Life is …

ある日突然世界が変わってしまったマロンたんと、穏やかで優しい時間が1秒でも長く続くよう試行錯誤する日々の記録です。

心許す人

2023-04-30 09:38:51 | love

マロンは見た目の愛らしさと相反して、

家族以外にはなかなか心を許さない子でした。

 

家族に対しても、

いつでもなんでもどこでも好きにしてくれてOKではなかった。

 

その理由のひとつは私のせいかもしれません。

 

マロンがまだ赤ちゃんだった、お散歩デビューしたての頃。

 

お散歩コースのひとつにあるマンションの前を通ると、

小さな子供たちが集まってきて、

『かわいい、かわいい』と撫でてもらうことがよくあったのだけど、

無知だった私は、多分マロンがあまり嬉しくなかったことに気づけなかった。

 

もちろん子供たちに悪気などまったくなく、

ぬいぐるみのように小さくてふわふわのマロンを、

ただただ触りたかっただけで、

手加減できないのも自然なこと。

 

そのうちマロンは、

小さい子どもの姿を見ると身構えるようになってしまい、

歳を重ねるにつれて気難しさも進んで、

マズル(口の周り)などはほとんど触らせてくれなくなりました。

 

そんなマロンが唯一すべてを許す人が、

生まれた時からトリミングをお願いしているトリマー、Yさんでした。

 

丁度数日後にトリミングの予約をしていたのだけど、

とてもそんな状態ではないと思い、

キャンセルするためにお電話したところ、

とにかく一度連れてきてくださいと。

 

もう面倒みれませんと言われるのを覚悟して、

状況を説明しながら涙が混じる私に、

『できることはなんでもするから一緒に頑張ろう』

と言ってくださってまた涙。

 

早速連れて行ったマロンの様子を見たYさんは、

『汚れやすいところの毛を短くした方がケアしやすいね』と、

顔周り、お腹、お尻周りを素早くカットし、

不自由ながらバタバタと手足を動かすマロンに、

『びっくりしたね、マロン。でもすごいよ、ガッツあるじゃん。こんなに頑張って生きようとしてるものね』と声をかけながら、

私たちにも日常ケアの細かな注意点を指導してくれました。

 

そうだよね、マロンこそ一番戸惑ってるはず。

 

気が付けば体が動かなくなって、

どうしたらいいかわからなくて、

みんなから心配そうな目で見られて、泣かれて、

なんなんだよもう!って思ってるかもしれない。

 

マロンはこれからどうなってしまうのだろう。

何を、どこまで、どうしてあげたらいいんだろう。

こんなマロンを置いて仕事になんか行けない。

 

元気なマロンしか知らなくて、

途方に暮れるばかりの私は、

自分の心の内しか見えてなかった。

 

『気づいてやれなかったなんて思わないで、

全部自分たちで背負わないで、

だけど全部受け入れて頼れるところはどんどん頼るの、

まだまだこれから先、長いんだから』

 

帰り際にかけられたYさんの言葉にどれほど救われたか。

 

失った日々に涙して、悔やんで、絶望していたけれど、

まだこれからがある、もっとずっと一緒にいたい、

いられるように頑張りたいという気持ちが、

私の中に芽生えてきました。

 

 

 

 

何でもない日常のひとこまだった、

座ること、首を持ち上げること、まっすぐ前を見つめること。

当たり前だと思っていたひとつひとつの動作も、今思えば奇跡。

 

ミカ

 

 

 

 

 



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