先代 ◆ SANPO な ブ・ロ・グ

村田 青朔 が 一所懸命 書き綴る
「踊り」 だとか 「アート」 だとか
その 周辺の事
「小説」も 載せたい

【アート】 松本秋則展 <2006>

2008-05-25 |  アートって、なにさ?
むかし書いた 文章 。 記憶の 「SANPO」 、 記憶の インスタレーション です 。

********************


「胡蝶の夢」  森で一緒に遊びませんか?

井の頭公園。 女房と初めて2人で行った場所である。 1976年 夏、雨の晩だった。
ここを訪れた男女は別れるという。 だが幸いにも1979年に結婚した。

1986年4月。
長女の小学校入学に合わせ、わが一家4人は金沢文庫にある女房の実家に越して来た。
前年の5月に女房の母親が他界し、義父が一人で暮していた。
オトウさんはこの1年で、すっかり痩せていた。

2000年、埼玉県で父が死ぬ。 横浜に越して来た母も2003年に死んだ。
こちらは、おれの両親。
2004年某日、仕事で横浜に来た弟に会いに行く。 馬車道を海側に抜ける。
以前、銀行だったという石造りの建物。 高い天井を8本の円柱が支えている。
そんな横浜の文化的遺産の片隅で相続の話をした。
用件は数分で終わる。

別の建物にも案内された。 ここも元銀行、金庫室が印象的だった。
この2つの建物でアート関係の団体が活動していた。 それに弟が関わっていたのだ。
当時ここで、松本秋則君の作品を展示する話があった。
工夫すれば 「文殊の知恵熱」 公演も 可能だろう。
だが松本君の事情で話はいったん流れた。

「文殊の知恵熱」 ? ジャンル不明のパフォーマンスグループである。
松本秋則(不思議美術家)、とうじ魔とうじ(特殊音楽家)、村田青朔(元舞踏演芸家)、
3人が共同して構成し、3人ともに出演する。
1989年に旗揚げした。 わが家に集まってグループ名を決めた。
家の近所でチラシの写真を撮影する。 女房がシャッターを押した。
すでに義父は他界している。

1981年、おれは井の頭公園でパフォーマンスを始めた。
1週おきの日曜日、劇団仲間と数人で勝手に踊り音を出した。
実はまだ パフォーマンス という言葉を知らない。
「風騒儀(ふうそうぎ)」 と呼んでいた。
おれは白塗り。 長女をオブい、見えない洗濯物を公園に干して回る。
芝居でなく舞踏でもない、おれの表現を探していた。

いつのまにか 人数が増えていく。
とうじま君がやって来た。
ミュージシャンだと言うが、ここではほとんど演奏していない。 じっと見ていた。
寒い冬の日、松本君が登場する。
ガラクタを持ち出し、突然ガシャガシャ鳴らす。 踊っている周囲にロープを張る。
邪魔なのだが面白い。
表現で勝負を挑む根っからのアーチスト。
松本君はとうじま君に誘われ、ライブハウスでもガシャガシャを始めた。
やがて音具製作に本腰を入れる。

メンバーはそれぞれ活動の場を他所に移していった。
しかし、おれは井の頭公園にこだわった。
長男が生まれる。 息子をオブイ、娘と手をつないで 公園をうろついた。
横浜に引っ越す前年まで続ける。
とうじま君は、ずっと見ていた。

1997年10月。 「文殊の知恵熱」 は新潟にいた。
「新津市美術館」 こけら落し公演。 館内の様々な空間に仕掛けをした。
音と光のイリュージョンは裏山に及ぶ。
だが、野外シーンを担当していたおれは降り続く雨に倒れた。 死を意識した。
多くの人に助けられ、公演は盛況に終わる。
まもなく、スタッフの女性が東京に出て来て松本君のオブジェ作りを手伝い始めた。
気が付くと同居していた。

90年代後半。 日曜日、女房と横浜を歩く。
子守りの心配はない。 2人で歩く。
春は大岡川沿いに花見をした。
横浜美術館に通い、ろくな企画がないと憤慨する。
赤レンガ倉庫を覗いた。
山下公園を抜け、港の見える丘公園まで散歩した。              



2006. 7/7~8/31 「緑陰銀行 Bamboo Bank 松本秋則展」
BankART 1929 Yokohama 1F 1929ホール



白い壁、例の8本の円柱。 窓の外は 横浜。
竹を素材とするサウンドオブジェが広い空間に配置されている。
微妙な音色がスコンと響く。
あちらでボ~~ボ~、こちらでサワサワサワ、森の気配が漂う。
目を閉じれば、ここは井の頭公園!
あまりに気持ち良くて 会場で昼寝してしまった。
でも、これで良いのか?
松本君本来の冒険がない。
空調が効いた 毒蛇のいない森。

2000年、女房が体調を崩した。
同時期、松本君の彼女も体調を崩す。
おれは一人身になり、松本君は彼女を背負った。
彼は今も戦い続けている。


松本君から手紙が届いた。  手に取ると声が聞こえる。

「おまえこそ、毒蛇になってみろ!」

封を切る前に目が覚めた。

彼は心優しい人柄だ。
便箋にはきっと、こう書かれていただろう。

「雨の降らない森を用意しました。  一緒に遊びませんか?」


本年8月20日、松本君はこの会場で結婚披露のパーティーを開いた。
とうじま君が司会した。 彼は 「半芸術」 をコンセプトに 幅広く活動中。
おれはシルクハットをかぶり、白塗りして親友の門出を祝福する。
今日は毒蛇ではない。 森を這い回る 白いガマ蛙!
3×1mの赤い絨毯が2枚。 それを花嫁が歩む先に トッカエヒッカエ敷いていく。
新郎新婦に酒を運び、オブジェのスイッチを切ったり入れたり。
大忙しなのだ。

森羅万象。 人生。 インスタレーション。

そこに装置された ・・・、 喜び。


********************


以下の写真 2点、撮影: 佐々木 敏晴
撮影日:2006-08-20








********************


2006年の7月いっぱいで、その年の 「福住ゼミ」 は終了した。
横浜バンカートスクール、福住簾 さんによる 「アートの綴り方」 教室 の話である。

ではさっそくと、有志が集まりフリーペーパー作りを企画した。

横浜を絡めた アート評を書こうじゃないか、という事で
フリーペーパーは 「ハマート!」 と名付けられた。

その年の11月に、第1号が発行された。
「胡蝶の夢」 は、それに載せてもらった展覧会評である。


松本秋則 くんの展覧会の事、インスタレーション の事を書く ツモリだったのが、
ほとんど 自分史になってしまった。

********************


松本 くんの ホームページ。 「サウンドオブジェ」 が、 いっぱい!

不思議美術家・松本秋則


こちらは、 とうじま くん 。 「文殊の知恵熱」のページも、ついてます 。

特殊音楽家◎とうじ魔とうじ◎



アーカイブス/【案内状】に戻る

2008-05-18 16:00:00 up -about

【アート】 挟まれた!  展評/宮田篤 個展 「かんそう曲」

2008-05-25 |  アートって、なにさ?



これは最近、 2008年4月30日 に書いた文章。

その前日、 多摩美に展覧会を見に行った。

去年バンカートで 山中カメラ君がやった 「Wあつしの大運動会」 の時の、
カメラ君でないほう、 もう一人のあつし君の 個展 「かんそう曲」。

ワークショップが、 雰囲気が、 いい感じだった。 で、書いた 「感想文」。


********************

展評/宮田篤 個展 「かんそう曲」
鑓水青年美術館 2008.4/21~5/2


4月29日 休日
会場が多摩美 だったので 覗きに行く
懐かしかったんだ

八王子の山の中にある キャンパスを
ウロウロ

ここの学生ではなかった けど
若い頃 何度も足を運んだ・・・

モジョ モジョ モジョ
くすぐったい いたたまれない 思い出が甦る

でも 今日は良い天気

校舎のテラスに 白いプレハブ小屋
なかはホンワカ 展覧会

作家の 宮田篤君と
2人の女の子・・・
一人は多摩美の1年生
もう一人は その お友達
そこに宮田君の 予備校時代の友人も 登場

さてこれから 楽しいワークショップが始まる ワーイワイ
ふと何故か 子供達が小さかった頃の楽しい記憶

二つ折りした白い紙
4つの面に4つのフレーズ 短い「お話」を書き込む
出来上がったら読み上げる
皆で聞く ・・・家族みたいだ

そこで次の人は 別の紙に 別の小さな「お話」を書き込み
前の紙に挟み込んで 読み上げる
それをまた 皆で聞く
「お話」が ちょっと膨らんでいる

そうやって次の人 次の人 次の人・・・

人の言葉に 自分の言葉を挟み込む
自分の言葉に 人の言葉が挟み込まれる

そんな言葉のサンドイッチが 壁にいっぱい
ピンでとめられた ヘンテコリンな物語り
アハハ イヒヒ ウッフッフ

若い・・・ 若い・・・ 周りの連中が・・・ みんな若い
作家の宮田君さえ うちの下の子よりも 若い・・・

こっちの壁には片面に絵が描かれた 小さな丸い紙が
たくさん 並んでいる



別のワークショップで 子供達が描いたのだという

絵が見えるもの 裏返っているもの
コマを一つ置くと 世界が少し変わる

オセロ風の ワークショップ

画用紙にチョロッと描かれた 宮田君の絵は
ほのぼのしていて でも切なくて・・・
好きだな

「若さ」に挟まれて
ひょっこり顔を出した 「青春」

畳み込まれた人生
暖かな午後の お久しぶり


アーカイブス/【案内状】に戻る

2008-05-17 17:24:52 up

【アート】 「ジンジャエールを下さい!」 BankART school

2008-05-25 |  アートって、なにさ?
私的な、Collaboration/ジンジャエールを下さい!


夫から、台本を渡された・・・と、この台本は始まる。

舞台中央に女優が一人。
台本を広げ内容を確認している。
タイトルからト書きまで、声に出して読上げていく。

夫はカフェのイスに腰掛け、こっちを見ている。

ここはBankART Studio NYK。 アート関連の講座が毎日のように開かれている。 美術・演劇・写真・建築・音楽・ダンス・批評。 ここにはアートが溢れている、らしい。 でもアートってなんだろう? それが知りたくて、私達はここに通っている。

2006年秋、月曜日の夜。 能楽師シテ方 梅若猶彦氏のゼミを受講した。 「現代アートと古典」アバンギャルド風ミックスジュース! それって一体なんなのさ、でしょ? だけど開けてびっくり、とても刺激的な講座だった。





宿題が出た。 台本を書いてくる事。 テーマは、いらない。 ただし時間・空間が歪んだ世界を描く事。 1週間後、役が割り振られた。 10分ほどの打ち合わせ。 この後すぐ、皆の前で演じなければならない。 覚えられるだろうか。 次の3行を台本なしで言ってみる。

「そんなの、無理! ちらっと目を通しただけなのよ」

言えたかな?
台本を確認する。


大丈夫、これはまだ本番ではない。

・・・女は前を向く。
立っているが、台本上は移動ベッドに寝かされている設定。
手術室に運ばれている。
麻酔のため、身体はフニフニと軽いようで重い。

・・・なんて面倒臭い台本だろう!

(余白に、書き込みを見付ける)

背景を観客に伝える必要はない/大げさな動きも必要ない/身体に意識を集中し、感覚の流れを確かめて欲しい/困った時には、困れば良い(これ夫の口癖)/台本を持つ手は演技が難しいだろう/片手だけで構わない/ただ、目線に注意して/君の表情を見ていたい(いい気なものね)///

「しかたない! 最後まで、やり通してみるか」


ベッドは進んでいる。
もう一度、子供達の顔を見たい。
だがマブタが重い。
んっ 手は動く。
両手の親指と人差し指を左右のマブタにあてる。
皆を呼ぶが、声が出ない。
でも家族は集まる。
よしよし、良い子達だ。
娘、息子、夫もいる。
ジ~~、この瞬間を目に焼き付ける。
カシャ!

手のひらが目を覆う。
身体がベッドから浮き上がった。
暗闇を数歩前へ進み、指を上に返す。
明るい。
親指だけをマブタに残し、他の指は揺れるマツゲ。





本番前の楽屋、女優が大きな鏡を覗いている。
「あら、やっぱり綺麗だわ」

彼女は先日の夜の出来事を思い出した。
「ねェ、あたしって美人薄命よね?」
「ブ~、違うね」
「何でさ」
「だって、おまえは生きている」

そして鼻先を、ちょんとつつかれたのだ。
「キャハッ くすぐったい!」


肩をすぼめると親指がマブタから離れる。
2つの手は、それぞれ握りしめられている。
人の心臓は握りコブシほどの大きさ。
その心臓に、握りコブシぐらいの腫瘍が出来ていた。
そっと指をほどく。
手のひらの上には何もない。

軽快なタンゴの曲が聞こえてくる。
指先を揺らし遊んでみよう。
左右の手のひらは小鳥達。
近づいたり離れたり、ピアノを弾くように空の五線譜を舞う。
やがて2本の親指は重なり、一羽の大きな鳥が生まれる。





ポツポツ ザ~ にわか雨!
鳥は翼を広げ傘になる。
爪先立ち、下界を覗き込む。
と、そこは三浦半島。
夫の運転する車が海岸線を走っていた。
今日は日曜日、私達は墓参りに向っている。

「今晩の食事どうする?」
「ああ、何でも良い」

「チェッ 大切な事が、まだ分かっていない」

鳥は踵を下ろし、女は翼をたたむ。


男は運転も、妻との会話も、うわの空。
一所懸命に台本の構成を考えていた。
明日の夕方までに、これを書き上げなければならない。
彼は墓に誰が眠っているのかすら、忘れていた。

車は山側に曲がり、公園墓地の駐車場に止まる。
ところが車には誰も乗っていなかった。
雨は上がり、虹が掛かっている。
渡り鳥の群れが海を渡っていく。

・・・台本は、ここで終わっていた。

「男は昨日、事故で死んだ」


女優は、ゆっくり舞台を降りる。

だが彼女は、すぐに再登場して言う。
「そうとも知らず、おれは今夜もバンカートにやって来た」

舞台後方に置かれたイスに座り、客席を向く。
「そして、こうして、君の演技を見ているのです」


          すんでしまった事を気にするな!

                         人も演技も一瞬ごとに死んでいく、流れている。

             しっかり死ねば次の瞬間、新しい自分がちゃんと生まれる。

イヨ~~ッ ポン!


ここは横浜、海のそば。 三階建ての倉庫を改装したアート施設である。 台本を手に車から降りる。 外階段で2階に上がり、ガラスの扉を開ける。 広い空間・・・ 男はカフェに立ち寄った。


大きな白壁に肖像画が掛けられている。
絵の中には女が一人。
じっと、こちらを見詰めている。

「ふ~ん・・・で、アートってなんなのさ」
「え~とね、ん~とね、」

「すいません。ジンジャエール、ふたつ下さい!」



********************

「ハマート!2」 に 載せてもらった。 これでも アート評 のつもり。
2007年秋、決定稿提出。 「ハマート!2」は 2008年1月25日に発行された。

ただし 文章自体は、2006年秋の梅若猶彦ゼミで課題提出した台本を元にしている。
このまま上演できるはず。


アーカイブス/【案内状】に戻る

詳細不明 たぶん 2008-05-23頃 up

【アート】 束芋

2008-05-25 |  アートって、なにさ?
以前書いたアート評やら、アートにまつわる文章やら、けっこう在庫がある。
それらを、ドンドン載せる事にした。

2年前の展覧会の話だったりするが、オレの言いたいことは伝わると思う。

アートってなんだろう? 分かんないぞ~!
って事ばかり 書いてた気がするけど、 ・・・ それだけでもない。


横浜バンカートスクールで 「アートの綴り方」 教室 に参加し、書き始めた。
福住簾さんによる、「素人が素人なりに アート評を書いてやろうジャン」 という ゼミだ。


で、今回 載せるのは 最初に書いた展評。

福住さんの添削を受けて 何度か書き直し、出来上がった。
その後も少し、手を入れたかもしれない。・・・忘れた。


なにか展覧会を見に行くように言われ、
「束芋」が何者なのか、まったく知らずに品川まで行った。

それが もう 2年前の事・・・・・



********

展評/「ヨロヨロン ― 束芋」
    原美術館 2006年6月3日(土)―8月27日(日)

原美術館には「傷口」が広がっていた。明らかに傷害事件である。ヨロヨロン。ヨロヨロの世論? 束芋が一枚一枚描き上げたアニメ版少女マンガ。館内のあちこちで映像がリピートし、蠢く浮世絵が瀕死の世相を映し出す。スクリーンはそれぞれ、空間の特性を活かして配置されている。

狭い部屋の片隅に掘立て小屋。ところが中に入ると、そこはマンション。台形に切り取られ、斜めに設置された畳の間。その奥にスクリーンが置かれている。アニメの中の台所。中年女性が包丁を片手に調理している。窓の外、高校生達がビルの屋上から次々と離陸する。だがここはジブリの世界ではない。彼らは失速し、路上にシンシンと降り積もる。鍋の中で「何か」が煮えている。

暗い空間に移動する。足の下2mほどの位置に立体感のないモノクロの海。なぜか懐かしい。胎内の記憶だろうか? 波頭が切り裂かれ「何か」が解放される。「何か」ってナンダ? 分からない。デフォルメされ、入れ子になった内と外。「おれ」はいったい、どこに立っているんだろう?

部屋を変える。広い公衆便所、女性用だ。「おれ」はこんな所にいて良いのだろうか? そこに束芋が何人もいた。彼女は、まるで束芋のようにたくさんいて、まるで束芋のように自傷行為を繰り返す。ギリギリギリ、視線の角度を強制的に変えられる。

カシャッ! 盗撮? いや、覗かれたのではない。接写して「傷口」を見せつけている。こんな世界、大嫌い! だが世界を渇望している。死んじゃいたい、、、のかもしれない。殺しちゃいたい、、、のかもしれない。でも、伝えたいのだ。ズキズキと、ヒリヒリと、、、私はここにいる! そのためのインスタレーション。

「傷口」を晒す。これは時代を生きる若い女性の身体性・感受性に依拠した、素直な内面の吐露だろう。だが、これはアートだろうか? ・・・ここで気付く。「おれ」が加害者だったのだ。世代・性別で人を切り取り、アートか否かを切り分けようとする。束芋を傷つけた、傲慢な世界に立っている。

束芋は単に「傷口」を並べているのではない。自身の「傷口」を研ぎ澄まし、包丁代わりにして「おれ」を切り刻んでいる。時空を切り裂き、世界を組替える。なんとも強引なパースペクティブ。鍋の中に新たな料理が生まれつつある。アートかもしれない。お味はほろ苦い。


アーカイブス/【案内状】に戻る

2008-05-18 14:33:11 up

【アート】 岩崎タクジ

2008-05-25 |  アートって、なにさ?
福住ゼミで書いた 2つ目の文章・・・、ほとんど 文章になってないけど。
2006年に書いた。最後に ドイツワールドカップの話まで出てくる。


**********

「岩崎タクジ」的

捨てる神あれば、拾う神あり。
岩崎タクジさんは神に翻弄されている、と言いたいわけではない。
ご本人が、ほとんど神なのだ。八百万の神。むしろ妖怪かもしれない。
時として捨てる神であり、又ある時は拾う神。
そして並べる神となった時に本領を発揮する。

2006年6月28日バンカートにて、お話を伺う。
飄々としたオヤジ。道士のような雰囲気。元デザイナー。
現在は遺跡発掘を生業とされているが、もしかするとアーティスト。

この神さま、よくしゃべる。
古今東西。拾い集めた森羅万象のカケラを、次から次へと開帳してくれる。
脈絡があるような、ないような。
目くらましではない。ヒントだらけのナゾナゾ?
実は答えの羅列、なのだ。



「勝者と ウィンナ・ワルツを」 イワサキ タクジ/ドローイング展

2006年6月20日(火)~7月8日(土)
ギャラリー マキ


7月1日(土)、作品展を見に行った。土曜日は、ご本人の解説とスライド上映つき。

困った事に・・・、感染してしまった。


作品の虫干しのような/すがすがしい/壁面/イスに座って/眺める/平面的4次元/サッカーゴールほどの/人生/と言うキャンバス/柱時計を座標軸に/自らのドローイングまで、拾い物然と並べ/ブツや/ブツを/絵の具にして/新しい文脈を仕立て上げ/ふわふわと/頼りなく/こってり/塗りこめる/あまりにもまっとうな/芸術・・・志向/狂う、一歩手前の/王道を/右往左往

イコン ⇔ がらくた
聖 ⇔ 俗
 抱いてくれる ⇔ 抱きたい
 母 ⇔ 子
残る物 ⇔ 残したい物  
  向こうに見える ⇔ ここにある
     純粋芸術 ⇔ 限界芸術
  世界史 ⇔ 世界地図
過去・未来 ⇔ 現在
 死 ⇔ 生


方法論はコンプレックス/だが、シンプルな作風/ひろがり/重なり/バラバラな/終わりのない/増殖を/切り取る/編集作業/デザイン/形/ことば/意味はない/模様

記憶―いなか―父母/近所を歩いて/拾い集めた/東アジアの原風景/ヨーロッパをかすめ/遠い記憶にまで/羽を伸ばして/ぺらぺら/ぷかぷか/せつなくて、悲しくて/縫いこむ、ねじ込む/中世の/光/日の丸/記念絵葉書/方程式に/キリスト教の香り

面白い 楽しい 心地よい/味わいを/束ねる/駄菓子屋の店先/スクラップされた/金魚は/あいまいな/スクラップ/地中海風サラダに/冷蔵庫は/あるのだろうか?/貧乏という栄光/つつしんで/祭壇に/インスタレーショ/んっ? これは/生きてきた証

夜店・七夕・幻燈会/この長く短い、特別な夜/そのイリュージョン/目の中に飛び込んでくる/粒子/青赤白黄/トタン 錆/汚れ にじみ/観光旅行/岩崎商店の新大陸に/かぶる、平成18年/世界と繋がる/スライドショーは/燃え上がる葬儀/グリコのオマケである/そんなパフォーマンスを/カシャッ!/インスタレーショ/んっ! これが/生きている証

カシャッ!/カシャッ!/「傷口」の提示/それは、そのままでは/アートではない/では何が、アートを成立させるのか?/なんて事より/カシャッ!/時間を切り取るプロジェクター/の音

サービス精神/恥を知る/すこやかな大人/それとも・・・/子供

(寺山修司+タルコフスキー+ミケランジェロ+みのもんた+月光仮面)÷5
= 岩崎タクジ


プレゼンの達人/照れ屋の職人/過剰な、独断と言う正解/字体/行換え/羅列する行間/方法へのこだわり/映画―文学―音楽/連歌/浮世に/見立てる/江戸―昭和/バロック/場の空気を/呼吸するオルガン/安心・居心地・懐かしさ/元デザイナーには、すべてをマルメテシマウ/傾向があるのかもしれない

ここにあるのは/・・・愛/?/和/?/それも悪くはないが/抜け出せない/でも、包まれていれば/気持ち良い/だが、、、勝者?/ウインナ・ワルツ??

こざっぱりとした/正々堂々の/悪―趣味/命がけのスマート/限界芸術と見まごうばかりの/純粋絵画/その徹底した中途半端は/付け入る隙だらけ、じゃん/だが踏み込めば大喜び/おっと、これは/ピ~~ッ! オフサイド/そうか、岩崎さんは/ワールドカップを戦っているのだ/Oh Good Heavens!

自分勝手な/サイズで/死と踊る/ダンスマカブルの経済事情/糸で/ガンジガラメになった/手も足も出ない/チャーシュ-は/回転式/サタン―堕天使―エンジェル―神

・・・と言った感じのお人柄、展覧会で、ありました。



そうこうしているうちに、ワールドカップ-ドイツ大会は終わった。
テレビを見ない岩崎さんは、ラジオで聞いたのだろうか?
雑誌は切り抜いただろうか?
ひょっとすると今頃、トッティあたりとウィンナ・ワルツ(?)を踊っているかもしれない。
ドイツは3位だったわけで・・・。

//////////////でも/本当の勝者はジダン/と、おれは睨んでいる/内緒だが/実はジダンも/回転式/なのだ///だってあの時/手も足も、出さなかったじゃないか//


******************

「アートって、 なにさ?」 は、 もう少し ・・・  続く

アーカイブス/【案内状】に戻る

2008-05-18 15:15:44 up