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【ともしびをかかげて :ローズマリ・サトクリフ  著】

2007-12-24 16:04:09 | 書評
★ 【ともしびをかかげて :ローズマリ・サトクリフ著】

 図書館に岩波少年文庫新刊「銀の枝」が置いてあり、何気なくローマン・ブリテンに関する物語なのだなぁ~と思って、貸出を受けることもせずに其のまま立ち去ったのですが、気になり借りようとしたら、既に誰かに貸し出されてしまった後でした。それで作者のことを調べるとブリテン3部作『 第九軍団のワシ』『銀の枝』『ともしびをかかげて』が連作となっていることが判り、「 第九軍団のワシ」から読むことにしました。読み始めて、淡々とした文章なのにグイグイと引き寄せられてしまい、2週間でこれらの3部作を一気に読み通して仕舞いました。

 これらの3部作はローマ統治時代のブリテン島を舞台とした作品で、特に「ともしびをかかげて」はローマ軍がブリテンからの撤退する時期(AD500年頃)に辺り、主人公ローマ軍人アクイラが「ブリテン人」でもあったことに気づき、苦悩末、軍を脱走してブリテンに残ります。その後苦難に満ちた人生を送るのですが、ローマ軍に由来するブリテンの村族を束ねた軍団に入り、海から押し寄せるサクソン人達との戦いを経て、一時ではあるのでしょうが、ブリテンの平和を勝ち取るというストーリです。簡単に書きすぎていると思うほど、人生のひだの部分を割愛しています。決してハッピィ・エンドと思われない重々しいストーリですが、読み応えはあります。
 4部作目とも言われる「辺境のオオカミ」を次に読んでみようと思います。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (まざあぐうす)
2008-01-04 10:42:27
SDTMさん
 
 コメントとトラックバックが行き違ってしまったようですみません。確かにトラックバック、届きました。ありがとうございます。

 サトクリフの作品は決して、ハッピィエンドではなくても、それぞれの人生を生きる姿が克明に、繊細に語られているので、感銘を受けますね。

 何度でも読み返したくなるような作品が多く、特にこの一連の作品は、重厚な物語で、後世に残る作品ではないかと思います。

 また、ご感想をお寄せいただけるとうれしく存じます。
返信する
まざあぐうす様 (SDTM)
2008-01-04 10:59:21
★ お手を煩わして、申し訳ありません。
  この手の作品について、コメントを交わせる方は
  中々いらっしゃらないので、
  まざあぐうす様の存在は重宝しております。
  (表現力のなさはご容赦下さい)
  偶々なのでしょうが、
  河合隼雄さん、今森光彦さん等の作品にも
  繋がるのも嬉しい気がしています。
  うるさい奴で恐縮ですが、
  今後とも宜しくお付き合い下さい。

  また、サトクリフの作品を子供たちが読める
  様になると言いのですが、、
  なかなか難しいでしょうね。
返信する
なるほど! (山猫編集長)
2008-01-16 09:03:08
SDTMさんへ
なるほど!そういうお話ですか。
すごく読んでみたくなりました。そう言えば、岩波少年文庫も最近は見ていませんでしたね。
なかなかに、面白そうなので、興味がわいてきましたよ。ご紹介ありがとうデス。
「第九軍団のワシ」読んでみますね。
-(や)-
返信する
うれしい! (あまがけさん)
2008-02-25 08:50:10
はじめまして。30年ちかくのフルタイムの仕事をやめてから、仕事がらみではない図書館通いが始まりました。本が見つからないときは金原瑞人訳を探すと当たりという習慣のようなのもができ、サトクリフとの出会いにつながりました。岩波、ほるぷ出版のものは全部読みました。とにかく面白くて。でも、あまりに馴染みのない時代、読んでいるときには大して気にならないのですが、それでも人物の風貌が、風景が、いまひとつわからない。それでサトクリフを調べはじめ、このブログに会いました。猪熊さんの講演記録が作者を知る上で、大変参考になりました。ありがとうございました。
返信する
あまがけさん(様) (SDTM)
2008-02-25 09:12:48
★ コメントを有難う御座います。
  書評といっても大したことは書いていませんので
  「まざあぐうす様」のサイトでの情報が
  お役にたったのではと思います。

  猪熊さんは聖心女子大学にての児童心理?系の
  講座をお持ちでしたね。現役時代も堂々された
  体格?でこれらの翻訳の雰囲気を醸し出して
  いたという事を聞いています。

  サトクリフの本を訳された方々は多いのですが
  猪熊さんの訳に慣れてしまっている性か、、
  他の方の訳に若干違和感を感じているのが
  本音です。

  アーサー王の三部作になると、個人の営みに
  関する心の葛藤が潜め、御伽噺の摩訶不思議な
  部分が散見し、SDTMとしては残念ながら
  興味が失せる感じも御座いました。

  これも個人の感性の問題かもしれません。

  これらブリテン・シリーズを読みこなす上では
  塩見七生さんのローマ・シリーズを読んでいた
  ことが時代背景を連想するのに役立った感じです。

  また、宜しくお願いします。
返信する

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