ふぐのミイラを「楽しさ」で彩る
夏だ〜!海だ〜!バカンスだ〜!
浜辺で、ビールを飲み干すビール腹のふぐ父さん。酔っ払いすぎて目がぎょろぎょろ。
浮かれちゃって、花がついた麦わら帽子なんかかぶってる。
体についてるビーズのジャラジャラは、楽しいの概念を具現化したモノだろう。
旅行の楽しさを全身で表現した姿に一目惚れし、伊豆諸島・神津島のお土産やさんで購入した。
▲荒涼とした美しさがある神津島の海岸
でも、よく考えるとふぐのミイラをそのまま使うとは、なかなか思い切ったお土産だ。
死後に体をカスカスにされて、無理やり麦わら帽子かぶされて、元々あった目の上にコミカルな義眼を付けられて。。。ちょっと雑な扱いしたら呪いがかかりそう。
下関の伝統工芸「ふく提灯」
▲八丈島の郷土資料館にあった「ふく提灯」参考までに
このふぐ父さん、神津島だけのお土産ではなさそうだ。
妻が、これに似たものを高知県足摺岬付近で見かけたとのこと。
麦わら帽子はかぶっていたが、したにジャラジャラと飾りはついていなかったらしい。
海岸リゾート部のお土産品の定番なのかもしれないと思い、調べてみることにした。
「ふぐ お土産」で検索。
調べた結果、「ふく提灯」であることがわかった。
「ふぐ」の皮を提灯の形に加工した下関の伝統工芸品。
下関のふぐ問屋「酒井商店」の創業者・酒井徳市が考案したのだとか。
メイキング動画があったので、見て欲しい。
ふく提灯を作れるようになるまでは、約2〜3年の修行が必要らしい。
[ふく提灯の作り方]
・ふぐの頭部を開けて棒を差込皮をはぐ
・皮を水につけて血抜きを行う
・もみがらを詰めて、元のぷっくりした形になるよう整える
・針金や厚紙を使って形を固定する
・数週間天日干しする
・もみがらを抜く
・目玉などを取り付け、可愛く化粧をして完成
頭に被せた帽子は、ポップさの演出だけでなく、もみがらを入れるために開けた穴を隠していたのだ。こういう工夫大好き。
ただ、今回の「ふぐ父さん」は、下関の伝統工芸品のような上等な物ではなさそうだ。値段も格段に違うし、帽子も違う。こちらは麦わら帽子で、向こうはシルクハット(のように見える)。
推測だが、外国製の量産品なんだろうと思う。
天国でバカンスを
▲ハコふぐのミイラ(神津島)
本当は黙っておきたかったのだが、読者の皆さんに告白したいことがある。
先日、趣みん芸コレクションを整理しながら掃除をし、水で洗えるものはジャブジャブ水洗いをしていった。
その中で、このふぐ父さんの汚れも気になり、妻の静止を振り払って、勢いのまま水浴びをさせるかのように麦わら帽子の上から水をかけていった。
するとどうだろう。
どんどん重たくなるのだ。
なぜ?
注がれた水が脳天の穴から入り、ふぐの体にどんどん溜まっていっていたのだ。カラっカラだったミイラが、水を得て生き返ってしまうような不気味な重みが手に伝わる。
「やってしまった。。。」
このままではミイラが復活してしまうかもしれない。
なんとか鎮めなければと、早急にベランダに干した。
「鎮まれ鎮まれ鎮まれ!!戻れ!!」
翌朝起きると、ベランダから室内にまで漂う強烈な呪いが漂っていた。
そのまま放置するわけにもいかないので、ビニール袋(3重)に封印した。
なので、ふぐ父さんはもう手元にはない。
趣みん芸コレクターとして最低なことをしてしまった後悔がある。
だが、もしかしたらこれでよかったのかもしれない。作られた陽気さから解放され、一匹のふぐに戻り、安らかに成仏して欲しい。
天国でバカンスを。
【趣みん芸的価値】
仮説だが、ふぐ提灯のお土産は、日本(アジア)の海岸部での定番土産なのではないだろうか?下関の「ふく提灯」にインスパイアされた商品がどこかで一括で作られ、それを各お土産屋に卸される。卸されたものはベーシックな物で、そこに各々が簡単なデコレーションを施していく。ふぐ提灯を見つけしだい、情報を更新していきたい。
【入手年月日】
2017年
【入手先】
神津島(東京都)
【制作者】
不明
【価格】
300~500円ほど
【素材】
ふぐ、ビーズなど
【大きさ】
約10cm
求む!趣みん芸情報
うちの母が作っているのは趣みん芸ですか〜?とか、地元の道の駅にこんなもの売ってましたよ〜!とかありましたらジャンジャンご連絡ください。
自分一人で日本全国の趣みん芸を探し歩くのは時間がかかりそうなので、ちょっとしたことでも情報いただけますと大変助かります!!
メールはこちら → myshumingei@gmail.com
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