Life is …

ある日突然世界が変わってしまったマロンたんと、穏やかで優しい時間が1秒でも長く続くよう試行錯誤する日々の記録です。

受け入れることの本当の意味

2023-07-31 15:31:45 | love

マロンの体重に対して処方された鎮静剤の1回分は1/4錠。

 

大きさにして2mm四方ほどの、

注意していないと見失ってしまいそうな小ささです。

 

夜10時頃、寝ぐずりのように動き、

大きな声で鳴くマロンに、

ベビーフードのりんごジュレに包むようにして与えると、

ものの数分でストンとおとなしくなりました。

 

そしてあんなにひどかった夜鳴きもまったくなく、

朝までぐっすり眠ったのです。

 

……が、朝になっても全く起きる気配がなく、

抱っこしてもぐにゃりとした様子で、

呼びかけにも反応しません。

 

おしっこやウンチが出た時はごそごそと身じろぎますが、

ずっと目を閉じて動かないマロンを見ていると、

『このままもう目が覚めないんじゃないか』と心配になって、

ずっと寝顔を見つめていました。

 

夕方なんとか柔らかくしたフードを口から食べたものの、

しっかり覚醒したのは夜遅くになってからでした。

 

あんな爪楊枝の先ほどの薬ですが、

使い方を間違えないようにしなくてはと、

恐ろしくなりました。

 

夜鳴き対策と、トリマーさんに預ける時に落ち着いてくれればいいので、

食事ができないほど意識レベルが落ちないように、

先生と相談して、処方された錠剤を更に半分にすることに。

 

ネットって本当に便利。

 

薬包紙は翌日配送で届くし、

包み方も詳しい図解で見つかるのです。

 

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小分けにしておけば、

トリマーさんにもお守り代わりにお預けすることができる。

 

体内時計が狂うことを少しでも防げるように、

毎朝の日光浴は日課となりました。

 

眠っていてもウンチやおしっこを知らせてくれるマロンたん。

 

認知症かもしれないけど、

何もわからないわけではないのです。

 

鳴いていても抱っこすると鳴きやむし、

声をかけながら撫でてやると耳をピクピクして聞いているし、

抱っこでお散歩の時はずっと気持ちよさそうにしています。

 

想いは伝わっていると思いたいのです。

 

マロンが病気になって最初に言われた、

『一番大事なのはすべて受け入れること』

 

それを私は、病気が引き起こす様々な障害や、

マロンにふりかかる現実のことだと思っていました。

 

けれどその意味はもっと深く、重かった。

 

正解がひとつではない中で、

マロンにとっていいと思える道を選び、

その選択が引き起こす結果や繋がる未来も含め、

すべて受け入れなくてはならないのです。

 

もっとこうすればよかった。

マロンのために本当にそれが一番いいのか。

違う選択をしたらどうだっただろう。

 

そんな後悔も既にいくつもありますが、

少しでも穏やかに、マロンらしく、

いのちを生ききることができるよう寄り添っていたいです。

 

 

 

ミカ

 

 


一筋の光

2023-07-23 16:19:00 | love

マロンの新しい病院を探そう。

既に病気になっている子を診てくれるところで、

マロンを車に乗せて連れて行くことを考えると、

自宅から30分以内の距離にしたい。

そして預かりも受けてくれるところ。

ハードルはなかなか高くて、

インターネット検索でヒットした病院に、

片っ端から電話をしました。

『かかりつけで継続して診ている子しか預かれない』

『病気の治療中や慢性化している子を途中から診るのは…』

病院から言われることは最もですが、

こちらも諦めるわけにはいかなくて。

何軒目かにやっと『一度連れてきてみてください』と言われた時には、

ありがたくて涙が出そうでした。

隣のそのまた隣の市にある病院ですが、

自宅から車で20分ほど。

獣医さんが8人に動物看護士さん、

医療トリミングのスタッフもいらっしゃる大きな病院で、

待合室にも外にも患者さんが溢れています。

やっと順番が回ってきて診察。

前の病院にはCTなどの機械はなく、

シニア犬にとって検査の負担をかけるより、

困っている症状を緩和させることを第一にというご配慮で、

血液検査もしたことがなく、

先生が様子を診て処方してくださった薬をいただくという対症療法でした。

薬の処方箋などもなく、

『気持ちを落ち着かせる安定剤のようなもの』とか

『神経の伝達をよくするもの』などと口頭で説明を受けていました。

それでも先生を信頼していましたし、

不満はありませんでしたが、

新しい病院の診察の流れがあまりにこれまでと違っていて驚きました。

診察室に入るとまず、

「セカンドオピニオンですか?それとも今後ウチで面倒見させてもらえますか?」と聞かれたので、

これまでの経緯を説明し、今、服用している薬もすべてお渡しして、

今後お世話になりたいとお伝えしました。

先生は体温を測り、聴診器で胸の音を聞いて、

瞳孔や手足の反応など全身をチェックした後で、

「年齢や、発症してからの時間を考えても、CTなど麻酔をかける検査については私もリスクの方が大きいのでしない方がいいと思いますが、レントゲンと血液検査で今の状態をもう少し詳しく診せてください」と。

可愛い制服の看護師さんに抱っこされたマロンたんとしばらくお別れ。

―――その後、先生からのお話。

①骨や筋肉の状態は、17歳とは思えないほどしっかりしている。

②3ヶ月以上ステロイドを服用している割に腎臓などの状態も悪くない。

③検査結果と今の様子からみて、脳障害がきっかけとなった認知症がかなり進んでいる。

動きが激しく食欲があるのはステロイドの影響もあって、

ステロイドは長く続けると腎臓などへのダメージもあるけれど、

マロンの場合、食べられなくなったら衰弱が進むと思われるので、

血液検査を定期的にしながらステロイドだけ続けましょう。

厳しい現実だけど、まずは、はっきり現状をお話させてもらいますね。

今後大きな痙攣などの発作が起きる可能性はあるし、

認知症が進行することによって全身状態が弱ることも考えられるし、

総合的に診て、これから良くなるとか病気が治るという可能性は低く、

年単位ではなく月単位で考えてエンディングに向かって緩和ケアを考える段階にいます。

―――――ちょ、まって…

認知症?

つい数か月前までトイレの失敗も全然なくて、

毎日一緒に楽しくお散歩に行って、

夜になったら自分でベッドに行って朝までぐっすり寝ていたのに?

キッチンでりんごを切っていたらいつの間にかそばに来ておねだりしていたのに?

エンディング?

緩和ケア?

言葉を失う私に、

『今、一番望むことはなんですか?』と聞かれ、

「マロンが少しでも穏やかに、楽に過ごせる時間が欲しいです」と、

現状がどうであれこの答えだけは、はっきりしていました。

先生は、

「マロンちゃんを楽にする、という意味だけにおいて言えば、現在の状態はアメリカなどの症例でいうと安楽死の適応です。でもそれは日本人の死生観にはなかなか合いにくいですし、もちろん私たちも勧めるつもりはありません。マロンちゃんもご家族も納得できるエンディングを迎えられるよう薬や周囲の力を借りながら向き合っていきましょう」

衝撃的な言葉が次々と出てきて、

とても気持ちが追い付かず、

先生のお話を聞き洩らさないようにするのが精いっぱいでした。

それでも、突然よそから転院してきた私たちに、

いきなり厳しい現実や、言いにくい予後を伝えなくてはならない中、

それでも色んな方法や薬の可能性や選択肢を示して、

しっかり寄り添ってくださる先生だと感じられました。

時間をかけて相談させていただいた結果、

先生が最優先させるべきだとおっしゃったのは、

『まずご家族が、休むべき時間(夜)に睡眠をとってください。そうでないと、これから何かを選んだり決めたりする時、睡眠不足では正しい(よりよい)判断ができませんよ。それに、私たちがお話する予後は統計的なもので、内臓も筋肉もしっかりしているマロンちゃんの生命力は、人間の予想なんか超えてくれるかもしれない。少しでも長くマロンちゃんと一緒にいたいのであれば、ご家族も健康でいなくてはね』

そしてこれまでの気休めのような安定剤ではなく、

アセプロ(APC)という鎮静剤を処方していただきました。

一日にして世界が変わったけれど、

いつかは向き合わなくてはならない現実はただ厳しいだけではなく、

一筋の光が差してきたようにも思えました。

最近、ベビーフードが使えることに気づいた私。

ご機嫌斜めで水を飲まない時でも、

水のお皿に数滴落としてやると、

甘い香りにつられてゴクゴクいってくれます。

ミカ


新しいステージ

2023-07-18 18:46:03 | love

ここ最近、マロンは夜の眠りがどんどん浅くなり、

寝不足のせいもあるのか、

昼間に興奮を持ち越したように落ち着かない毎日が続いていました。

眠そうなのに眠れない。

ご飯を食べて、水を飲んで、

うんちやおしっこも済ませてスッキリしても、

ぐずぐず鳴いているうちにかんしゃくを起こす。

お散歩の時だけは気持ちよさそうに目を細め、

スリングの中でおとなしくしてくれるので、

元気な頃から大好きだったお散歩コースのひとつ、

長い砂浜が続く海に行きました。

砂を蹴散らして走り回ることはできなくなったけど、

鼻を擽る潮風はしっかり覚えているみたいで、

目を細めてくんくんしていたマロン。

夕陽がすっかり沈んでしまうまで、

一緒に海を楽しみました。

できなくなったことを数えて、

ついついこれから先の不安を憂いてしまうけど、

今を生きているマロンを見習わなきゃ。

そう思った矢先に新たな壁が…。

自分で立ったり歩いたりできないマロンは、

病気のせいもあって、横になったままぐるぐる旋回するのですが、

マナーベルトをつけているのでおしっこは大丈夫でも、

ウンチをしたまま放置すると体が汚れてしまうため、

長時間の留守番は難しいのです。

そこで仕事の時は、

トリミングサロンか動物病院に預かりをお願いしていました。

週に何度もとなると費用はかさむけれど、

背に腹は代えられなくて、

マロンの日常はトリマーさんと獣医さんなくしては成り立たなかったのです。

かかりつけでもある近所の動物病院は、

ご夫婦おふたりの先生がいらっしゃるのですが、

他にスタッフはいないので、

基本的にはペットホテルや一時預かりはありませんでした。

赤ちゃんの頃から診ていただいているマロンと私たちが困っている現状を見て、

特別に一時入院という形で、

診察の日に夕方まで預かってくださっていたのです。

ところがこのたび20日に1度打っていただいていた注射を終了して、

あとは投薬のみとなったタイミングで、

動物病院から、もう預かれないと言われてしまいました。

最近ますます目が離せなくなって手のかかるマロンを預かっていると、

他の診療や手術などに影響が出るので、

病院での預かりが必要なら転院していいと言われ、

これまで先生の厚意に甘えていたけれど、

ずいぶんご無理をおかけしてきたのだと改めて思い知りました。

先生には感謝しかないのですが、

やはり預かりをお願いできないとなると転院を考えるしかなく、

とはいえこの状態のマロンを受け入れてくれるところがあるのだろうか。

トリミングサロンもトリマーさんおひとりで営まれていて、

できる限り預かるよ、とは言ってくださっているものの、

動物病院と同じようにご厚意に甘えてこれ以上の負担は増やせません。

病気のマロンを預かっていただくなら、

やはり動物病院が安心なので、なんとかしなきゃ。

途方に暮れている暇はありません。

緊急に、けれどしっかり選んで、

マロンたんに一番いい方法を探します。

ミカ


赤いアイツ

2023-07-03 23:19:00 | love

3月30日にマロンが脳梗塞を起こしてから3ヶ月。

無事に17歳の誕生日も迎えられ、

まだドタバタしているものの、

少しずつマロンを取り巻く環境やルーティンが定まりつつあります。

でもすべてうまくいっているわけではもちろんなくて。

それは介護する側の都合によるものがほとんどなのですが、

もっとマロンに負担が少ないやり方はないかとか、

もっと調整をしないと続かないな、ということが、

まだまだたくさんあって、

試行錯誤しながら日々更新している状況です。

そんな中で、毎日の睡眠不足はずうっと抱えている大きな悩み。

マロンに安定剤を処方してもらってから、

もう2ヶ月が経とうというのに、

飲ませる勇気が出ないままお守りとして棚に飾ってありました。

だってこの赤色が禍々しくて…。

受診のたびに『飲ませてみたらいいのに』と言われ、

隠し切れない疲れが私の顔に滲んでいたのか、

『マロンちゃんのためにも夜はしっかり休めた方がいいよ』と勧められ、

とうとう今回は『長く介護したいのなら尚更もう始める時よ』と。

なんでここまで私がこの薬の使用に踏み切れないのかというのは、

やはり副作用やマロンへの影響が怖いから。

今、常用している薬が3種類。

ニセルゴリン(脳の働きをよくする)

プレドニゾロン(ステロイド)

カリシノゲナーゼ(神経の伝達をよくする)

これらの薬については、

マロンの病状を改善させたり、

これ以上悪くならないために必要な薬と納得できているのですが、

安定剤に関してはどうしても介護する側の都合が大きい気がして…。

処方の際に責任の所在をはっきりさせる同意書を書いたことも、

他の薬とは違う意味合いのものだと感じたのです。

でもいつかは使う日がくるような気もしていました、ずっと。

最近寝不足に慣れてきたようなつもりでいたものの、

眩暈も慢性的にあるようになって、

他にも色々重なったことがあって、

そろそろ使ってみる時なのかなとやっと決心しました。

先生の指導の元、

初日は0.5ml………何も変わらず夜中2時間おきに騒ぐ。

2日目に1ml……相変わらず夜中も運動会。

3日目には2ml……いつもより元気にバタつく。


あれだけ思い切って始めたのに、

私は眠れるどころかマロンの様子が気になって余計に睡眠不足になり、

逆にマロンは益々元気になる様子に、

なんだか可笑しくなってきて、

同時に心のどこかで、効かなくてよかったって安心する自分もいて。

何やってるんだろうな…ほんとに。

『心配するほど効かないよ?』という先生の言葉は、

気休めではなかったようです。

薬の量は、もっと増やすこともできるとのことでしたが、

一旦中止です。

相変わらずのピンボケ写真。

それでも可愛いマロンたんのポテンシャルすごいでしょ。

ミカ