NEJM Journal Watch より
Andrew S. Parsons, MD, MPH による論文の解説
研修医への指導で入院患者に対する無駄な検査が減らせる
J Hosp Med 2023; 18: 398-404
Choosing Wiselyのような全国的なキャンペーンや社会のガイドラインがこの問題に取り組んでいるにもかかわらず、入院患者に対する不必要な臨床検査は依然として蔓延している。このような行為は、自己申告による知識不足、診断の不確実性に対する不快感、上司の期待(自覚的・現実的)などが原因で、特に医学研修生の間に広まっている。
セントルイス大学病院のこの研究で、研究者らは、研修医が血算(CBC、分画あり/なし)、完全代謝パネル(CMP)、基礎代謝パネル(BMP)をオーダーする際の複数の介入の影響を評価した。介入には、注意深く検査オーダーを行うための教育("Stop, Think, Does My Patient Need Those Labs?")、電子カルテに一日おきに検査オーダーを入れる仕様を追加 (研修医が毎日検査オーダーを行わないようにするため)、検査オーダーへの期待や研修医とのコミュニケーションに焦点を当てた病院勤務医とのディスカッションなどが含まれた。
最初の1年間で、1週間あたりの検査オーダー総数は20%減少し、1日あたりの静脈穿刺率は10%減少した(患者の87%から74%へ)。BMPはCMPに比して増加し、CBCは分画ありに比して分画なしの割合が増加した。これらの変化は2年後の評価でも持続していた。研修医は、検査オーダーに留意するよう指導医に奨励されるようになったと報告した。
元論文
補足:
NIH によると、基礎代謝パネルは、BUN, Cre, Na, K, Cl, Ca, CO2, Glu の 8項目。
完全代謝パネルは上記に Alb, ALP, ALT, AST, Bil の 5項目を追加したもの。
https://medlineplus.gov/lab-tests/basic-metabolic-panel-bmp/
https://medlineplus.gov/lab-tests/comprehensive-metabolic-panel-cmp/
所感:
何が必要な検査かはセッティングにもよるけれど、「必要な検査は何か?」を考えるように心がけると臨床能力は向上すると思う。