河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当相)が6月24日、自身の公式ブログを更新し、新型コロナウイルスのワクチンをめぐる「デマ」が起こる背景について説明しました。
河野大臣は、「ワクチンデマについて」というタイトルでブログを更新し、「そもそもなぜ、ワクチンに関する正しくない情報が飛び交うのでしょうか」と投げかけています。
原因について「EUの対外行動庁(EUの外務省にあたる)が4月に公表した報告書によれば、中国やロシアが、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンの信頼性を傷つけるような情報発信をソーシャルメディアなどを使って複数の言語で行っています。また、ワクチンに関する偽情報やデマを監視している団体によると、TwitterとFacebookにあるワクチン関連のそういった誤った情報の65%はわずか12の個人と団体が引き起こしていることが確認されています。中には医師免許を持っているにもかかわらず、デマを流す人もいます」と、驚きの調査結果を報告しています。
また、デマを流す目的としては主に「1:ワクチンを批判して、自分の出版物やオリジナル商品に注目を引き寄せて、お金を稼ぐ」「2:科学よりも自分の信奉するイデオロギーに基づいて主張する」「3:過去に誤ったことを発言したために抜け出せなくなっている」「4:自分に注目を集めたい」という4点が大きいとされている――と指摘しました。さらに、日本で流布されるデマは、当初海外で発信されたものが、しばらくして日本にたどり着くケースが多いといいます。
さらに具体的なものを複数例挙げ、否定しました。
まず「ワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ」というデマは「実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度ですから、ワクチンを接種した人間が100年で全て死んだと言っているのに等しいことになります」と否定。実験用のネコが死んだというデマは、「ヒトに関する研究の前段階としての動物実験でネコは一般的に使われません」としました。
2つ目に「ワクチン接種により不妊が起きる」というデマは「コロナワクチンに限らず、どんなワクチンに関しても流されるデマの一つです。これまでのワクチンで、不妊が起きたことはありません。今回のコロナワクチンでも、不妊が起きるという科学的な根拠は全くありません。(共同通信社の報道では米国の医学界からも同様の報道がされています。)ファイザー社の元Vice Presidentのマイケル・イードンという人が、『胎盤を形成するシンシチン-1という蛋白とスパイク蛋白が似ているため、スパイク蛋白の抗体がシンシチン-1も攻撃してしまう』と主張しましたが、実際には抗体が反応するために大切なアミノ酸の配列は似ているところが少なく、そのような反応が起きたことは確認されていません。アメリカで行われた3958人の妊婦を対象とした研究で、流産や早産、先天奇形が起こりやすいということがないことも確認されています」と記しました。
3つ目に「卵巣にコロナワクチンの成分が大量に蓄積する」というデマについて、数値を示して「単にごく微量が卵巣に一時的に分布したということであり、蓄積というのは明らかな誤りです」としました。
4つ目に「ワクチン接種で遺伝子が組み換えられる」というデマについては「mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はありません」としました。
5つ目に「治験が終わっていないので安全性が確認されていない」というデマについては「mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。その上で、いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するための治験が継続して行われています」とした。
6つ目に「長期的な安全性がわからない」というデマに関しては「コロナワクチンの長期的な安全性について特段の不安があるということはありません」と説明した。
7つ目に「ADE(抗体依存性増強現象)が起きる」というデマについては、「ワクチンや過去の感染により作られる抗体が、ウイルスの感染を増強してしまうことをADEといいます。デング熱ワクチンやSARSワクチンでこのようなことが起きたことがあります。しかし、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンでは、高い中和作用がある抗体とバランスのよいリンパ球の動きが確認され、動物実験でもADEは観察されず、大規模な治験においてもADEの報告はないことから、新型コロナワクチンに関して、ADEの可能性は考えにくいとされています」とも説明しました。
ワクチン接種をめぐる情報には注意しましょう