埼玉県で虐待禁止条例改正案が撤回されて、被虐待児の養育を担う児童養護施設職員としてもホッと胸を撫でている。今回の改正案は多くの方がコメントしているように違和感だらけであった。まず昨今の児童虐待状況を改善するために欧米先進国の法令を参考にしたと推察するが、「何が問題なのか」という視点ではなく「誰が問題なのか」という発想から出ている。だから到底実行不可能な養育者の禁止事項が中心だった。また、子育てをしている当事者(親や養育者)の意見を十分に聞いたのかという指摘もなされた。その通りだが、もう一方の当事者である子どもたち自身の意見を聞く機会を持つことはもっと大切だったのではなかったか。
一生懸命に子育てをしている親がある日突然虐待通報される。平穏な家庭に警察がきて親が事情聴取さる。そしてその場にいる幼い子どもたちの精神状態を想像していただきたかった。今回の改正案の国民的議論の中で子どもの権利の4つの柱のひとつ「参加する権利」或いは意見表明の権利の欠如を指摘する専門家が見当たらなかったのは残念でならない。
難しい言葉は発せられなくても子どもはそれぞれ意見や感想を持っています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます