり人間力が鍛えられるのだ。目的を達成した時の賞賛や達成感はいつかは覚めてしまう。でも人間力は一生ものだし、自分や他者を幸せに導いてくれる。
だから子どもたちには、勉強の他にスポーツでも芸術でも何かに打ち込めるものを持ってほしいと願う。さんあいの子どもたちは、ゲームが大好きな現代っ子だ。でも中学生になるとみんな何がしかの部活に入ることが伝統となっている。増々冷え込みが厳しくなる中で朝練に出かける子を見送る職員は、思わず「頑張って!」と声を掛ける。人間力が磨かれ少しでも彼らの人生を幸せに導いてくれることを望んでやまない。
何でもいい、一生懸命打ち込めるものから得られるのもは大きい。